アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

9回有識者懇 報道

2009-06-30 09:38:36 | インポート
昨日、29日の有識者懇の報道が今の時点で毎日、読売、共同通信、時事通信で報じられました。以下、毎日新聞を引用します。

アイヌ有識者懇:「新法」明記を合意 来月提出 報告書に追加へ
(毎日新聞 2009年6月30日 1時46分)
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長=佐藤幸治・京都大名誉教授)が29日、首相官邸で開かれ、アイヌの就業支援や奨学金などの生活向上策を全国で実施することなどを盛り込んだ報告書素案を大筋で了承した。素案段階で記述のなかった新たな立法措置については「個々の施策を実施する上で立法化は必要」として、報告書に明記することで合意した。同懇談会は7月29日に報告書をまとめ、官房長官に提出する。
 立法措置は、これまでの懇談会で道アイヌ協会などが求めながら結論が先送りされてきたが、同協会理事長の加藤忠委員が「教育や生活支援など今後のアイヌ施策が不安定になる」などとして、改めて総合的なアイヌ施策の根拠となる法律の制定を求めた。委員間でも大きな異論はなく、立法措置の明記に合意した。
 佐藤座長は会見で、「政府がどのような理念、体制でアイヌ施策に取り組んでいくかを(法律で)表現し、国民に訴えることは(国民理解のためにも)有効」などと説明した。ただし、法律の具体的な内容や法制化の時期については記述せず、今後の国会や政府内の議論に委ねる考えを示した。
 報告書素案は「今に至る歴史的経緯」「アイヌの人々の現状とアイヌの人々をめぐる最近の動き」「今後のアイヌ政策のあり方」の三つを柱としている。「アイヌは先住民族」と明記した上で、生活向上策の実施のほか、過去に収奪された土地・資源の利活用の促進などを盛り込んだ。【高山純二】
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20090630hog00m010003000c.html



報告書素案に「総合的なアイヌ施策の根拠となる法律の制定」の明記を合意したことはよかったです。しかし、「法律の具体的な内容や法制化の時期については明記せず」、国会や政府内に委ねるとはどういうことでしょう?
これが「高いレベルで有識者の意見を聞きながら」、まとめたと言える内容でしょうか。わたし達が得られる懇談会の配布資料や議事録などの情報からは、たった数回の、しかも短いヒヤリングで「アイヌの人々の生活状況や差別等に関する実態把握」が出来ているようには思えませんでしたし、「これまでのアイヌ政策の評価」も出来ているかも疑問が残ります。さらに「先住民族の権利に関する国際連合宣言や諸外国における先住民族政策等を整理」についても・・・・。やはり、一年(10回)では短すぎるのではないでしょうか。
「提言の取りまとめ」も、もっと大胆に先住民族の側に立って行なうべきだと思います。
現在までの記事は他には以下の通り

読売新聞(2009年6月29日23時49分 )
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20090629-OYT1T01183.htm

共同通信(2009/06/29 19:48)
 http://www.47news.jp/CN/200906/CN2009062901000712.html

時事通信(2009/06/29-18:25)
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2009062900748


淡路島キャンプ場ワークキャンプに参加された皆さん。こどももお父さん達も、先生もよ~~く働かれ、感動しました。


昨日は午前中に大阪の民族博物館を見に行き、午後3時から御影の兵庫教区クリスチャンセンターで開催される集会で活動報告をさせて頂きました。遠くは赤穂のN牧師や、網干からも来て頂き感謝でした。
今日はこれから札幌に戻り、明日から二風谷で開催される「世界先住民族サミット」一周年記念会に参加してきます。




有識者懇に注目

2009-06-29 08:16:43 | インポート
今日、29日は6月の有識者懇の日。
前回の読売、毎日、北海道新聞の各紙に掲載された「素案」の資料を早く見たいですし、審議内容も知りたいですね。
先住民族として「文化」だけを配慮する内容で報じられていましたから「新たな立法措置についての行く先も意識を持って注目しています。

旭川の川村カ子トアイヌ記念館館長であり、旭川アイヌ協議会会長である川村シンリツ・エオリパック・アイヌさんらが「アイヌ新法」の制定を政府に申し入れたというニュースが入っています。以下、引用。

アイヌ民族法制定を 旭川の協議会政府に申し入れ(北海道新聞06/26 07:11)
 旭川アイヌ協議会などは25日、アイヌ民族の先住権・自決権に基づく施策を保障するアイヌ民族法の制定などを政府に申し入れた。
 同協議会の川村兼一会長、和人とアイヌ民族で構成し、民族の権利回復に取り組むアイヌ・ラマット実行委(東京)の出原昌志共同代表らが東京・赤坂の内閣官房アイヌ政策推進室で、担当者に申し入れ書を手渡した。
 政府のアイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会の議論が大詰めを迎える中、政策に自分たちの意見を反映させる狙い。
 このほか、《1》同化政策などに対する政府と天皇の謝罪《2》土地、資源などを奪ったことへの賠償《3》国会と地方議会の民族特別議席《4》アイヌ語を中心にアイヌ文化・歴史を学べる教育機関設置-などを求めている。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/173830.html


謝罪を政府ばかりではなく天皇にも要求したこと、賠償問題、特別議席など、重要な内容ですので後日、実物を頂けるようお願いしてみます。25日の行動ですから今月の有識者懇で審議される「素案」に新法案がないことを受けての要求ということでしょう。今後も焦点となっていくところだと思います。


アイヌ民族の権利回復の動きと共に、以下のようなニュースが入って来ました。以下、引用。

アイヌ民族修学貸付金 道「返還前提」を検討 (北海道新聞06/27 07:42)
 道は26日の道議会予算特別委員会で、アイヌ民族の大学進学のために設けた「修学支援貸付金」の大半が返還されていない問題について、返還を前提とする制度への見直しを検討する方針を示した。
 道によると、2007年度までに貸し付けを受けた人は986人で、額は24億9千万円。しかし、卒業後の年収が585万円以下などの場合は減免が認められるため、21億円の返還が免除されている。
 稲垣利彰環境生活部長は「返還を前提とする制度が望ましい」と、来年度からの見直しに向け、道アイヌ協会や有識者に意見を聞くことを明らかにした。
 また、道は支援策の対象者となるアイヌ民族の認定について、これまで同協会や市町村長の推薦に委ねてきたが、戸籍による確認など「有効な方法について研究していく」と述べた。
 道アイヌ協会羅臼支部の会員数が1997年に急増した問題では、道の調査結果に関して「会員数の増加によって、道のアイヌ施策を不適切に利用するなどの例は見られなかった」とした。
 自民党・道民会議の小野寺秀氏(帯広市)の質問に答えた。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/education/174030.html


修学支援(保障)も先住民族の権利として国レベルで考えていくことが今後前提とされなければいけないと思いますし、「アイヌ民族の認定」についても、自己決定権を持つアイヌ民族みずからが認定をしていく必要があると思います。

さて、27日の西宮での集い、28日の西宮公同教会での説教奉仕を無事、終えました。
集いでは30名近くが熱心に聞いて下さり、今後の動きに注目して頂ける様お願いしました。
礼拝後は淡路島にある兵庫教区のキャンプ場整備のワーク・キャンプに参加。みんなよく働きました。
今日はこれから大阪の民族博物館を見に行き、午後3時から御影の兵庫教区クリスチャンセンターで開催される集会で活動報告をするべく参加します。




