アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

広告

※このエリアは、60日間投稿が無い場合に表示されます。記事を投稿すると、表示されなくなります。

メディアの権利

2012-01-28 11:35:45 | インポート
昨日(1/27)、NHK教育chで放送された道徳教育番組「道徳ドキュメント」。マレウレウの活動が紹介されました。
「人生はチャレンジだ~伝統の歌に願いを乗せて~」。
とてもいい内容でした。再放送は2月3日。要チェックです。

もう一つ、ラジオ番組のご案内。最初に案内が来たものに訂正がありました。
当日、国会中継が入るために、時間がずれるとのこと。
<ときめきインタビュー>「痛みを糧として」詩人・絵本作家…宇梶静江
番組名:ラジオビタミン    チャンネル:ラジオ第1
放送日: 2012年1月30日(月) 午前9時頃から4~50分程度



一昨年にお訪ねした台湾には原住民族による原住民族のための放送局がありました。
アオテアロア・NZにもあると聞いていますし、昨年お訪ねしたカナダのオカニス(Okaneese)はリザーブ内にラジオ局を持っており、クリー語で放送されていました。
放送局を持っている先住民族は他にもあることでしょう。
アイヌ民族の放送は二風谷のFMピパウシがあり、PCでも聴けます。
(http://www.aa.alpha-net.ne.jp/skayano/menu.html)。

2008年に国連総会で可決された「先住民族の権利に関する国際連合宣言」に、以下が記されています。
第15 条 【教育と公共情報に対する権利、偏見と差別の除去】
1. 先住民族は、教育および公共情報に適切に反映されるべき自らの文化、伝統、歴史および願望の尊厳ならびに多様性に対する権利を有する。
2. 国家は、関係する先住民族と連携および協力して、偏見と闘い、差別を除去し、先住民族および社会の他のすべての成員の間での寛容、理解および良好な関係を促進するために、効果的措置をとる。

第16 条 【メディアに関する権利】
1. 先住民族は、独自のメディアを自身の言語で設立し、差別されずにあらゆる形態の非先住民族メディアへアクセス(到達もしくは入手し、利用)する権利を有する。
2. 国家は、国営メディアが先住民族の文化的多様性を正当に反映することを確保するため、 効果的措置をとる。国家は、完全な表現の自由の確保を損なうことなく、民間のメディアが先住民族の文化的多様性を十分に反映することを奨励すべきである。(市民外交センター仮訳 2008・9・21)


15条1では、アイヌ民族は教科書や教育の内容、公共のメディアなどでアイヌ文化、伝統、歴史や願望をきちんと紹介される権利を持っていること。16条1には、先住民族には独自の民族メディアを設立し、また一般のメディアに触れる機会を保障される権利があること。
15条2と16条2には、日本政府はその権利を守る義務があることが書かれています。日本政府は公共政府であるNHKや民間放送に対し、アイヌ民族の多様な存在が放送されるよう働きかける義務があるのです。(参照:市民外交センターブックレット3 アイヌ民族から見た「選球民族の権利に関する国際連合宣言」の解説と利用法)

この権利を有効に用いて、アイヌ語による放送やアイヌ民族の権利推進を促したり、歴史や文化を紹介する番組が出来たらいいですね。

過日の「アイヌ民族党」結党大会には参加できませんでしたが、詳しい情報を頂いてからUPします。


京都の清水寺境内にある碑を確認し、撮影してきました。


裏に記述されていた解説は画像をクリックすると大きくなります。


大学等におけるアイヌ人骨の調査が始まる

2012-01-14 10:01:13 | インポート
前回blogに関して、勉強不足だとのご批判を頂きました。ご指摘の通り、原典に当たらず論文紹介から意見を述べたことを反省します。今後、じっくりと確認作業をしようと思います。若干、前回blogを削除しました。

11月14日に開催された第2回「アイヌ政策推進作業部会」の議事概要「2 大学等におけるアイヌの人骨の保管状況等の把握について」の文部科学省からの説明に、大学等に保管されているアイヌの人骨について、遺族等への返還や象徴空間への集約を行うため、大学等の協力を得て保管状況等の把握を行う調査を実施し、2013年12月を回答期限としていることが書かれていました(今回は少し分かりやすい議事概要でした)。

