静聴雨読

歴史文化を読み解く

十三階段

2011-02-03 07:09:43 | Weblog

以前、ドイツ映画の『十三階段への道』を見たことを覚えている。具体的な状況はすべて忘れてしまったが、「十三階段」とは死刑囚が死刑台に向かう階段を指していたことは鮮明に記憶している。そう、死刑囚は最後の気力を振り絞って十三段の階段を登らなければならない。この処刑場の構造はヨーロッパ諸国に共通しているのではなかったか? それほど、「十三階段」は生を断ち切る装置として象徴的な意味が与えられている。

さて、ひるがえって、わが国ではどうだろうか?
元法務大臣の千葉景子さんの「英断」で、東京・巣鴨の東京拘置所の処刑施設が公開された。それでわかったことは、東京拘置所の処刑施設には「十三階段」などないことだった。死刑台とそれをモニターする関係者の部屋とはフラットな位置関係にあり、どうやら、死刑囚は「十三階段」を登る苦痛を味わう必要がないらしい。どうも、拍子抜けしてしまった。 (2011/2)