高橋北海道知事の立法措置記載要求

2009-06-26 05:24:08 | インポート
昨日の毎日新聞(2009年6月25日地方版)に、以下の掲載あり。以下、引用。

アイヌ有識者懇:立法措置の記載、改めて求める--報告素案で知事 /北海道
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の報告書素案で新たな立法措置の記述がなかったことについて、高橋はるみ知事は24日の会見で、立法措置の記述を盛り込むよう改めて求める考えを示した。高橋知事は懇談会委員を務めており、4月の懇談会で総合的なアイヌ施策推進の根拠となる法律の制定など計6項目を提言した。【高山純二】
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20090625ddlk01010229000c.html


高橋知事が4月の懇談会で要望した通り、この度もあらためて有識者懇の報告書素案で新たな立法措置の記述を盛り込むように求めるとのこと。

新聞の記事だけでは情報が少なすぎます。昨日、川村カ子トアイヌ記念館を訪ねた際に、北海道アイヌ協会より有識者懇の関連文章がさっき届いたと見せて頂きましたが、それらは先月開催された懇談会の議事内容・諸資料、4月の議事録など、URLで入手できるものだけで今回のは入っていません。

阿部ユポ北海道アイヌ協会副理事長が講演等で強く主張し続けている、トライパータイト・コミッティ(先住民族・政府・国連機関による国内三者機関)は必要だとわたしも思います。声を大にしてアイヌ民族の声をきちんと聞いていく継続した審議機関設置を求めます。

いま一度、この有識者懇の設置目的を確認すると、
首相官邸内の有識者懇URL(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/index.html)を参照すると、主旨は
「高いレベルで有識者の意見を聞きながらこれまでのアイヌ政策を更に推進し、総合的な施策の確立に取り組むため」とあり、検討事項は以下の通り。

(1)アイヌの人々の生活状況や差別等に関する実態把握
(2)これまでのアイヌ政策の評価
(3)「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を参照し、諸外国における先住民族政策等を整理
(4)(2)及び(3)を踏まえた今後のアイヌ政策の検討
(5)提言の取りまとめ

「高いレベル」で「有識者」はこれらの項目をしっかりとやって報告書を作成してほしいと願います。

10年前と違って、多くの人たちが有識者懇へ提言を出しました。それらは、そっくりそのまま有識者懇が出す報告書を評価するときに用いられることになります。なにがどう改善されたか、問題がどれぐらい残ったががすぐに出てきます。その対応も早いことでしょう。

では、行ってきます。


オロンコ岩の頂上から知床の山々を


有識者懇談会の報告書まとめについて「素案」

2009-06-25 23:52:35 | インポート
さて、23~24日の読売、毎日、北海道新聞の各紙に有識者懇談会の報告書まとめについて「素案」の記事が掲載されていました。

読売新聞(2009年6月23日 )
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20090623-OYT8T00027.htm
毎日新聞(2009年6月24日)
http://mainichi.jp/hokkaido/news/20090623hog00m040008000c.html
北海道新聞(06/23 14:07 )
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/173247.html


毎日新聞を紹介します。以下、引用。

アイヌ有識者懇:報告書素案に生活向上策など盛る
毎日新聞(2009年6月24日)
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長、佐藤幸治・京都大名誉教授)は、アイヌ民族への生活向上策や国民理解の促進策の必要性などを盛り込んだ報告書素案をまとめた。29日の懇談会で提示する。焦点になっていた新たな立法措置については記述せず、次回以降の懇談会で議論する。
 素案は「アイヌは先住民族」と明記。その上で「国の政策として近代化を進めた結果、アイヌ文化に深刻な打撃を与えたことから、アイヌ文化の復興に対し、国には配慮すべき強い責務がある」と指摘した。
 さらに、アイヌとそれ以外の人たちとの経済格差に触れ、「道外のアイヌの実態を調査した上で、必要な支援策を検討・実施していくことが求められる」と説明。道が道内のアイヌ対象に実施している就業支援や奨学金などの生活向上策を全国に拡大することを求めている。
 一方、道アイヌ協会などが求めていた「総合的なアイヌ施策の根拠となる法律の制定」については記述がなかった。委員の一人は「次回懇談会で議論することになる」と述べ、何らかの形で報告書に盛り込まれる可能性も残されている。
 また、国民理解の促進策として「アイヌ民族の日(仮称)」制定に触れたほか、アイヌ文化の体験・交流を促進し民族共生の象徴となる施設の整備も求めている。
 報告書は早ければ7月末にもまとめられ、官房長官に提出。国はそれを元に施策を検討する。【千々部一好、高山純二】


このような記事が出ているということは、「有識者」メンバーはもちろん、マスコミにも29日開催の懇談会で配布される資料が手渡されているのでしょう。
こんな時こそ有識者懇談会のURLで「資料」UPしてくれるといいのですが(最近は遅い)。
ですから、記事を見てしか想像できないわけで、大変、もどかしいです。

まず、「アイヌは先住民族」と明記されたというところまでは良しです。今後、先住民族の権利に関する国連宣言を利用して、先住民族アイヌとしての権利を訴えていけるようにしていけばいいでしょう。
次の、国の政策の結果として深刻な打撃を与えたのがアイヌ「文化」ということは読売も書いています。これまた10年前と同じく「文化」のみを扱うのではと不安になります。道新は
「明治以降の国の政策で土地資源の利用が制限され、文化にも打撃を受けたと歴史的経緯を明記。」と土地資源の利用が制限された事も書いていますが。

経済的格差についても道外への拡大を書いていますが、道内の今までのアイヌ政策はどうだったのかの評価についてはしっかりとしてきたのでしょうか。

何よりも「法律の制定」も明記されていないことが心配です。「次回」という記述もありますが、とにもかくにも大事にして頂きたい部分です。
有識者懇のメンバーでもある、加藤忠北海道アイヌ協会理事長も、第2回有識者懇談会で①権利回復のために立法処置をとるようにと要望していますし、第7回有識者懇談会で高橋知事も6項目の提言の1に、「1 立法措置  アイヌの人たちに対する生活支援、教育支援及び産業振興など総合的なアイヌ施策の推進の根拠となる法律の制定」と書いています。

道新には「有識者懇の終了後もアイヌ政策を継続審議する機関や、民族の文化や歴史を研究・教育・展示する象徴的施設の必要性にも触れている。」と明記されていますが、この部分も大切にされるべきでしょう。

予算の設置や、調査がきちんとできたかなど、他にもチェックするところがありますが、とにもかくにも、目を離せない状態です。




昨日から東京でドキュメンタリー映画を撮っているCHI~さんが泊っており、アイヌ民族の権利のことや、日常のことなど語りあっています。
今日は一緒に午後いっぱい、旭川嵐山のチセ作りのお手伝いに行って来ました。HEIちゃんやKUROさん、SHIKさんとおなじみの皆さんと会えてうれしかったです。
足場の悪いところで少々、疲れてしまいましたが、その後、川村カ子トアイヌ記念館を訪ねると、なんと、マレウレウのメンバーの皆さんがきれいに衣装をきて、わたしをお迎えしてくれるではないですか!
って、わけではなく、おもむろに「今、帰ってしまったよ~。残念だったね」と言われ、何のことやら。実は、歌手の夏川りみさんがロケで来てたって! お互いに歌も披露したようです。
7月30日にNHK総合で流れるそうです。時間が分かり次第にUPしますね。
ちょっとは残念でしたが、マレウレウのメンバーに会えただけでもラッキーでした。
8月に東京でライヴがあるようです。今日聞いたら札幌でもあるそうです。




明日から兵庫教区からお招きを受け、お話をさせて頂きに参ります。礼拝の説教も頼まれましたので、奉仕させて戴きます。30日に札幌には戻りますが、翌7月1日から一泊で二風谷にて先住民族サミットの1年記念の集いがあるので、そのままそちらに向かいます。


