アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

旭川駅「ル・シロシ」、そして銀のしずく記念館の新資料

2012-04-29 07:05:16 | インポート
先日の旭川アイヌ民族のフィールドワークの際に、旭川駅内に新しく出来たアイヌ文化情報コーナー「ル・シロシ」も観て来ました。ル・シルシはアイヌ語で「道しるべ」を意味し、旭川地域のアイヌ文化を旭川市の玄関口から発信していくとのこと(産経新聞 4月21日記事より)。

もう少し広いスペースだとより展示も出来て良かったかと思うのですが。あるいは、隣接して新設された彫刻美術館ステーションギャラリーとつながっていたら、と。ギャラリーには砂澤ビッキの作品も展示しているのですから(ロダンの作品もあったようですが見逃してしまいました)。
情報コーナーにはビデオ放映もされていて、情報の厚みを感じました。連休中に旭川に行かれる方はどうぞ。
 川村カネトアイヌ記念館の川村館長もご一緒してくださいました。感謝。
  産経新聞記事 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120421-00000546-san-soci




さて、登別の「知里幸恵 銀のしずく記念館」に知里幸恵に関する新たな資料5点が寄贈され、この28日から特別展を開くとのこと(北海道新聞4/28記事)。これも連休中のチェックですね。
中には、存在すら知られていなかった貴重な資料もあるそうです。
以下、記事を引用。

 5点は原稿用紙とB5判ノート4冊で、今年1月に東京の消印で郵送で届いた。差出人の名前はなかった。
 「アイヌ傳説集」は原稿用紙50ページにわたって書かれ、「銀のしずく降る降るまわりに」で知られる一編も記載されている。執筆した年月日は書かれていないが、同館は記載内容などから神謡集の構想過程で書かれた可能性もあるとみている。また神謡集に掲載されていない神謡も記されており、横山むつみ館長は「神謡集以外に本を出版予定だったのかもしれず、興味が尽きない」と話す。
 ノート4冊は幸恵が神謡集出版に向け、東京の言語学者金田一京助のもとで暮らしていた22年5月から亡くなる9月までのころのもの。このうち2冊は道内のアイヌ民族が金田一を訪ねた際に披露したユーカラを、幸恵がローマ字で書き留めたノートの原本。同館には複製が展示されているが原本はなかった。残りの2冊は金田一のもので幸恵の上京直後に幸恵から聞き取りしたユーカラの考え方などが書かれている。
 同館では5月14日まで展示した後、幸恵の研究者らの協力を得て内容を解明していく考え。
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/368648.html


横山館長も喜んでおられることでしょう。このような貴重な資料がまだどこかにあるのでしょうね。すみやかにアイヌ民族の手に返還されることを切望します。

「先住民族の権利に関する国連宣言」(2007年)の第31条に「遺産に対する知的財産権」があります。

① 先住民族は、人的・遺伝的資源、種子、薬、動物相・植物相の特性についての知識、口承伝統、文学、意匠、スポーツおよび伝統的競技、ならびに視覚芸術および舞台芸術を含む、自らの文化遺産および伝統的文化表現ならびに科学、技術、および文化的表現を保持し、管理し、保護し、発展させる権利を有する。先住民族はまた、このような文化遺産、伝統的知識、伝統的文化表現に関する自らの知的財産を保持し、管理し、保護し、発展させる権利を有する。
② 国家は、先住民族と連携して、これらの権利の行使を承認しかつ保護するために効果的な措置をとる。
            (市民外交センター改訂訳2008年9月21日)


①は先住民族の権利、②は国の責任が記されています。アイヌ民族と連携しつつ、効果的な措置をとって頂きたいですね。
「銀のしずく記念館」の会員になっているものの、昨年は一度も行けなかったので今年はお訪ねしたいと思います。6月に利別教会の礼拝に招かれているのでその時をねらいます。


家庭訪問の際によく立ち寄る海岸。誰とも会わない静かなところです。


5月関連イヴェント 続き

2012-04-27 06:25:33 | インポート
5月のアイヌ民族関連イヴェント情報で、もれていたことを二つ。
5月11日(金) 13:20より『アイヌ文化フェスティバル』が新しくできた阿寒アイヌシアターイコロで開催されます。

内田祐一さん(帯広百年記念館副館長)の講話や、白糠アイヌ文化保存会に皆さんのアイヌ古式舞踊、そして、平取町二風谷アイヌ語教室の皆さんによるアイヌ語劇「子どもと遊んだ神」と盛りだくさん。
アイヌ語劇は昨年に旭川で見させて頂きました。こどもたちの演技はもちろん良かったですが、エカシやフチたちもカムイ(神)として参加され、それぞれが得意のユカラなどを短く披露して下さり、とても良かったです。今回もみなさんが張り切っておられることを先日に二風谷をお訪ねした際に伺いました。
アイヌシアターイコロの前夜祭(4/28)には行けませんから、フェスティバルに参加できればと考えています。楽しみです。

詳細は主催の財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構のHPへ。入場無料。
http://www.frpac.or.jp/evt/festival2405.html


5月14日(月)18:30より「アイヌ民族副読本問題を考える市民の集い」が、かでる2・7の520研修室で開催されます。

「アイヌ副読本問題を考える会」主催。主催者の清水裕二さん挨拶、副読本執筆者からの今回の問題の経過報告、数名の提言等が行われます。この問題に関しては後日にまとめて書きたいと思います。


活毛ガニが安い!