①調査対象は、国公私立大学及び大学共同利用機関において保管しているアイヌ民族ものと考えられる人骨。国公立大学及び大学共同利用機関については、全てを調査対象とする。私立大学については、可能性があると考えられる医学、看護学系の学部、文学系の学部を設置している大学を対象範囲とする。
②出土場所、骨の形態、記録等から、アイヌの人骨であると認識して保管しているものの有無を調査し、保管が「有」と回答された場合は、人骨の情報、保管に至った経緯、人骨の出土等に関する情報、人骨等の保管状況に関する情報について調査する。
③返還を見据え、個体ごとに調査を行う。  (注・ナンバー付けはわたし)

調査がやっと始まりました。実際にA大学の各学部に配布された文章を手に入れました。各大学にて誠実に調査がなされることを願います。


「イヴェント情報」にはすでにUPしているものもありますが、いくつかあらためてご案内します。

※知里幸恵が歩いた道のり パート10 ファイナル
 日時 2012年1月15日(日)  会場 旭川市民生活館2階講堂(旭川市緑町15丁目 
  第一部 講演 金田一秀穂さん(杏林大学外国語学部教授)  「金田一家の掟(おきて)」
  第二部 対談 金田一秀穂さん×知里むつみさん(知里幸恵 銀のしずく記念館館長)
 参加費 1,000円  収客人数160名先着順
 主催:知里幸恵を歩く会  問合せ(代表:中島啓幸 090-6219-0091)


※さっぽろ自由学校「遊」連続講座「市民とともに考える これからのアイヌ政策」第4回講座
  「道外のアイヌ民族に対する政策について」  
 講師 宇梶静江さん(アイヌウタリ連絡会代表。吉川英治文学賞受賞(2011))。
 日時:1月18日(水)18:30~20:30  会場:さっぽろ自由学校「遊」
 参加費(単発):一般1,500円 会員・学生・アイヌ民族1,000円 http://sapporoyu.org/


※アイヌ民族党 結党大会
 日時:1月21日(土)13時  会場:江別市民会館大ホール
 参加費 1,500円  主 催:アイヌ民族党結党準備会(代表 萱野 志朗)
 問合せ 同準備会事務局 北海道沙流郡平取町二風谷80-27 電話 01457-4-6033



道内いたるところで寒波と吹雪が襲っているようです。
留萌も市外に出られないくらいホワイトアウト状態です。明日の旭川はあきらめなければならないでしょう。
ご自愛下さい。


「矢内原忠雄におけるキリスト教植民地主義」

2012-01-13 10:56:29 | インポート
日本政府のアイヌ政策推進に関して、進み具合が全体的に把握できるように工夫をしてほしいと推進会議の方にお願いしたところ、その通りですと言わんばかりにうなずかれたので待っているのですが、一向に推進会議の議事概要も遅いし、内容も不透明な記述のみなのにがっかりです。一方では国民の理解(マジョリティの理解)が必要だといいながら、努力を怠っているとしか思えません。早急の対処を望みます。作業部会議事概要は以下。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/kaisai.html


今年度のわが家のクリスマスカードの手作り飾り。(図をクリックして拡大)
近くの海岸からとってきた小石をプレゼントに見立てました。オロロン鳥もいます。


数年前に当センターに実習に来てくれた農村伝道神学校4年の佐藤真史さんの卒論を送って頂き、興味深く読ませて頂きました。
タイトルは「矢内原忠雄におけるキリスト教植民地主義」。わたしと同じく無教会主義の基督教独立学園高校を卒業後、農伝で学んだ佐藤さんは、高校時代に内村鑑三や矢内原に触れることが多くあった。しかし、姜尚中著『オリエンタリズムの彼方へ」にある矢内原批判に触れ、矢内原を「重層的」に理解しようと論文のテーマに決めたようです。
興味のある部分だけの引用となりますが紹介します。