第30回樺太移住殉難者墓前祭

2009-06-25 10:59:41 | インポート
知床エコ・ツアーを終えた翌日の20日は、イサウさんらは北方民族博物館を経由して名寄へ。
わたしは滝川を経由して江別へ向かい、第30回樺太移住殉難者墓前祭に参列。
故石井清治さん、そして小川隆吉さん、豊川重雄さんらの樺太史料研究会の活動から、江別真願寺に保管されていた過去帳が発見され、それを頼りに殉難者の遺族が呼び掛けあって1979年に第一回墓前祭を開催。1999年から墓前祭に加えて樺太先住者の様式に則った先祖供養が行なわれています。
この数年、わたしも参列させていただいています。



帰りの足で、その日から行われている「アプカシ1年記念の集い」に顔を出しました。が、メンバーはまだ墓前の前だったのでカンパだけ置いて帰宅。


21日(日)は礼拝をすませ、その日教会で開催されるフリーマーケットのセッティングだけをして、あとは教会員に任せ、名寄教会の牧師就任式へ。そこで、イサウさんらと再会し、留萌までおつれして、夜には再度、米インディアナ大のshingo君も加わり、「タロコ民族と国定公園」講演と交流で歌ありわらいありのにぎやかな夜を過しました。
(shingo君は朝から留萌の礼拝に参加し、続けてフリマにも積極的にお手伝いしてくださったとか。感謝! 収益2万円は海外医療協力他へ献金します)。



翌日の22日(月)はイサウさんらを札幌へ送迎するついでに、増毛でイチゴ狩り。台湾にもイチゴがあるとのことで、甘くて美味しいイチゴの見分け方をイサウさんから聞きました。ラッキー。



石狩を通ったので、樺太アイヌの碑に案内し、樺太アイヌの強制連行について説明させていただきました(一昨日の墓前祭のことも)。みなさん真剣に聞いてくださいました。

無事に札幌に到着して北海教区の山本幹事と面会し、わたしは帰路へ。18日からの走行距離は1700キロ。疲れましたが、いい出会いでした。

台湾の原住民族のみなさんは、ハンターを禁止されていてもおかまいなく狩猟しているとのこと。
逮捕されないのか聞きますと、逮捕される事もある、と。しかし、それでも、昔から行なっていた当然の権利としてやりつづける、と。釈放後すぐに猟をはじめるのだそうです。たくましいですね。
権利主張でよく警察ともぶつかるそうです。
わたしの学んだ「原住民族基本法」も、台湾ではあれは法というより「声明」のようなもので、ほとんど力がないんだということには驚きました。もっともっと現実を知りたくなりました。ディヴァン宣教師とも学びを深めることを確認しました。また是非ともタロコ国定公園での原住民族エコツアーに行きたいです。イサウさん、ゴロさんとの再会を楽しみにしています。


シレトコ・オロンコ岩(オロッコ民族と戦ったという伝説があるようです。朝に頂上まで登りました)


阿寒湖アイヌコタン~知床先住民族聖地巡礼エコ・ツアー

2009-06-25 09:30:22 | インポート
18日からイサウさんらと合流し、当センタースタッフと共同で阿寒湖アイヌ・コタンへ。

到着後、いっぷくしてちょうどにユーカ(ラ)劇「天駆ける英雄の物語」が始まるというので鑑賞。 (ラ)は小さい「ラ」
見ごたえのある劇でした。観客がわたし達だけだったのがもったいなく思いました。演出、音響、照明、衣装と素晴らしかったです。
イレシュサポが魔物との闘いを繰り広げる場面で、アイヌ女性の勇者が激しい空中戦をするのだと、ある方が以前に教えてくれたことを思い出しました。

夜は「千本たいまつ行列」に参加。幸運の森商店街を抜けてアイヌコタンへ。イサウさんたちも喜んで参加されました。朝は湖のまわりと森を散策して「ボッケ」、松浦武四郎碑を見て、いざ、知床へ。




阿寒からウトロまで車を走らせながら、車内では野生動物発見ゲームでみな真剣!
さいしょにわたしがオオワシを発見して1点取得。次に見えにくいところの鹿をイサウさんがみごとに見つけて1点。さすが名ハンター。瞬く間に酋長の家に到着。そこでアイヌ・アート・プロジェクトのメンバーでもある早坂さんと待ち合わせ、アイヌ民族聖地巡礼エコ・ツアーに案内していただきました。


最初に亀岩と呼ばれているところのふもとにある竪穴式住居址へ。北大が毎年調査に来ているそうですが、オホーツク文化期のものとのこと。その後、亀岩を登るに際してアイヌプリで祈りをささげて、少々、急な坂道を登りました。頂上にはたくさんのチャシコツ(城柵跡)や住居址がありました。詳しく説明を受けて下山したあとに、さらに別のチャシコツへ(うっかり場所をメモし忘れた!)。知床には多くの先住民族の聖地があるそうです。その場所をたどりながらカムイと共に生きてきた先住民族アイヌの考え方や生き方を聞かせて頂きました。
広がる海や先ほど登った亀岩が見渡せる場所でトンコリ演奏も聞かせて頂き、満たされた時間を過す事が出来ました。
そこでわたしがイルカを数頭発見。10点を獲得して当日のゲームを優勝! なんだかこどものような純粋さでワイワイと過した数日でした。

夜は酋長の家で美味しい手料理を頂き満喫した一日でした。




講演 「台湾における開発と原住民族ー太魯閣国家公園の場合ー」

2009-06-25 09:21:09 | インポート
ビャッホッ!(タロコ民族の「こんにちは」の挨拶)

18日(木)より22日まで、阿寒湖アイヌ・コタン、知床アイヌ民族エコ・ツアーとタロコ民族のイサウさんらと情報センタースタッフで行動しました。今日はこれから旭川嵐山のチセ作りの手伝い、明日から兵庫と慌しいですが、今のうちに若干の報告を載せておかないと瞬く間に今月が終わりますので、駆け足で報告します。

最近の有識者懇のニュースも気になりますので、日誌は簡単に!


まずは16日(火)に北大アイヌ・先住民研究センター講演「台湾における開発と先住民族‐太魯閣国家公園の場合‐」で、スコットさんとイサウ・タタオさんのお話を聞きました。

タロコ民族はアタヤル(タイヤル)民族の支族とされていたところから独立し、2004年に台湾政府から12番目の原住民族として認められます(なぜ先住民族といわないかは09/4/28blog参照)。
原住民族への抑圧について聞く事が出来ました。
隘勇線(あいゆうせん)、撫墾署、新城事件(1896)、佐久間左馬太の五年理蕃計画などはじめて聞くことばかりでした。
1872年より米国は先住民族の土地に国立公園を設置し始め、他国のモデルとなります。この当たりももう少し調べてみようと思います。
台湾では1979年に国家公園法ができ、‘86年に太魯閣国家公園が設置されます。
公園法による束縛と先住民族の権利とのぶつかりも多くあることを知りました。
先住民族としての権利回復運動が進んでいると思えた台湾も、まだまだ課題があることを伺うことが出来ました。おいおいこのblogにおいても紹介していきたいと思います。
イサウさんはこの国定公園の中で生活をしています。徒歩でないと行けない山道を三時間登って家まで行くそうです。インターネットで調べると緑の深い、とても素晴らしいところです。



イサウさんはタロコ民族の教会の長老と伺っていたので60代の方かと思いきや、お若い方でした。
スコットさんも40代前半でユニークな方でした(画像は小さくしています)。


その日は米インディアナ大で学んでいるSHINGO君が留萌で鰊(アイヌ語でヘロキ)調査に来るというので一緒に乗せて帰宅。彼と二日間、いろいろな情報交換をしました。「イシ・最後のインディアン」の衝撃的な話なども聞き、よき学びとなりました。



