アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

アイヌ民族差別の実態調査を実施予定

2014-08-29 06:56:04 | 日記
『バチラー八重子の生涯』(北海道出版企画センター)を手元に置きつつ、ある集会の話の準備中です。
この本の著者の掛川源一郎さんの写真展が道庁赤れんが庁舎にて特別展示されているのを昨日、見に行きました。
とてもよかったです。展示番号が間違ってないかな?と疑問に思ったところもありましたが、慌てて見たのできちんと確認できませんでしたが、画像がとてもきれいでした。「札幌国際芸術祭2014」は9月28日まで。
http://www.sapporo-internationalartfestival.jp/programs/「伊福部昭・掛川源一郎」展

なかなか、ブログが更新できずに失礼しております。
全国的に、ある札幌市議の発言が問題視され、連日ニュースになっています。
そのまとめは「先住民族関連ニュースブログ」(http://blog.goo.ne.jp/ivelove)のほうにまとめています。
昨日の段階で、その市議に対し、所属する市議会の自民党・市民会議が会派離脱を勧告したとのこと。応じなければ、除名処分とする方針であることも。 北海道新聞(08/28 15:00)他で報じられていました。紙面によると(以下、引用)、
 自民党会派は同日、市内で議員会を開き、金子氏に対し、2008年にアイヌ民族を先住民族とすることを求めた国会決議を認めるか、書き込みを撤回できるか―などを確認。これに対し、金子氏は「国会決議の中身は認められない」「発言を撤回するつもりはない」などと主張した。
 このため会合後、会派幹部が金子氏に電話で「党としての見解に沿えないのであれば、会派を離脱してもらうしかない」と伝えた。これに対し、金子氏は即答しなかったが、同会派の村松正海会長は記者団に「丁寧に説得を続けてきたが、意見は変わらなかった。大変残念だ」と述べた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/559452.html


それに先立って、管官房長官が以下の遺憾表明をしたことが報じられています。以下、引用。
■菅義偉官房長官の記者会見での発言(要旨)
 政府として6月に閣議決定した象徴空間( 民族共生の象徴となる空間 )の整備や生活向上、アイヌ政策の推進にいま積極的に取り組んでいる。このような政府の姿勢を理解されていないのは極めて残念だ。引き続き国民の理解促進に努めていきたい。さらに生活向上施策の各事業は、施策ごとに低所得者であることなど、一定の考え方や基準が設けられており、アイヌであれば誰でも便益を受けられるものではない。今回のツイッターは、そうした経緯を全く無視しており、極めて遺憾だ。
北海道新聞 08/26 08:00、08/26 08:45 更新 
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/558962.html


ちなみに、『アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会報告』に、以下の文があるので、引用しておきます。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/dai10/siryou1.pdf
アイヌの人々は、現在は、他の多くの日本人とほぼ変わらない日々の生活を過ごしている。しかし、アイヌの人々には、差別や近代以降 の同化政策を経ても、なお民族としての帰属意識が脈々と受け継がれており、民族的な誇りや尊厳のもとに、個人や団体として、アイヌ語 や伝統文化の保持、発展等に努力している人々も少なくない。 (2 アイヌの人々の現状とアイヌの人々をめぐる最近の動き (1)アイヌの人々の現状 5アイヌの人々の帰属意識)
固有の文化に深刻な打撃を受けながらも、それらを失うことなく、復興させ、保持し、さらに発展させる意思を持ちつづけているアイヌという民族が存在していることはきわめて意義深い。そして、アイヌ政策の理念を広義の文化の復興とすることは、多様でより豊かな文化を共有できるという意味で、国民一般の利益にもなるということができる。国連宣言も、文化の多様性が人類の共同財産として尊重されるべきものであるとしていることに留意すべきである。また、「民族の共生」という理念は、国際的にも追求されているものであり、国民誰もが相互に人格と個性を尊重し合う共生的かつ多元的な社会を目指す我が国においても、国民がこの理念を共有する必要がある。国民一人ひとりが、自分たちも一民族であると認識するとともに、アイヌという独自の先住民族が国内に生活していることを認識し、尊重するようになることが求められているといえよう。 (3今後のアイヌ政策のあり方(1)今後のアイヌ政策の基本的考え方 3政策展開に当たっての基本的な理念 イ 多様な文化と民族の共生)


さらに、国がアイヌ民族への差別の実態や理由を調べるために2015年に全国実態調査を行うことを決めたという報道もありました。今日は引用が多いですが、お許しを。以下、引用。
 政府は28日、アイヌ民族への差別の実態や理由を分析するため、2015年度に全国を対象とした国民意識調査を実施する方針を固めた。内閣官房の概算要求に経費700万円を盛り込む。内閣官房アイヌ総合政策室によると、アイヌ民族差別に関する本格的な調査は初めて。
 内閣府が昨年、アイヌ政策全般にわたって実施した世論調査の中で、アイヌの人々に対して現在は差別や偏見がなく平等だと思うかを聞いたところ、「平等ではない」と回答した人が33・5%に上った。
 このため15年度の調査で「どういった場面でアイヌ民族への差別を感じるか」など、アイヌ民族への意識を問い、実態把握に努める。
共同通信社 2014年8月28日(木)16時37分配信
http://news.nicovideo.jp/watch/nw1210179


「アイヌ民族なんて、もういない」という発言も差別発言です。アイヌ民族の皆さんと出会って頂きたい。
8月27日に台湾基督長老教会とわたしたち日本キリスト教団の合同会議が北海道で開催され、そのプログラムの一つに旭川川村カ子トアイヌ記念館研修が盛り込まれ、お手伝いしました。
日本キリスト教団の教師が全国から30人ほど来ていたのでしょうか。そのほとんどがアイヌ民族と初めての出会いであったのではと想像します(個人的に話す時間もなく、すぐにバスに乗って帰られた)。これを機に、アイヌ民族の権利回復の働きに連なって下さるよう願っています。


留萌はすっかり秋の空です。