今回は訃報をお届けしなくてはなりません。
二期会のメッツォ・ソプラノとして、多くの舞台で活躍され、
また池田理代子さんが主宰する「アーツ声楽教室」の講師としても、
素晴らしい指導者振りを発揮された杉野麻美さんが、半年の闘病を経て11月17日逝去されました。
「癌と戦わない」と自ら決められ、手術も抗がん剤も無しで、安らかな最期を迎えられたそうです。
ご主人によれば、最期の六日間は24時間を共に過ごし、心ゆくまで話をされたとのこと。
痛みもなく「多くの人に支えられて幸せな人生だった」と仰ったそうですが、
まだまだこれからご活躍が期待されるお歳だっただけに、無念さが残ります。
唐辛子の会の後援している『池田理代子とばらのミューズたち』のナレーションオペラの舞台でも、
新人さんたちを支えるベテランとして、『リゴレット』のマッダレーナ、
『フィガロの結婚』のマルチェリーナで、素晴らしい歌と演技をご披露くださいました。
池田理代子さんとは、麻美さんがまだ東京藝術大学大学院の学生だった頃からのお知り合いで、
まるで姉妹のような長い交流が続いておられたそうです。
わたくしも声楽教室では大変お世話になりました。
突然のことで、言葉もてません。
ご冥福を心からお祈り申し上げます。