台湾 タロコ民族

2009-06-15 20:24:04 | インポート
15日(月)の今朝も早朝の5時に起き、隣町の高野さんの畑へ行って来ました。恒例の自然農法での赤花豆作りの種植えです。自然の中で2時間ほど汗を流しながら種まきを行い、とても気持ちのいい朝でした。
今年の畑もはるか山の中ですが、山道に面しているので少し安心(昨年は車も入られない細い道を長く歩かねばならなくてとても恐かったです)。


長さ100mの畝2本に50センチ間隔で豆を植え、鳥についばまれないようネットをかけています。
左上に見えるのは白の軽トラ。ちょうど真ん中の50メートル地点にありますが小さく見えるでしょ? 広い畑です。


昼から夕方にかけては事務やたまった仕事をこなし、夕方にはいつもの近所の小学生が遊びに来ました。
「○○君がわたしを嫁にもらってくれるって」などと恋愛の話にびっくり!4年生ともなるとこんな話になるのか・・・。「嫁」という言葉も久しぶりに聞くけれど、「でもさぁ~、○○くんて、わたしのこと好きだといいながら○○ちゃんのことも好きで浮気されちゃった」って・・・人生多難ですなぁ~。
明日は運動会だというので、午前中に少し応援に行ってきます。

夜は北大アイヌ・先住民研究センター主催の講演があります。
テーマ 「台湾における開発と原住民族ー太魯閣国家公園の場合ー」
日時 6月16日(金)18:00~20:00(開場 17:30)
報告 Scott Simon[オタワ大学准教授]、Isaw Tadaw[同禮自然生態自治協進會]
会場 北海道大学クラーク会館3階大集会室  主催 北海道大学アイヌ・先住民研究センター
※ 通訳付き ※ 入場無料、参加自由


スコットさんとタロコ民族のお二人とは、18日から阿寒湖のコタンを訪問し、知床でアイヌ民族エコツアーを計画。その後、21日に行なわれる名寄教会の礼拝と牧師就任式も参加して頂きます。タロコ民族のお二人はキリスト教会の長老とのことですから、日本での礼拝や行事を見ていただこうと考えたのです。
21日の夜は留萌に来て頂き、当日開催している「太子祭」や、翌日には「いちご狩り」などで楽しんで頂こうとも考えています。楽しみです。



倉田牧場の風景

このイヴェントが終わると兵庫教区に招かれて26~30日までの間、お話と礼拝奉仕に行きます。なるべく多くのところでお話しをさせて頂き、アイヌ民族の権利回復の働きに理解と協力を頂けることを願っています。


八雲~瀬棚へ

2009-06-15 19:36:13 | インポート
12日(金)は、北大アイヌ・先住民研究センター主催講演会「アメリカ・インディアンの政治的活動とその影響」を聞きにいきました。
フィリップ・デロリア(Philip Deloria)さんはアメリカ・インディアンのラコタ民族のおひとりであり、アメリカ・インディアン史、環境歴史学専門。現在、アメリカ学会(ASA)会長、ミシガン大学教授。
父のヴァイン・デロリア(Vine Deloria)さんはコロラド大学元教授、作家であり「神は赤い」「アメリカのインディアンとアメリカの正義」「カスターは汝の罪を背負って死せり」「赤い大地、白い嘘」などたくさんの著作でアメリカ・インディアンを「絶滅の危機から救い出した最大の貢献者」と評する人もいるほど偉大な人物とか。祖父ともに牧師でもあったと聞き、先住民族の牧師とコンタクトを取ってみたいと思いました。

講演内容は30分といえど内容は濃く、反芻しなければ飲み込むことが出来ないものでしたし、同時通訳ゆえ録音できたのが英語のため、再度聞いて確認が出来ずここでの詳細なUPはできません。後日をお楽しみに。
講師の都合で時間が80分と短く、あわただしさを感じましたがより深めていくためのよき学びのときでした。


その日はYOSAKOIソーランで沸いている大通りに行くと、「平岸天神」というグループが踊っていましたので、横から見ていました。
いいですね~ みんな活き活きと楽しそうに踊っていました。どうも今年の優勝者だったようですね。今回の裏テーマは「浦島太郎と竜宮城」って感じでしたな~。エンディングは「みんな、おいらに元気をわけてくれ。カメハメハ~」でした(違う?)。




13日(土)は、八雲の遊楽部まで南下し碑を探してきました。
遊楽部川河口南側にある現墓地の入口に「ヘンケ、サンレイ・・・ヲベリ」と13名の名が連ねてある小さな墓碑と「先駆者ウタリ鎮魂の碑」(上)を見てきました。
小さな墓碑については裏に記述がなくいつのものか不明ですが、「鎮魂の碑」は1984年8月に北海道ウタリ協会八雲支部が建てたことが記されています。

1934年5月より、このユーラップ浜で学術振興会解剖学部によるアイヌ墓地「発掘」が開始されます。「発掘」にたずさわった児玉作左衛門によると、この墓地は砂地のために骨格の保存が良好だったそうで、発掘数もいちばん多く133の墓を掘り、131(頭骨数118)体を「発掘」したと記述されています。男女の内訳は男59、女58、性別不明13、こども13、遺骨のない不在葬が2。男女別の根拠は副葬品だった、というので、それぞれにちゃんと確認できるほどの副葬品が添えられていたということと、それらも児玉らは持って帰ったということですね。
※「八雲遊楽部に於けるアイヌ墳墓遺跡の発掘に就いて」(『北海道帝国大学医学部解剖学室研究報告』第1号1936年)参照。



余市を通りかかったところで虹が出ていました。

その後、瀬棚の河村宅、倉田牧場、西川(和民)牧場を訪ね、さらに回る予定が突如車の運転席ウインドウが壊れるハプニングに見舞われ、その日の訪問を断念し、旅館へ。

翌日は利別教会の礼拝に参加してなつかしい皆さんと再会を喜び、牧師に情報センターアピールをさせて頂き、帰路につきました。
途中の余市のパン屋さんで以前に訪ねたMAKIさんのところへ。前回とは違い、すぐに分かって手を振ってくれました。ご両親に会って来たばかりとの雑談をし、安くて旨いパンを購入してわかれました。


先住民族と警察との衝突

2009-06-11 17:39:47 | インポート
「時事ドットコム」に以下のニュースがありました。

先住民と警察衝突、31人死亡=土地所有権で対立-ペルー
【サンパウロ5日時事】南米ペルーからの報道によると、アマゾン地帯の北部バグア近くの幹線道路で5日、道路封鎖をしていた先住民とこれを排除しようとした警官隊が衝突、少なくとも31人が死亡した。ペルーでは政府への不満から住民の抗議活動が頻発しているが、2006年7月の現ガルシア政権発足後では最大規模の犠牲者を出す事態となった。
 先住民は、政府が昨年打ち出した天然資源や農業開発などの外国投資を促す法令が、自分たちの土地所有権を脅かすとして反発。撤廃を求めて4月から断続的に抗議活動を行っていたという。この日は、やりなどで武装した先住民約2500人の強制排除を試みた警官隊が、ヘリコプターから群衆に発砲したという。(2009/06/06-09:40)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200906/2009060600131


別のBBC NEWS他を参考にすると、ペルー北部アマゾン地域のバグア(Bagua)で道路封鎖を続けていた約2500人の先住民族と投入された約400人の警察隊(治安部隊)が衝突、少なくとも先住民族側は30人、警察側は22人が死亡、約150人の負傷者が出たとのこと(8日現在)。与党APRAのマウリシオ・ムルデル氏は先住民族側を「テロリスト」呼び、一方の先住民族組織の連合体AIDESEPリーダー、アルベルト・ピサンゴ氏は、仲間たちが「獣を殺すように」殺されたと告発しているとのことです。

