アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

「鎖国」はなかった?

2008-03-31 21:42:52 | インポート
なかなかUPできずに残念です。
相変わらず動き回って、まとめができずじまいです。

今日(3月31日)の毎日新聞東京朝刊に、「千葉・国立歴史民俗博物館:開館以来の常設展示リニューアル」と題して、25年を経て初めて常設展示をリニューアルしたことが紹介されていました。
この四半世紀の研究で大きな違いは、
「学校で習った鎖国史観を打ち破る!」(リニューアル監修者の一人、ロナルド・トビ・イリノイ大教授)」
という言葉で示されるように、今まで学校で教えていた「鎖国」が、実はなかったという研究成果が出たとのこと。
それらを
「(1)長崎でのオランダ、中国との通商(2)対馬藩経由の朝鮮外交(3)薩摩藩経由の琉球外交(4)松前藩を介してのアイヌとの通商関係--」
と、「四つの出入り口」に注目し、それぞれの通商・交渉を紹介しながら、「鎖国史観」の間違いを指摘しているそう。おもしろそうですね。

アサヒ新聞の3月12日にも、「江戸時代は本当に鎖国か? 見直し進む対外歴史研究」の中にも触れられていましたので、気になっていました。

日本人の海外渡航禁止も、オランダ・中国とだけの交易も、どうも違うらしい・・・。
先の「四つの出入り口」から交易の場が開かれていたのですね。日本の視点からではなく、アイヌ民族や琉球王国からの視点から見ると、より鮮明に人や物が脈々と流れていることが分かるのでしょうね。
昨年の夏に網走の北方民族博物館に行った際、展示物の中に北極圏を中心にした地図があり、
視点が変わると人の流れ方も違って見えるなぁと感じたことを思い出しました(6月29日にUP)。

先日、所用で大阪・神戸に行って来ました。
いつも支援をしてくださる兵庫教区の事務所に寄ったり、大阪人権博物館(リバティー大阪)にも行って来ました。

大阪人権博物館は勉強になりました。アイヌ民族のコーナーもあり、川村カ子トアイヌ記念館の川村シンリツ・エオリパック・アイヌ館長の言葉や、札幌でアシリ・チェップ・ノミ(新しく鮭を迎える儀式)を再開した豊川重雄エカシのお若い頃の(失礼)写真とか、ビデオ解説だとかがあり、かなり時間をかけて見てきました。

毎日新聞 : http://mainichi.jp/enta/art/news/20080331ddm014040025000c.html
アサヒ・コム : http://www.asahi.com/culture/news_culture/TKY200803120100.html
大阪人権博物館(リバティ大阪) : http://www.liberty.or.jp/
北方民族博物館 : http://hoppohm.org/



名寄に行く途中で通る朱鞠内湖
冬は寒さ厳しいところでマイナス41度を越えた事もあったそう。
朝鮮半島から強制連行され、酷使されて生き埋めにされた人たちの
遺骨収集が今も行なわれています。


東京で署名活動

2008-03-24 10:49:02 | インポート
首都圏のアイヌ民族4団体でつくるアイヌウタリ連絡会(丸子美記子代表)が23日に、アイヌ民族を先住民族と認めるよう政府に求める初の署名活動を始めたことが朝日新聞と北海道新聞の記事で知りました。

何度かこのブログでも、日本政府の不誠実な対応について取り上げました。
署名の協力をしていきたいと思います。

道新 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/society/83112.php
朝日 http://www.asahi.com/national/update/0323/TKY200803230259.html







苫前の風力発電の写真と以前に紹介した苫前だベヤ~像


白樺樹液のアイスキャンディ

2008-03-19 07:58:48 | インポート
ぼちぼちと教会訪問やセンター訪問してくださる方との情報交換をしつつ過しています。
先日は、北星大学で人権教育をされているY教授が来留下さり、豊かな時間を過すことができました。
そんなこんなで・・・・新渡戸稲造全集は返却日が来てしまい・・・・
またいづれ・・・

さて
北海道大学 アイヌ・先住民研究センターから以下の講演案内が届きました。
4月から連夜で、ボリュウムいっぱいですね。


■4月1日(火)18:00~20:00
リュドミーラ・ミソーノヴァ
[ロシア科学アカデミー民族学人類学研究所・上級研究員]
「サハリン・ウイルタの現状:彼らをとりまく開発、生態系そして文化の諸問題」
会場:北海道大学人文社会科学総合教育研究棟(W棟)2階 W202号室
※北大文学研究科 北方研究教育センター後援
※参加自由,無料.ロシア語・通訳つき.


