アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

2013年度「北海道アイヌ生活実態調査」(概要) 

2014-05-23 14:09:50 | インポート
過日のアイヌ協会総会の資料の中に、昨年実施された「北海道アイヌ生活実態調査」(概要)がありました。
インターネットで調べたところ、以下のサイトでPDF版をダウンロードできました。
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/ainu_living_conditions_survey.pdf
概要はこちら  http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/ainu_living_conditions_survey_digest.pdf

この調査の実施主体は北海道で、実際の調査は市町村が行い、世帯調査、アンケ ート調査は対象市町村から推薦された調査員が行っています。今回の実態調査は、1972年、1979年、1986年、1993年、1999年、2006年に次いで7回目。
この調査におけるアイヌ民族の人数は、「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、 婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる方」について、各市町村が把握することのできた人数なので、把握できていない方もおられるという意味で「道内に居住するアイヌの人たちの全数とはなっていない」と、ただし書きがされているのでしょう。あるいは、法務省が出している薄い冊子『アイヌの人々と人権』のただし書きには「アイヌの血を受け継いでいると思われる方であっても、そのことを拒否している場合は調査の対象としていません」とありますので、そのような方も含まれているのでしょうか。

調査対象とした世帯数及び人数は、66市町村に6,880世帯、16,786人。前回調査と比べると、6市 町村1,394世帯、6,996人減少しています。7年のうちに約2割の世帯で3割の人口の減少とは驚きです(比較するものがないので、単に数だけ見ての感想ですが)。はて、道外に出られたのでしょうか。減少の原因の分析までは書かれていませんが、調査してもいいように思います。
生活状況の目安として生活保護家庭の比率が出ていますが、前回に比べて1,2倍の44,8‰。ただし、アイヌのみなさんが居住している地域のアイヌ以外の人びとの生活保護家庭の比率は前回に比べて1,3倍と高くなっており、その結果アイヌ以外のみなさんとアイヌのみなさんとの比率は前回の1,6倍から1,35倍と低くなっているものの、いぜんとその差があるのがわかります。ちなみに第1回目の1972年調査結果での比率はアイヌの皆さんのほうが6,6倍も高い数字が出ています。

また、高校への進学率も前回に比べて0,9ポイント減り、92,6%に、大学進学率は8,4ポイント増えたものの、25、8と低い状態が続いています(アイヌ以外は4,5ポイント増えて43%)。

差別経験の有無に関しては、差別を受けたことがあると回答したのは前回の16,8%より多くなり、23,4%に。約4人にひとりは差別を受けたと回答しています。受けたことがないと答えたのは前回の44,9%に比べて減り、35,5%に。まだまだ格差も差別も残っているのです。

ウェブ上で見られるニュース記事は毎日新聞(2014年05月20日)のみ。重なる部分は省略し、抜粋を張り付けておきます。
アイヌ生活調査:生活保護1.3倍 低い大学進学率
 ・・・また、「世帯の年間所得が200万円未満」「生活がとても苦しい」と答えた人の割合がともに全体の約3割を占めた。
 今回の調査対象は1万6786人で、前回より6996人減った。激減した理由について、道は、対象者が高齢で亡くなった▽都市部への転出で連絡先が不明となった▽個人情報保護の意識の高まりで協力してもらえなくなった▽地域のアイヌ協会の会員数が減った--などの理由を挙げている。
 対象は、地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる人や、婚姻・養子縁組などでそれらの人と同一の生計を営む人のうち、過去に就学資金や住宅資金の助成制度を利用したり、地域のアイヌ協会に会員登録したりした履歴があるなど、市町村が把握できた人たち。
 道環境生活部の川城邦彦部長は「今回の調査結果を踏まえ、アイヌの生活向上のために、生活の安定や教育の充実、地域の産業振興などを推進していきたい」と話している。【袴田貴行】
http://mainichi.jp/select/news/20140521k0000m040058000c.html

ところで、前回に書いた、自由学校「遊」の講座の講師である竹内渉さん(アイヌ協会事務局長)に、会員数について質問をしたところ、現時点2400人とのことでした。先ほどの全道調査では道内のアイヌ民族のみなさんは16786人。その中の2400人ということは、14%の方しか会員になっていません。会員条件に18才以上とあるので、18才未満の2335人をのぞいても、14451人中の16,6%というのは低く感じます。その原因はなんでしょうか。
道内では旭川アイヌ協議会のように積極的にアイヌ協会に入らずに別組織をつくっている組織もあります。

明日は、旭川の嵐山で午前10時より第39回チノミシリ カムイノミが行われますので参列してきます。6月6日 9時45分より 北門中学校にて知里幸恵記念祭。




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