「森家さんが生まれ育った所を見てみたい・・」と、理代子さん。そうは、仰っても、やはり観光メインと勝手に思い込んでしまった私。防府と言えば、毛利邸、国分寺、天満宮ぐらいかなあ・・。私も故郷を後にして半世紀以上経っているので、ある意味、異邦人。当日の朝、「理代子さんが、家に見えるかも」に、実家の妹は仰天。年寄り二人暮らしで片付いているのに、そわそわ掃除は始めるし、色紙は買いに走るし。著名人をお迎えしたことがないので、だいぶ慌てふためいたみたい。
「偉ぶったところのない、ええ人じゃねえ (有名人なのに偉ぶったところない、感じの良い人ですね)」 防府弁でしみじみ、義弟の言葉。
実家の仏様に手を合わせてくださいました。妹夫婦感激。 「森家さんの半分も歩けないわ。」仕事でお疲れの理代子さんを引きずり回して、相当草臥れさせてしまったようです。観光目的で足を伸ばされたわけではなかった事にやっと気づく。ところが、彼女をもっと疲れさせる出来事に出くわしました。
天満宮の近くで、子供達に囲まれた瀕死の小さな赤ちゃん猫。小川に落ちていたみたい。理代子さん、通り過ごした車を引返させてずぶ濡れの猫のケア。理代子さんの一面を目の当たりにしました。自分の体調不良も忘れて、一心に猫に手をかける姿、ひとつのことを成し遂げる人の生きる姿勢を垣間見た思いでした。一般には、「可愛そうに、生きてはいられないネ。」で、通り過ぎる出来事。
実家に戻り、ドライア-で、猫を十分に温める彼女。夜遅く懐に抱いて防府を後にされました。