○北大法学研究科附属高等法政教育研究センター講演会
■4月2日(火)18:00~20:00
エリック・ヤマモト[米国ハワイ大学ロー・スクール教授]
「歴史的不正の克服―アメリカにおける法的経験の観点から―」
会場:北海道大学人文社会科学総合教育研究棟(W棟)2階 W203号室
※北大アイヌ・先住民研究センター共催
※参加自由,無料.英語語・通訳つき.
※お問い合わせ:高等法政教育研究センター (011)706-4005

http://www.cais.hokudai.ac.jp/(センターHP)





白樺の木がとてもいきいきしています。枝先が赤くなっているのが見えますか。
この季節に樹液をどんどんと吸い上げて栄養を蓄えるそうです。
幹に小さな傷を付けて器をセットしたら樹液のアイスキャンディが出来るんだと、
故萱野茂さんが教えてくださいました。おいしそうですね~。今度、試してみましょう。
メイプルシロップを採るのもこの季節ですね。






さて、この大きな白いものと黄色いものはなんでしょう?
白は数年前に信州の友人から送っていただいたダチョウの卵。
にわとりの卵20個分あると書いてあったのでこども達と確認したら本当でした。
ダチョウのは少々たんぱくでした。40個分の卵をオムライスにしました。
黄色は先日の世界祈祷日でカトリックの神父さんからおみやげに頂いた文旦。
とても大きかったです。


AINU REBELSのコンサート情報

2008-03-13 10:16:11 | インポート
なかなかUPできずにいますが、写真が撮れたのと、AINU REBELSの最新情報が入ってきましたのでお知らせします。大阪、川崎近くの方へご案内します。
わたしも生で観たいです。以下、ご案内。

(1) AINU REBELS 、~SHAKE FORWARD 2008~ に出演!
出演アーティスト:AINU REBELS、Blendz、Los Kalibres、KP、TENSAIS MC'S

HPより抜粋:
出演アーティストは、それぞれ日本の代表的なマイノリティグループの出身であり、アイヌ、アフリカン、ブラジル、ペルー、コリアなどそれぞれ異なったルーツを持ち合わせたグループ!
日本の中にある”世界の縮図”である彼らが、国境の壁を越えてHip Hopを通し社会に対する“痛み”と“願い” を言霊と音楽、ダンスにこめて世界へメッセージする!!

2008.04.12 (SAT.) in OSAKA
SUNHALL <心斎橋> http://www.sunhall.com
〒542-0086 大阪市中央区西心斎S橋2-9-28サンボウルビルB2F
TEL:06-6213-2954 
OPEN 18:00- 当日3,000円/前売2,500円

2008.06.08 (SUN.) in TOKYO
CLUB CITTA' <川崎> http://clubcitta.co.jp
〒210-0023 神奈川県川崎市川崎区小川町1-26
TEL:044-246-8888
OPEN 14:00-(予定) 当日3,800円/前売3,000円

http://www.ainupride.com/ainurebels/us.html





月曜日に初山別へ家庭訪問に行きました。
けっこう波が高いですが、漁船が出ています。


教会訪問

2008-03-09 10:10:38 | インポート
3日に教会所在地アイヌ語ポスターを持参し、各教会訪問に出かけました。まずは札幌北部教会、札幌元町教会(不在・残念)、札幌教会(不在)、教区事務所、ホレンコ、クリスチャンセンター。
4日には、江別教会、滝川二の坂伝道所を訪問。
5日は、厚別教会、東札幌教会。6日は真駒内教会、麻生教会(不在)を訪問しました。

7日は世界各地で、「世界祈祷日」が行なわれましたが、留萌でもカトリック・聖公会、そしてわたし達の三教会合同で礼拝を行いました。わたしが説教に当っていたので慌てていろいろと調べ、分かりやすくパワーポイントを使っての説教をしました。
みなさんもびっくりされていましたが、写真や図式が話を分かりやすくしたようで喜んで頂きました。
今年は、ガイアナ協同共和国(通称ガイアナ)の女性たちが式文を作り、ガイアナの歴史と現在の祈りの課題を共有しました。
全く知らないことばかりで、たいへん勉強になりました。
国名の由来は、先住民族アラワク民族の言葉で、“豊かな水の地”の意味。