2006年就任のアラン・ガルシア大統領の政策で鉱山・石油・ガス開発等の天然資源開発が激増、そのため先住民族は、天然資源や土地などに関する複数の大統領令が先住民族の生活を脅かすものであるとして、法律の廃止を求めており、今回の道路封鎖は約2カ月にわたってアワフン(Awajun)民族とワンピス(Wambis)
民族が抗議行動を展開していたところでの衝突だ、と。

「先住民族の10年市民連絡会」から緊急声明の呼び掛けがあり、当センターも賛同することにしました。
声明内容は、アマゾン地域の紛争の中ですべての暴力を即座にやめることを懇願し、ペルー政府及び関係当局に対して以下の要請をしています。
1) 先住民族に対する暴力的弾圧を即座に中止すること
2) 先住民族の活動家の基本的人権を擁護するために、国際的な基準に基づき必要な措置をとること
3) ILO169号条約及び「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を尊重すること

緊急声明のため、賛同呼び掛け期間が短く、またこちらでも仲間の葬儀があったためぎりぎりとなりました。
今後のニュースを待ちたいと思います。

以下は参考サイト
http://ipsnews.net/news.asp?idnews=47142
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/8090548.stm
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2009060600131
http://www.amazonwatch.org/peru-protests.php





長年、お世話になっていた名寄の友人が60歳の若さで天に召されました。腹膜悪性中皮腫という病で、入院10日ほどでのあまりに突然な死でした。お連れ合いを10数年前に亡くされ、男手ひとりで二人の息子たちを育てて、こども達が大学に入ってやっとほっとした矢先のことでした。みんなもあまりの突然なことで動揺しています。わたしも昨夜、今朝と名寄を往復して葬儀に参列してきました。山道の木の葉の中を往復しながら、いのちのまぶしさともろさが心を刺しました。
突然に会えなくなるのはやはりつらいです。
子ども達は彼のさいごの言葉をしっかりと聞いたそうです。よかったです。


明日は北大アイヌ・先住民研究センター主催講演会
「アメリカ・インディアンの政治的活動とその影響」を聞きにいきます。
6月12日(金)18:00~19:20(開場 17:30)
報告者:Philip Deloria[アメリカ学会(ASA)会長、ミシガン大学教授]
モデレーター:常本照樹(北海道大学アイヌ・先住民研究センター長)
会場:北海道大学人文・社会科学総合教育研究棟2階 W202室
共催:北海道大学アイヌ・先住民研究センター、北海道アイヌ協会、在札幌米国総領事館
※ 日英同時通訳付き ※ 入場無料
(本講演会は申し込みが必要とのことで、すでに締め切られていますが、余裕があればいいようです)
<問い合わせ先>在札幌米国総領事館
TEL: (011)641-1115 FAX: (011)641-2416 Email: SACProgram@state.gov



その後、所用で瀬棚を訪ね、利別教会の礼拝に参加して情報センターアピールをさせて頂いたり、児玉作左衛門がアイヌ人骨や副葬品を掘ったという八雲の遊楽部なども行けたらと考えています。彼の論文に地図もありますので。


嵐山チセ作りのお手伝い

2009-06-10 13:57:36 | インポート
9日(火)は、夜に開催される会議の前にと、午後の数時間だけでしたが嵐山のチセ作りのお手伝いに行って来ました。

数年前に川村カ子トアイヌ記念館のチセ作りを一緒にさせて頂いたヘイちゃんも来られていて、全く忘れてしまっていた笹編みを再度、教えて頂き、終わる頃には完璧(?)になっていました。
笹の匂いといい、編んでいる時間の流れといい、ほんの少しの時間ですがリフレッシュしてきました。


笹葺きのチセ(家)は上川地方特有で、南にいくと萱葺きとなります。石狩や二風谷は確かに萱でできています。
竜谷高校郷土部の調査によると、笹葺きは上川と十勝地方。萱は胆振、日高地方、さらに根室地方は樺皮で作るとか。

柱はハシドイ(ドスナラ)を使用(三十年経ったら石に化けるといわれるほど腐らない木といわれているそうだ)。あるいはエンジュ(匂いがきつく、魔よけに使われる9、ヤナギ、カツラなど。たくさんある横木(サクマ)はヤナギ。それに三年ものの7枚の葉のついている熊笹を三つ一束にして紐でくくりつけて行きます。以前はシナの皮を使っていたようです。
編む作業は女性と決まっていたようですが、今回もKさんに手伝いに来てくれと頼まれたので遠慮なく編んで来ました。
(「上川アイヌの研究」第二回研究、他、一緒に作業させて頂いた中での聞き取り参照)


一番上をわたしが編みました。


その後ろ側(チセの中)。それなりに等間隔で紐が巻き付いているでしょ。
下の段は紐の結び目が見えてしまっています。過去の記憶から意識して編みましたから上の段は結び目がないでしょ?(結構、難しいのです)。



アイヌ民族の教えではその家の女性が亡くなると家屋を燃やしたそうです。家は女性の持ち物で、あの世に一緒に持って行ってもらうため(川村カ子トアイヌ記念館の川村館長)とのこと。

しかし、1871年明治政府は家屋葬送を禁止します。同時に男性の耳輪、女性の入墨も禁止、アイヌ語禁止、名前も奪い「創氏改名」などなど、アイヌ民族の伝統的な文化・風俗・習慣など一方的に制限・禁止を1870年代に集中して強要します。
1872年6月に、当時、開拓次官だった黒田清隆は、正院(天皇を補佐して国政を統括するために設置された太政官の最高官庁で、現在の内閣に当たる)へ提出した「届書」で、次のように書いています。

「元来、北海道土人の儀、容貌言語全く内国人とは異種の体をなし、従て風俗も陋習を免れず、即今開拓盛挙の折柄、従前の醜風を脱し、内地と共に開花の域に進み、彼我の殊別なからしめ度」(「開拓使公文録」)
アイヌ民族の伝統的な文化・風俗・習慣は陋習(ろうしゅう=悪い習慣)、醜風(しゅうふう=みにくい習慣)などと言い、奪っていったわけです。(宮島利光著「アイヌ民族と日本の歴史」参照)

今では男性の耳輪もお洒落として定着していますよね。相変わらず固形石けんで髪から足の指まで洗っているわたしにはお洒落は縁遠いはなしですが。そういえば、笹編みで久しぶりにあったHyuu君は耳にピアスの代わりに小さなヒューズをつけていたな・・・。不思議だったけど、Hyuuくんだからヒューズ?と帰りの車中で納得(スペルはFuseで違うか!)




