静聴雨読

歴史文化を読み解く

「公費購入」の悪用

2011-02-25 07:16:53 | 社会斜め読み

公的機関が物品の購入にあたって、透明性を確保する(つまり、不正をなくす)ために、「公費購入」の制度を作って運用していることを以前紹介しました。「透明性を確保する」一点では立派な制度ですが、この制度を運用する上で必要な手間をすべて納入業者側に押し付けている点では天下の悪法、いや、悪制度といえるとも述べました。

さて、最近、ある東京の大学の研究所の先生から、書籍の注文を受けました。注文には、見積書・納品書・請求書が必要、と書いてありました。いわゆる「公費購入」のもくろみなのでしょう。そして、書籍の納品先には、先生の個人宅らしき住所が指定されていました。ここで、不審に思いました。「公費購入」でものを購入するのであれば、ものは公的機関にまず納入させるのが筋でしょう。

上のケースから、以下のような推測をたくましくしました。

この先生は、まず、希望する書籍を早く入手したいのでしょう。しかし、自分では支払いたくない。ここは、自分の「顔」で公的機関にツケを回そう。そう考えたのでしょう。先生と公的機関との間で事前にこの購入について合意があったか、まだ、協議していないか、はわかりません。先生の先走りであれば、公的機関が実際に支払いを実施するまでに時間がかかるかもしれません。そして、支払いの完了するまで、業者は心配とストレスをかかえることになります。

先生はこのような事情を承知の上で、「公費購入」を悪用してまで、求める書籍を早く入手しようと考えたわけです。それほど急いで入手したい書籍ならば、なぜ自費で購入しないのでしょう。

ものを先に入手して、支払いは後回し、という「公費購入」制度を改めない限り、この制度を悪用する人の出現も防げません。 (2011/2)