矢内原(1893~1961)は、愛媛で生まれ、1904年に神戸中学に入学。当時の校長は札幌農学校二期生(内村や新渡戸稲造と同期)の鶴崎久米一(これも不思議な接点ですね)。後に、内村の聖書講義に出席するようになり、無教会キリスト者となります。
1913年に東京帝国大入学。吉野作造の政治学や、1909年に開講したばかりの新渡戸稲造による植民政策学に深い影響を受ける。卒業後、住友総本店に就職するも、1920年に新渡戸が国連事務次長に内定したことを受けて、その後任助教授として東京帝大に赴任。留学を経て1923年以降、植民政策学の基礎を築く。この頃の代表的著作には、『植民及植民政策』(1926年)、『帝国主義化の台湾』(1929)、『満州問題』(1934)、『南洋群島の研究』(1935)、『帝国主義下の印度』(1937)など有り。
じっくり読んで内容確認をしたいですね。
しかし、日本の中国侵略政策、満州政策を批判し、1937年12月に大学を辞職。戦後の1945年11月に復職し、大学総長になって活躍。

日本において1890年に札幌農学校にて植民学講座が始まります。「植民史」(96年から「植民論」と改名)で、最初の講義担当者は佐藤昌介(後に新渡戸稲造と佐藤が交互に担当 過去blog参照 http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=3879188)。
次いで1909年に東京帝国大学に「殖民政策学講座」が開講。その時の初代担当教授が新渡戸。彼の後を次いで、2代目の担当教授が矢内原。
矢内原が著書『植民及植民政策』の最初に新渡戸に対し、『特別の謝意』を捧げていることを佐藤さんが紹介してくれています。
「・・・(新渡戸)先生より、私は深き師恩を受けた。人格尊重の観念及び之に基づく植民政策論は、最も私を感銘せしめたる先生の教の一であった」

「野蛮」の対極に「進歩した文明」を位置づけ、「文明の伝播」として植民思想を推し進めて行った新渡戸を継いで、矢内原は「植民地人に愛の福音を告ぐべき」と「異邦伝道」を結びつけたようです。

矢内原の植民地当時政策は、
①従属主義(被植民者への利益を考慮せず、完全従属を強いる) 
②同化主義(植民地の本国化) 
③自主主義(被植民地の歴史的特殊性を認め、自治を認めるが独立を認めず協同一大帝国を維持)
の三つに分けられ、矢内原は③を提唱。
これにもキリスト教の「愛」からの発想があり、①②は「植民者の利益中心主義」であって、③こそが「虐げらるるものの解放、沈めるものの向上、而して自主独立なるものの平和的結合」という「希望」につながると考えていたようです。

論文は矢内原が「文明の伝播」思想に基づき、どのようにアイヌ民族への差別意識を内在化させていたかを検証。そこには松浦武四郎(『知床日誌』他)や長谷川修(『レラ・チセへの道』P.248ff)にあるようなアイヌ民族への共感はなく、むしろ「『野蛮』として一方的に規定するものだった」ことを論じています。

最終章は割愛しますが、矢内原のもう一面、「キリスト教植民地主義を内面化しながらもポストコロニアル神学に繋がる視座」について論証しつつ、日本基督教団批判を浮き彫りにしています。

勉強になりました。より詳細に参考文献も確認しつつ深め、歴史の反省と共に宣教の課題を確認したいと思いました。




暑寒別岳の朝焼け 青
留萌も寒い日が続きます、昨日朝に引き続き今朝もマイナス8度を下回りました。
それでも午後には元気に遊びに来るこども達に元気をもらっています。
みなさん、ご自愛下さい。