編み始めて四日目だそうです。早いですね~
7月中旬には仕上げたいとの事です。手伝いはさせていただけるようですよ。昨日も東京から来ていた方が手伝っていました。
わたしは何日いけるでしょうか・・・。屋根の部分は危険なので手伝えたらいいかと思います。


第19回「銀の滴降る日 集い」

2009-06-10 11:04:18 | インポート
8日(月)は、知里幸恵さんを記念して知里幸恵文学碑の建てられている旭川市立北門中学校にて第19回「銀の滴降る日 集い」が開催され、参加してきました。
今年で19回になるこの集いは毎年、北門中学校全校生徒が参加して知里幸恵さんのことやアイヌ民族の学びを続けています。
今年は昨年に引き続き、港敦子さんが知里幸恵さんの「アイヌ神謡集」に収録されている「沼貝が自ら語った謡」と、同じ沼貝をテーマにした杉村キナラブックさんからの伝承物語を杉村恵子さんの朗読で聞かせてくださいました。

ふたつは物語としては似ていますが、知里さん伝承は沼貝(アイヌ語でピパ)の殻が粟の穂を摘むときに使われるようになった原因譚(先に現象があってその原因を説明する物語)となっていたり、繰り返しの部分(サケヘ)も違っていたりと、とても興味深く聞かせていただきました。
生徒さん達もはじめて聞くであろうアイヌ語や「サケヘ」のリズム感がこころに響いたことでしょう。

港さんは昨年も紹介しましたが(80/6/12 blog)、独特な謡いで今回も感動!とってもいいです。
オイナのリズムのまま日本語で物語を語ってくれるのです。そしてさいごに再びアイヌ語に戻り、リズミカルなサケヘを聞かせてくれます。物語が終わっても頭の中で物語の場面風景が広がり、サケヘが流れているのです。
彼女は神謡集を韓国語にも翻訳し、紹介されているようです。彼女のウェブサイトは
http://homepage2.nifty.com/at_port/
わたしのブログもリンクしてくださっています(感謝!)

講演の中で、アイヌ神謡集の序文も港さんの朗読で聞かせて頂きました。これまた感動!
内容はご存知の通り深いものですから聞くだけで意義がありますが、彼女の朗読でグッと心に入ります。
「いつかは、二人三人でも強いものが出て来たら、すすみゆく世と歩をならべる日も、やがては来ませう。それはほんとうに私たちの切なる望み、明け暮れ祈っている事で御座います」
いま、まさにそのような時代となっていますね。

知里幸恵さんの弟(高央)さんの娘にあたる横山むつみさんも登別から来られていました。
横山さんは現在、登別にて幸恵さんの記念館「知里森舎」を建てるべく呼びかけています。
ウェブサイトは  http://chirishinsya.client.jp/index.html


お二人の講演の前に川村久恵さんが写真を使って近文アイヌのことを説明


最近、車の中で白沢ナベさんや中本ムツ子さんのカムイユカラなどを聞いています。もっともっと学んだり聞いたりしたいですね。

そう言えば・・・
先日の「ウコ イソイタク 2009」の会場で本田優子さんが声をかけて下さいました。
「アイヌ口承文芸の中の恋愛」講演の感想をほんの少し書いた(6/2blog)のを聞かれたらしく、「今度はわたし一人だけでもういちど話しますから」と。その気迫で熱くなってしまいました・・・。楽しみにしております。


文学碑と幸恵さんが好きだった花エゾカンゾウ



知里幸恵記念祭の時に旭川竜谷高等学校の郷土部顧問の本間愛之さんが合本「上川アイヌの研究Ⅰ・Ⅱ」を下さいました。
竜谷郷土部は40年も前(1967年)から生徒が中心になって上川アイヌの研究を続けています。そして毎年一冊の研究冊子を出しているのです。数年前、留萌図書館で調べものをして手に取ったのがその研究冊子の記念すべき第一号でした(なんで第一回のテーマがアイヌ民族のお墓かが不思議ですが・・・、大変、教えられることが多かったです)。
生徒達がP(plan)D(do)S(see)A(action)の手順でアイヌ民族の皆さんからの多くの協力を得て作成された研究書の40年分をまとめた大作が出来たのです。
先の北門中学校といい、竜谷航行といい、学校教育のモデルになりますね。見事です。

本間さんは、郷土部の2代目顧問(初代顧問は福岡イトさん)。
本間さんとはこのblogを始めた頃に、頻繁に川村カ子トアイヌ記念館でご一緒し、高校生達と一緒にチプ(丸木舟)作りをさせて頂いた仲です。というより、郷土部の作業にわたしが参加させて頂いていたのです。生徒達は授業を終えての作業でしたので日数をかけて完成させました。当時の写真は削除してしまいましたが、想い出に残るひとコマです。本間先生も一緒になって汗をかきながらトンカンやっておられました。
今年は嵐山のチセ作りも手伝うようなことを言われていました。応援しています。感謝!


文学碑の前でカムイノミ



パネルディスカッション「先住民族として認められた意義とは?」に行って来ました

2009-06-09 11:13:25 | インポート
6日(土)は、世界先住民族ネットワークAINU「ウコ イソイタク 2009」
パネルディスカッション「先住民族として認められた意義とは?」に行って来ました。

衆参両議院によってアイヌを日本の先住民族として求める決議が可決されて、はや一年。
そのことを記念して開催された集会でした。また、今後のアイヌ民族への政策を審議するために組織された有識者懇が、期限である一年弱の審議を経て、いよいよ政府への報告書をまとめようとしている注目の時です。
ですから恐らく、佐々木さんから有識者懇が今までどのように進められ、どのようなまとめになるかの報告がはじめになされ、上村さんからは有識者懇としてしっかりと押さえておくべきポイントが整理され、阿部ユポさんからアイヌ民族としての要望がきっちりと出された上で、フロアーと補強しつつ、佐々木さんが有識者懇へと持ち帰るというイメージを勝手に考えて緊張しつつ参加しました。

ところが、どうもしっくりこない内容でした。佐々木さんは有識者懇の代表で来ているわけでもないし、彼が持ち帰って強く訴えることによって即有識者懇にそれが繁栄されるとは思ってはいません。しかし、もう少し積極的な姿勢があるとよかったように個人的に感じたからでしょうか。

いろいろなことに関して取り上げられましたので、これまた個人的にいくつか報告します。

生活安定なくして文化伝承はありえないことを考えれば、生活安定を考えるべきと佐々木さんが言われ、個人的な意見としてアイヌ民族の65歳以上の方々に文化伝承者として国家認証をし、文化伝承者として必要な基金を出したらいいという提案がありました。わが国ではすでに人間国宝と認定された人や文化勲章を受けた人には年金を出しているそうですね。
これに関しては阿部ユポさんが中国残留孤児に年金を出していることを指摘し、法律を変えなくともすぐに実行可能だと補足。上村さんは、高齢者に対する経済的な対策は緊急でこれらの実態を解決させるための知恵をいかに出すかが有識者懇の課題だ、と指摘。
謝罪・補償という議論は続けつつも、早急に対策が必要とされている点で早急に行動へうつすことを考えていくべきだとわたしも思います。

上村英明さん(市民外交センター代表・恵泉女学園大学教授)からは、この6月6日がだれにでも分かるアイヌ民族の記念の日として集会が持たれたこと(シンボリックな日を祝うこと)に意義があると発言があり、加えて、このように議論が続けられていることは今までアイヌ民族の権利回復について無頓着だったことを考えると大変に画期的なことで希望が持てる!と。

さらに、「先住民族の権利に関する国連宣言」(以下、権利宣言)に関しての新しい動きの情報も頂きました。一つは‘07年9月13日の権利宣言採択時に反対票を入れた4国(米・オーストラリア・カナダ・フィンランド)の内、オーストラリアのラッド首相がアボリジニに正式に謝罪し、今年4月3日にオーストラリア政府は権利宣言に対して反対姿勢を修正したと表明。
また、5月18~29日にニューヨークにて開催された国連の先住民族常設フォーラムにおいてアメリカ政府も権利宣言に対し協力姿勢をとるとの宣言文を発表。このように世界の状況は先住民族の権利回復へと益々、進んでいると。


二輪草


なお、今回の先住民族常設フォーラムは権利宣言第42条問題が浮上していたようです。
第42条【宣言の実効性のフォローアップ】
国際連合および先住民族問題に関する常設フォーラムを含む国連機関、各国に駐在するものを含めた専門機関ならびに国家は、本宣言の条項の尊重および完全適用を促進し、本宣言のフォローアップ(追跡措置)を行う。(市民外交センター仮訳2008年7月31日」)