今のガイアナの地には元々アラワク族とカリブ族他の先住民族の地でした。
先住民族とキリスト教会との関係も話に入れました。
トーマス・バージャーの「コロンブスが来てから」(朝日選書)の一部を引用しました。
コロンブス(フランス)の航海に続いてスペインが西インド諸島を征服。まずエスパニョーラ島の先住民族を皆殺しし、キューバやカリブ海の他の島々も同じようにします。さらに、南アメリカを進んで行きます。1521年にはメキシコ、1532年にはペルーが征服され、1540年までにカリブ海の先住民族は事実上「絶滅させれていた」とバージャーは説明します。
同じことが、北アメリカにおいても、さらにアイヌ・モシリにおいても行なわれたわけです。

その中の、カリブ族(Caribs)を少々、今後も追ってみたいと思います。と言うのは調べるうちに、「アラワク族の男を殺して食べていたと言われ、コロンブスらスペイン人の報告で人食い人種と見られ、カニバリズム(英語:Cannibalism)と言う言葉も出来た」とあったから。
カニバリズムについて、実は最近、調べていたところだったのです。この語源がカリブ族にあるとは・・・。

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』の序に「カニバリズムに関する一次資料のほとんどすべては、他者についてのものであり、偏見や侮蔑に基づくものも多くその信憑性はかならずしも高くはない。」と書いているのですが、そのことを踏まえて、扱いは丁寧にしなければと思います(食人は非人道的であり、だから「先住民族は野蛮で未文明」と単純に結び付けてはいけないということです)。

事前に調べてたどり着いた本が礫川全次著「歴史民族学資料 書2 人喰いの民族学」批評社です。道立図書館にあることが確認出来ているのでまた借りようと思います。

食人はいくつかの定義に分けられるようです。例えば、事故や戦争などでの飢餓状態のとき。あるいは儀礼的なもの、呪術的なもの、刑罰および復讐、病気治療、そして嗜好など。
日本の旧い歴史にも新しい歴史にもあったようです。

そんなこんなで、新渡戸稲造全集は全くすすんでいません。
来週も教会まわりです。


滝が凍っています


研究材料ではありません

2008-03-05 08:20:40 | インポート
先住民族関連ニュースにもUPしましたが、http://u-ko-usaraye.cocolog-nifty.com/
アサヒ・コムの3月3日の記事「日本人の起源 探る第一歩に」で、現在の日本人のルーツは日本列島に先住していた縄文人と弥生期に渡来した人々との混血であるというのが定説になっているというのがありました。
「九州大ミニミュージアム・倭人(わじん)の形成」の紹介もあり、とても分かりやすかったです。
http://www.museum.kyushu-u.ac.jp/WAJIN/wajin.html

おおまかに言うと、大陸から弥生期に渡来してきた人々が稲作農耕の定着と共に急激に人口が増加していった。そしてヤマトを形成して領地を拡大していった、とのこと。

国立遺伝学研究所教授の斎藤成也さんが遺伝学的な視点から同じことを言っていたのを先日聞いたばかりなので、興味深く読みました(昨年9月に北海道大学アイヌ・先住民研究センターで行なわれた講演)。
ヤマトの領地の端であるアイヌ・モシリや琉球に住んでいた人々は遺伝子学的に近く、弥生以降の日本人とは遠い、ということでした。

先日2月15日に北大アイヌ・先住民研究センターで開催された講演「アイヌ民族、琉球人、そして日本人:日本列島における形態と生活誌の多様性」(石田 肇[琉球大学医学部 教授])も、このあたりのことを話されたのではと思うのですが、大変残念なことに横浜出張で聞き逃してしまいました。センターに頼んでテープを聞かせてもらえたらいいのですが。

ただ、このあたりの話を聞きながら、「研究材料」として扱われた先住民族の歴史を忘れてはいけないことを思います。北大は今も969体のアイヌ民族の遺骨を所有し、医学部の敷地内に納骨堂を建て保管しています(詳細は昨年8月1日のブログを参照してください)。
過去の反省と共に、遺骨の返還を含めた適切な対応が求められていると思います(副葬品はどこに行ったかの調査も)。




春が近づいて来ました。雪が融けだしてきたのでもう作れません。

季節の変わりめゆえご自愛下さい。
今日も札幌近郊の教会めぐりをしてきます。


教会所在地アイヌ語地名解説ポスター作成

2008-03-03 10:13:49 | インポート
新渡戸稲造全集 第4巻を昨夜から読み始めています。
苦手な昔の文体なので苦労しています。
高校時代に週に一時間、内村鑑三の文章を校長が黒板いっぱいに書き出し、それをノートに写して解説を受けるという授業がありました。
「けだし」とか「否よ」、「しからずんば」なんて単語だけしか記憶に残っていませんが、それでも旧い文体を読むことに少し慣れたかもしれません(旧漢字は苦手)。
漢字も調べながら読んでいこうと思います。
「原住民政策」など、かなり問題のあるものです。

