アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

有識者懇の報告書に関して

2009-10-24 20:48:40 | インポート
さる、8月31日、世界先住民族ネットワークAINU(WIN AINU)の第一回学習会にアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会(以下、「有識者懇」)の委員のひとりであった常本さんが有識者懇の「報告書」についての説明をして下さいました。

その後に、北大アイヌ・先住民研究センターにおいても常本さんのお話があったようですが、所用のため行けませんでした。センター長であられるので同センターから内容全容の文書なり音声なりをURLにUPして頂けたら、多くの方が直接に見聞きできるのでいいと思いのですが、残念ながら今はやっていません(やってぇ~)。

WIN AINU学習会の際には、多くの人に聞いてもらって理解してほしい旨のことを言われていたので、せっかくですからわたしの方でテープ興しをしつつ要約を紹介させて頂きます。
以下の通り色変えして紹介します。

今回の報告書は有識者懇第2回(2008年9月17日)の加藤忠委員(北海道アイヌ協会理事長)が同アイヌ協会で機関決定されたアイヌ民族としての要望をまとめて報告されています※1が、それに対して答える形でつくられたもの。有識者懇のメンバーすべてが加藤委員の言われたことを出来るだけ実現しようという形で一貫して作業してきた。
どのように実現するかに関してはいろいろな考えがあったが、ひとつには先住民族の権利に関する国連宣言を参照せよというのが有識者懇に課せられた使命ですから、当然、具体的に参照してきた。もう一つは最高法規である日本国憲法の枠の中で、利用しつつ考えていった。
とにかく実現可能なことをつくろうとやってきた。いくら美しいものでも実現不可能なものだと意味がない。時間的猶予もない※2中で政府と議論して時間を費やす余裕がないので、実現できることを考えた。
また、この報告が最後ではないという認識を持っている。ご存知のようにこの報告書はアイヌとしてのアイデンティティーを尊重し強化していくことだ。しかし、アイヌ民族としての権利を担えるのは誰か、それを誰がどうやって判定するのかということが未だ整理されていない。しかし、その機は熟していないと有識者懇は判断した。それよりはまず、アイヌ民族のアイデンティティーというものを強化していく中で、おのずとアイヌ民族というものが明らかになってきて、その中で権利の担い手がアイヌ民族自身からもアイヌ民族以外の国民からも分かるときが来るに違いない。その時になって権利の議論をすることが実際的なのであろう。それまで権利の議論が出来る土台を作らなければならない(条件整備)というのが有識者懇の発想だ。
とにかく、実を取りたいと考えた。個々の政策も政府と不毛の議論をしないで実現できることをまずしていくことを考えた。報告書だけを見れば、理想からかけ離れているとの批判があると思う。それは甘んじて受けたいと思う。しかし、先の現状認識の上でのことだということもあわせて考えてもらいたい。


とのことでした。他にも質疑の際に語られたこともありますので、後日に紹介しましょう。

※1これは有識者懇のURLから見る事ができますし(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/kaisai.html)、
わたしの過去ブログにも要約をUPしています(8/14 blog日誌)
※2ことばの問題、老齢化の問題、文化の継承の問題等。


10月19日のWIN AINUの第3回学習会も、とてもよかったです。21日のさっぽろ自由学校「遊」の「植民地主義を解剖する~私たちの中に潜むコロニアリズム~」は、忙しくて行けずでした。残念。
コロニアリズムもこれから調べようと考えていたので、今後を楽しみにしつつ、やっと小熊英二著「単一民族神話の起源」(新曜社)も読み始めました。
22日の牧師たちの研修会での島崎直美さんのお話もよかったです。次回のわたしたちの機関紙「ノヤ」に掲載できると思います。


暑寒別岳の奥の沢。ぜったいザリガニおる!


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