これは国連と各国が権利宣言を尊重しフォローアップを行なうというもので、それを実効性あるものにしようと議論がなされたとのこと。各国においてどれだけ権利宣言が用いられているかを国連がちゃんと監視していくという明確な動きが出てきたのです。
日本政府も国内の論理だけでどうするかというふうに考える時代ではなくなり、世界に目を向けて先住民族アイヌの権利回復を考えるべきなので、有識者懇の報告も国際社会の目に耐えられるものであり、アイヌ民族が見ても納得するものを出してほしい、と上村さんは要望されました。

阿部さんからは、先住民族には土地、資源、領域の権利がある(Land, resource, Territory)。それを認めるべきであり、権利宣言本文も「先住民族は」を「アイヌ民族は」に、「国家は」を「日本政府は」に変えて読んで対策を練るべきだ、と。また、賠償・補償も求めていくとのこと。


今回、参加させて頂きながら、前回にUPした内容など質問したいことがたくさんあったのですが、やはり、まずは参加者の中でアイヌ民族の皆さんからの質問や意見が多く出されることを望み控えました(フロアーを巻き込んでのディスカッションの時間は短かったですね)。

今回は100人ほど参加者がいたように思います(正確にはもっといたかも)。
上村さんが言われたように、こうしてたくさんの人とアイヌ民族の権利回復について議論できることが大切だと思いました。ついアイヌ有識者懇がまとめに入ることで焦りのようなものを感じていましたが、それですべてが決まるわけではなく、さらに世界的な動きが日本の状況を変えるという希望も感じました。
わたしたちも地道に集まって学んだり審議したり、さらに歌や踊りを楽しみつつやっていけたらと思いました。

当日の報道もいくつか新聞に載りました(北海道新聞は音楽祭が前面に出すぎている書き方をしてしまっていますが)。また、道新では音楽祭に約200人が参加と書いていましたが、300はいたと思うのですが・・・。
アイヌ・レブルスはDVDを作って欲しいですね。ZiZiもCDを買ってサインをいただきました。途中で抜けるのが辛かった~




世界先住民族ネットワークAINU「ウコ イソイタク 2009」

2009-06-06 10:48:51 | インポート
今日はお楽しみの世界先住民族ネットワークAINU「ウコ イソイタク 2009」
パネルディスカッション「先住民族として認められた意義とは?」です。
パネリストに、佐々木利和さん(人間文化研究機構・国立民俗学博物館教授)、上村英明さん(市民外交センター代表・恵泉女学園大学教授)、阿部ユポさん(北海道アイヌ協会副理事長)が話されます。

有識者懇のまとめがどのように進められているかも佐々木さんから伺うことが出来るでしょうし、質問や修正するべきところの要望など具体的な話し合いが出来て、それを佐々木さんが有識者懇に生かしていただけることを願っています。


2月26日に開催された第5回有識者懇の「議事録」が出されましたので、過日に、気になっていた国立科学博物館研究主幹篠田謙一氏からのヒアリングの部分を確認してみました。詳しくは有識者懇のURLから確認下さい。以下、議事録引用(茶色)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/kaisai.html

第5 アイヌ人骨収集の歴史と倫理的な責任、今後の研究について
資料1に主なアイヌ人骨がどのように集められたかということを表にしました。古くは明治時代から集められた人骨もあります。大正時代あるいは昭和の初期、あるいは戦後に随分沢山の人骨が集められています。このような先達が集めた人骨の研究によって、私たちはアイヌの成立あるいはアイヌの集団の地域差といったものを見ることができたわけですが、決定的に本土と集め方が違っていたのは、本土の日本ではそこの人々自体に収集の目的、ないしはその意義を説明して人骨を集めましたが、残念ながらアイヌ人骨の中にはそのような手順を経ずに集めた人骨がかなり混ざっています。これは人類学者としても率直に反省しなければいけない点だというふうに思っていますが、このような人骨の研究、特にDNAの研究などは、今後更に研究が進めば、より多くのデータを得る可能性があります。ですから、このような人骨も合わせて、慰霊とそれから研究というものの両方ができるような設備が整って、今後アイヌ研究あるいは日本人全体の成り立ちの研究といったものが更に進むといったことを私どもは願っております。


発題者が研究家のようですから、素直に研究のための願望が前面に出ていますが、「人類学者としても率直に反省しなければいけない」という事も語っています。
この部分がとても大切なところだと思うのですが、願望が顔を出して薄れてしまっています。
「反省しなければいけない点」を明確にする必要があると思います。そして、それに伴う謝罪とその後の展開も。

この発題の後の意見交換も、ちょっとびっくりです。以下、引用(茶色部分)

○ 資料1の5ページの図2の系統図について伺いたいのですが、アイヌを3段階に分析して地域を設定していますが、この根拠となった人骨は何処のものでしょうか。
○ これは東大の小金井コレクションです。アイヌの人骨というのは、戦後集められたものは割と地域的に限られており、全道全体で満遍なく集めたという意味では、小金井のコレクションが一番大きいものですから、それを使わせていただきました。


遺骨を「コレクション」と読んでいるのは、学者間ではあたりまえのことなのでしょうか。
小金井良精についてはわたしも道立図書館に行き調べてたりして過去ブログにも書きましたが(詳しくは植木哲也さん著「学問の暴力」参照)、この遺骨は今も東大にあるということですね。それらに対してどうするのかを、この有識者懇での質疑にはなにも触れられていないように思えるのですが、どうなっているのでしょうか。


○ 札幌医科大学のイチャルパ、供養祭と言いますが、遺骨の返還、更にはDNAのレベルでのアイヌ古人骨による研究申し入れについての話し合いなど、取組は進めてきているところです。これらの取組は、不当な方法で収集されたアイヌの人骨の返還などに関わる先住民族の権利に関する国連宣言第12条の具体的な取組でもあると思っています。この取組の更なる推進と、東大や京大などの国内外の大学他に分散し、保管されているアイヌの人骨について、先住民族の先祖の尊厳回復と今後の研究、アイヌ文化、歴史の理解促進、啓発の意味合いを込めて、象徴的な施設を早急に国民の理解を得て国の責任のもとに設置していただければありがたいと思っています。
その上で、アイヌの経済的、社会的状況の改善に関する総合的施策立案のため、日本政府も加入している人種差別撤廃条約の国内実現も見据えて、その報告義務にもあるように、北海道の調査だけでなく、国が主体となって、生活状況の実態調査を早急に取り組んでいくことをお願いしたいと思っております。


この議事録の質疑は発言者の名前が記されていません。どの立場からかの発言かがわからないのですが、上の内容は、
研究申し入れについての話し合いという「取組」=国連宣言12条の具体的な「取組」
ということを言っているように読めるのですが、それでいいのでしょうか??
先住民族の権利に関する国連連合宣言12条は以下の通り。

12 条【宗教的伝統と慣習の権利、遺骨の返還】
1. 先住民族は、自らの精神的および宗教的伝統、慣習、そして儀式を表現し、実践し、発展させ、教育する権利を有し、その宗教的および文化的な遺跡を維持し、保護し、そして私的にそこに立ち入る権利を有し、儀式用具を使用し管理する権利を有し、遺骨の返還に対する権利を有する。
2. 国家は、関係する先住民族と連携して公平で透明性のある効果的措置を通じて、儀式用具と遺骨のアクセス(到達もしくは入手し、利用する)および/または返還を可能にするよう努める。「市民外交センター仮訳2008年7月31日」