じっくりこもって読みたいところですが、今月の前半は年度まとめの事務作業をしなければなりませんし、同時に、また各地の教会へ可能な限り訪問しようと思っています。
3年前に北海教区内にある教会へ、その所在地のアイヌ語解説を付けたポスターを作製し、配布しました。
昨年はそれらを各地区ごとにまとめて再度作り直して配布しました(2006年8月9日と10月7日のブログ参照)。
今年は全道の教会所在地のアイヌ語説明をA4用紙3枚にまとめて、さらに、アイヌ語地名と日本語地名を併記して新たなポスターを作成しました。
これを各教会に配ろうと思います。みなさん掲示してくれたらいいですが。







自然が作った作品。どれほど遠くから転がってきたんだい?

新渡戸稲造全集 第四巻

2008-03-01 14:31:30 | インポート
先ほど図書館に行って道立図書館で予約した本を手に取りました。
「植民政策講義及論文集」が入っています。
「殖民の理由・目的・利益」、「植民政策の意義」、「植民地獲得の方法」など、
早く確認したいものが詰っています。

さらに、「原住民政策」や、「台湾における糖業奨励の成績と将来」など関連もあります。

しかし・・・、今日はこれぐらいにして、明日の準備をします。
新渡戸全集と別に、その教え子の矢内原忠雄全集も借りました。
彼も「植民及殖民政策」について書いています。






今日も雪が降っていましたが、今はとてもいい天気です。
カモメも気持ちよさそうに青空を飛んでいました(寒いことには変わりませんが)。
したの写真はクリックしたら大きくなります。





新渡戸稲造

2008-03-01 13:00:17 | インポート
21世紀ブックレット「キリスト者の時代精神、その虚と実」(いのちのことば社)の「国家と信仰―新渡戸稲造と矢内原忠雄の場合―」(岩崎孝志著)を斜め読みしました。

以前から調べているJ.バチェラーの関連で新渡戸稲造について知りたいと思っていたので参考になりました。
五千円札の顔として登場することが話題になり始めた頃に、朝日・毎日各新聞紙上で「新渡戸稲造は自由主義者か否か」論争が飯沼二郎と佐藤全弘の両キリスト者の間で行なわれたとのこと。飯沼は「生粋の帝国主義者」と批判。それに対して佐藤は新渡戸こそ「真の自由主義者、人格主義者、平和主義者」と応じたとか。
読んでみたいですね。

この本によると争点は新渡戸の「満州事変」での言動、彼の本来の仕事である「殖民地政策論」、そしてアイヌ民族をめぐってであったようです。論争に決着はついていない、と。そのわけは新渡戸の「問題発言」が「どちらとも取れる」という曖昧さがあるからだ、と。著者の岩崎さんはさらにこう続けます。
「新渡戸には弱者一般に対する同情心があったことは確かであり、日本が他国や他民族を虐げることを堂々と正当化するような厚かましさこそなかったとしても、彼にあっては常に国益が先行し、日本の支配下にある人たちの立場から考えることはなかったように思える」(P105)

新渡戸は1899年に公布された「旧土人保護法」の成立に関わり、白仁武(内務省参事官)と共に、「巡視」・「調査」に従事します。また、台湾が植民地にされた後、1901年に台湾総督府に入り、国家権力を行使して台湾糖業の改良に乗り出します。
じっくりと調べていきたいです。

先日、道立図書館にメールし、新渡戸稲造全集などを貸出予約しています。全集に「殖民学」というのが入っていました。講義内容も分かるのでしょう。アイヌ民族に対する発言も確認できると思います。
便利なもので道立図書館の資料は受け取り返却は自分の近隣の図書館で出来るのです。

21世紀ブックレットの紹介を「情報クリップ」にも貼り付けておきました。ご覧下さい。
http://u-ko-usaraye.cocolog-nifty.com/



写真の真ん中にある足跡はこども! 
路肩に積まれた雪の上をわざと歩いている跡があったのです。



そのこどもを発見! 危ないよと注意するべきでしたが、なんともおもしろく、
興味津々に見ていたら、「よっ!」と声をかけられました・・・
ランドセルに黄色のカバーをしているのは1年生。小さい頃の自分と重なりました。