アイヌ民族党

2012-01-10 09:25:37 | インポート
2010年3月末から5月末にかけて、国会議員722人に対し、「先住民族政策を改善・拡充するための国会議員アンケート」を先住民族の10年市民連絡会が行っています(先住民族の10年News第167号)。
議員722人中の内、有効回答はたったの21人(2.9%)。その政党別内訳は民主党11人、社会民主党1人、自由民主党3人、公明党1人、日本共産党1人、新党日本1人、みんなの党1人、無所属1人。
回答者全員が「先住民族の権利についてもっと知りたい」と回答しているようですが、国会や政府の公的な政策に関して「知っている」と答えなかった議員がいるのは驚き。
「アイヌ政策推進会議設置」に関して「知っている」と答えたのが71%。ということは、「知らない」と答えたのが29%(6人?)もいたということですね。「北海道旧土人保護法」を知らなかったと答えたのは16%(3人)、国会決議は24%(5人)。もちろん「知らない」と回答しにくかったかも知れないので正しいことは不明。
分析者の上村英明さん(市民外交センター)は、「アイヌ民族の権利を含む先住民族の権利を、あるいは人権という視点からのこの権利をきちんと追いかけている議員が心もとない」と感想をもらしておられます。

国連先住民族権利宣言採択直後の第168回(臨時)~170回国会衆参議院質疑では、新党大地の鈴木宗男さんがしつこく何度も質問をしました。http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm (これを皮切りに多数)
その他、共産党の紙智子さん、http://www.kami-tomoko.jp/sitsumon/168/071109.htm
民主の逢坂誠二さん、http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htm
社民の福島みずほさん、http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/syuisyo/168/syuh/s168105.htm
以上、わたしが確認できた質疑ですが、その後、第177回で民族の権利としての捕鯨に関する質問「政府によるアイヌ民族政策に関する質問」(浅野貴博) http://www.shugiin.go.jp/index.nsf/html/index_shitsumon.htmひとつを見つけました。しかし、他は全く見当たりません(見逃しているかもしれません)。

アイヌ政策推進会議の審議も含め、多くの疑問や批判が出る中、国会では波風立たぬ静けさであることに疑問を感じます。

「アイヌ民族の権利確立を考える議員の会」はその後、どのような活動をしているのか少し調べると、浅野貴博衆議院議員のblogに2011年6月16日に総会を開催とありました。取り上げられた課題は、主に①昨年12月に場所として北海道白老町が内定した、「民族共生の象徴となる空間」の早期建設②道外アイヌの方々の生活実態調査を踏まえた政策の展開 とのこと。
さらに、相原久美子参議員議員のblogに同年11月30日に議員の会が開催されたことが記載されていました。内閣官房アイヌ総合政策室から「平成24年度予算要求についての説明」と「アイヌ人骨に関する調査についての説明」を受けた、と。どうも、アイヌ政策推進会議の審議をそのまま認めているようです。

一方、アイヌ民族自らが直接、アイヌ民族の権利を推進しようと「アイヌ民族党」を結成したことは、すでにニュースで話題になっています。
報道blog参照(http://blog.goo.ne.jp/ivelove/s/%A5%A2%A5%A4%A5%CC%CC%B1%C2%B2%C5%DE)
同党の準備webサイトも立ち上がっています。http://www.ainu-org.jp/

<基本政策>は以下の通り。
1.アイヌ民族の権利回復と教育・福祉の充実
「先住民族の権利に関する国連宣言」の法制化
言語権、土地権、資源利用権、自治権、教育権の保障
「アイヌ民族庁」の設置、公的代表機関の設置、特別審議会設置
幼稚園から大学までのアイヌ民族教育機関の設置
アイヌ民族の歴史と文化に関する理解を広めるための教育の実施
アイヌ民族固有の課題に対応する福祉政策の展開
2.多文化・多民族共生社会の実現
学校におけるバイリンガル教育・多文化教育の実施
地域における日本語教育の充実
外国人学校・民族学校の制度化
永住外国人への地方参政権付与
3.自然との共生を基盤とする持続可能な社会の実現
再生可能エネルギーの利用促進と脱原発
農林水産業の再生と自然保護


来る1月21日(土)13時、江別市民会館大ホールにて結党大会を諸国の先住民族を来賓に迎えて行うとのこと。

国が自らの責任としてアイヌ民族の多様な訴えを丁寧に傾聴し、奪われてきた権利を回復するための政策を一日も早く実現することを望みます。


暑寒岳の朝焼け
寒い日が続きます。みなさん御自愛下さい。
年末・年始と来客あわせて10人でにぎやかに過ごしたものの、
咳風邪を患い、ダウンしていました。