○ 今後のアイヌ人骨に対する研究に当たっては、倫理的な問題に対する考慮が必要で、死者に対する慰霊と研究を同時に進められるような新しい環境を、というお話がありましたが、もう少し何か具体的にお考えがあったら教えてください。
○ 札幌医科大学の取組が、イチャルパをやり、それからアイヌの人々とお話をしながら研究も進めさせていただくというモデルケースになっていますので、そのような事例をそのまま進めていくというのが私は一番いいのではないかと考えています。
○ 北海道大学は相当数のアイヌ人骨を保管していて、管理している部局の考えによれば、これはあくまでも慰霊のためにお預かりしているのであり、研究目的ではないとされています。ただ、将来の研究の可能性があるので、その可能性も含めて適切な方法はないかという意見もあり、いろいろ具体的に考えると難しい問題もあるようです。
○ 北海道大学が所蔵されているアイヌ人骨は一桁違う量ですので、この研究が自由にできるようになれば、非常にまた新しいことが分かってくると思います。ぜひ、アイヌの方々との間で研究協力に関する話し合いなどを行いながら、研究を進められていくような体制ができればと思います。


んんん・・・やっぱり「研究」が前面に出ているのが引っかかります。
「反省しなければいけない」ところを反省し、誠実な調査と報告がなされ、さらに謝罪があってのことと思うのです。有識者懇はどうなっているのでしょう。今日、そのことも聞けたら聞こうと思います。

今日はパネルディスカッションですから、ちゃんとフロアーを巻き込んでのディスカッションになればいいですね。


その後のマウコピリカ音楽祭も楽しみですが、日本海側の道路が夜には通行止めになるので、途中で失礼しなければならなくなりそうです。燃えたかった・・・

日時:2009年6月6日(土) 18:00~
場所:ヤマハミュージック北海道 ヤマハアベニュー(2F)
入場料:当日¥2,500 前売¥2,000




札幌から留萌へはこの海沿いの道をず~~っと140キロ北上します(写真では右下から左上へ)


道内「アイヌ政策を考える懇談会」の要望

2009-06-05 09:04:42 | インポート
うっかり間違ってしまいそうですが、国が行なっている有識者懇談会とは別に、道内のメンバーでつくる「アイヌ政策を考える懇談会」があります。
メンバーは国の有識者懇の委員でもある高橋はるみ道知事と加藤忠・道アイヌ協会理事長、常本照樹・北海道大教授の3名に加え、本田優子札幌大学教授(アイヌ語)と畑宏明道埋蔵文化財センター理事とのこと(08/8/5blogと同日の道新記事)。

同委員会が国の有識者懇に以下の要望をしたことが報じられました。

意見書は高橋知事が前回(4月24日)の懇談会で提言したアイヌ政策の統括窓口を政府に作ることや審議機関の設置など6項目を基本に、アイヌの施策推進の根拠となる立法措置や生活支援の拡充を求める内容となる。(毎日新聞5月27日地方版 http://mainichi.jp/hokkaido/news/20090527ddlk01010316000c.html)

高橋知事の提言6項目というのは、国の第7回有識者懇(4/24)で審議されたもののようで、以下の有識者懇URLの第7回「配布資料 [PDF]」をクリックすると出てきます(資料2のほうです)。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainu/kaisai.html
以下、引用します。

これからのアイヌ政策の推進に向けた提言
1 立法措置
 アイヌの人たちに対する生活支援、教育支援及び産業振興など総合的なアイヌ施策の推進の根拠となる法律の制定

2 推進体制の整備
 ①アイヌ政策を統括して推進するセクションの設置
 ②アイヌ政策を継続して審議する機関の設置

3 アイヌ民族についての国民理解の促進
 ①学校教育を通した理解の促進
 ・教材の提供と授業での実践
 ・学習指導要領等への記述
 ・教職員研修の充実
 ②全国規模の恒常的な啓発活動
 ・(例)アイヌ民族の日の設定
 ・アイヌの人々をモデルにした映画やドラマの作成
 ・公共の場等におけるアイヌ文化の展示など

4 生活の向上を図る施策の充実
 ①全国調査の早急な実施
 ②個人認定方法の検証
 ・国民理解を確保するため、公平性透明性を担保する仕組みを工夫・
 ③生活実態を踏まえた生活向上支援策の構築と拡充
 ・生活の安定や生活環境の改善のための支援
 ・大学等への進学支援
 ・主に若年層に対する就労支援
 ④アイヌ文化と産業振興
 ・伝産法の「伝統的工芸品」指定に向けた取組への支援
 ・誘客や販路拡大のためのマーケティング調査の実施
 ・観光産業振興のための国内外への大規模なプロモーション

5 アイヌ民族との共生の象徴となる施設の設置
  国家的見地からの国営公園等を核として、遺骨の慰霊や、文化の復興、研究、展示などを一体的に行い、広く国民の理解促進が図られる場を整備

6 文化振興施策の充実
 ①アイヌ語の振興
 ・音声資料の収集、整理、活用の迅速化を図る体制の整備
 ・地名のアイヌ語表記など、積極的活用による普及
 ②アイヌ語を含むアイヌ文化の総合的・実践的な研究教育機関の設置
 ・アイヌ民族の研究者、文化伝承者、伝統的工芸技術者の育成
 ③イオル再生事業の国直轄化による整備促進
 ④国が主体となったアイヌ文化振興財団の推進体制の強化




「1 立法措置」には、先住権を明記させることは重要ですね。法的に先住権を位置づければ、時間をかけてでも施策は練ることが出来ますね。

「2 推進体制の整備」には、国連の先住民族権利宣言第3条、4条に定められた「先住民族の自己決定権」、「自律あるいは自治の権利」を意識しているのかが知りたいですね。設置を希望する審議機関にはアイヌ民族を相当数入れることや、アイヌ民族の自治機関などを想定して考えてほしいものです。

「3 アイヌ民族についての国民理解の促進」については、どこでだったか話題になりましたが、NHKの大河ドラマでアイヌ民族を扱うなど積極的に啓発活動を展開してもらえたらいいですね。NHKでアイヌ語講座を行なうとか、毎週、アイヌ語だけの番組をつくるとか・・・。

「4 生活の向上を図る施策の充実」では、何よりも早急かつ詳細な全国レベルの調査を行なうためにも調査委員会を設置することを望みます。過日もアパルとヘイト政策撤廃後に作られた「真実と和解委員会(TRC)」に関する新しい映画「レッド・ダスト」を観ました。差別の実態と改善、癒しは相当の努力が求められることと思います。

「5 アイヌ民族との共生の象徴となる施設の設置」に関しては、北海道新聞(05/29)で、国営の慰霊施設を苫小牧周辺に設置するように道アイヌ協会が要望することが報じられていました。北大や札医大だけではなく、東大、米国、英国、ロシアの博物館などにも保管されている遺骨の返還を求め、この施設で慰霊し、それに併設するかたちでアイヌ文化の継承や研究の拠点となる場を作ることを求めている、と。以下、道新記事URL参照。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/168130.html


高橋知事の提言に関しては上の箇条書きの「資料」のみの情報ですから詳細を早く知りたいですし、道の「懇談会」もちゃんと議事録をオープンにするなど、すばやく正しい情報を出して頂きたいですね(わたしが知らないだけならごめんなさい)。国の有識者懇のほうも議事録はなかなか出てこないし、第8回も開催されたはず(5月29日?)ですが、その議案・資料もUPされなくなりましたね。忙しいのでしょうか。
でも、もうすぐに最終のまとめが出されてしまいますね。


そうそう。毎年6月はじめに旭川で開催される知里幸恵さんの記念祭が8日(月)に行なわれます。
来週こそはチセ作りをしてきます。