さいきん、さっぽろ自由学校“遊”から『先住民族とESD』(立教大学ESD研究センター)と続編を分けて頂きました。
ESD(イー・エス・ディ)とは、「持続可能な開発のための教育」という意味。先住民族の権利回復をどのように学ぶかのヒントが書かれていました。
もう10年近く前になるでしょうか。旭川でESDの体験セミナーに参加させて頂いたことがあります。その時に体験した教材「ティフ星人はパセリを食べる」の解説も載っています。これは1994年にカナダで発行されたワークショップ教材『500年前~植民地主義の再発見』を下敷きに、日本風にアレンジしたものとのこと。
わたしはある村の一市民の役として参加。そこにティフ星人がやって来て、高度な武器をチラつかせながらわたしたちの土地を奪い、奴隷としてこき使い、尊厳を奪っていくのです。ワークショップでありながら、とても悔しい感情が沸いてきたのを今でも思い出します。ティフ星人役がまた上手だったので、普段はとても優しいTさんですが、会う度にティフ星人の顔がチラつくのです・・・。
『続・』にも、いくつか興味深い教材が載っていました。しかし、これらは一度はちゃんとしたファシリテーター(ガイドさん)にリードして頂いて体験することが大事です。「ティフ星人」教材と共に、いつかまた教会などの集いで学ぶ時を持てたらと願っています。
二冊に加え、『アイヌ民族の権利回復と持続可能な地域づくり』(さっぽろ自由学校「遊」編)も分けて頂いたので、当センターの所蔵図書リストに加えました。


利尻富士

朝早くから学びや仕事をするのが日課ですが、この季節は妙に早く目が覚めます。
今日は3時から『旭川・アイヌ民族の近代史』(金倉義慧著)を部分的に読み直してフィールドワーク案内のおさらいをし、教会の働きとして月毎に近隣の百軒ほどに配布する教会ニュースを配布しました。


ゴールデン・ウイークとその後

2012-04-26 13:16:53 | インポート
毎年、ゴールデンウイークは北海教区総会や所用で出かけたり、来客を受け入れたりしています。
今年は前回にも書いたハポネタイのチセ作りの協力に一日出たいと思っていますが、
他にもいろいろなイヴェントが開催(あるいは、開催中)されます。
情報を得ているものを紹介いたします。

ひとつめ
阿寒湖温泉アイヌシアター『イコロ』グランドオープン前夜祭 《連・蒼き響》
2012年 4月28日(土) 開場18:00 開演18:30
問い合わせ:民藝喫茶ポロンノ 090-7512-4316(郷右近)

案内がどこかにあるのでしょうが、FB(フェイスブック)でしか見つかりませんでした。


ふたつめ(開催中)
北の土偶展(北海道開拓記念館)
http://event.hokkaido-np.co.jp/dogu/

創立40周年記念事業とあるので、わたしが小学生の頃にはじめて行ったのは開館してすぐだったのですね。カブスカウトの格好をして館前で映っている写真があります。

先日、この特別展示を観にいきました。わたしの土偶のイメージである、あの腫れぼったい目をしたのは、「遮光器土偶」と言うのですね。北極圏(と言っていいのか?)の先住民族が付けている細長い穴のついたサングラスのようなのを遮光器と言うそうです。ドキュメンタリー映画『極北の怪異(ナヌーク)』でも出ていたのを記憶しています。その土偶が結構あり、興味深く観て来ました。

開拓記念館に行くと、隣接している「北海道開拓の村」内に、旧浦河公会会堂があります。
神戸の組合教会のメンバー達が浦河に来て1894年に建てた教会。中には資料も多く展示されています。
http://www2.city.iwamizawa.hokkaido.jp/kyouiku/it/kaitaku/01sigaiti/kaitaku17.html




GW後になりますが、『東ティモール独立10周年記念コンサート』も今のうちにチェックです。以下、ご案内を添付します。

独立前からの東ティモールの民衆の闘い、悲しみ、苦しみ、喜び、そして平和や自然への思いを歌ってきたエゴ・レモスさんを東ティモールより招いてコンサートをおこないます。エゴさんが前から望んでいるアイヌ・アート・プロジェクトとのジョイント・コンサートを札幌と阿寒湖で行います。釧路でも、エゴさんのソロ・ライブを行ないます。
5月8日(火) 釧路市 豊文堂書店 喫茶ラルゴ (エゴさんのソロ・ライブ)
  開場:午後6時30分 開演:午後7時 
5月9日(水) 阿寒湖温泉 「アイヌシアター イコロ」(ジョイント・コンサート)
  開場:午後9時45分 開演:午後10時 
5月11日(金) 札幌市 「エルプラザ ホール」(ジョイント・コンサート)
  開場:午後6時30分 開演:午後7時 
出演ミュージシャン  エゴ・レモス  アイヌ・アート・プロジェクト
主催 東ティモール独立10年を記念するアイヌモシリ実行委員会(共同代表 越田清和 竹村泰子 結城幸司) 
(連絡先)ほっかいどうピーストレード  札幌市白石区菊水3条1丁目6-12電話・FAX 011-812-4377 携帯 070-5619-3222
hokkaidopeacetrade@gmail.com

エゴ・レモスさんとは名古屋で開催された第2回先住民族サミットでお会いしました。東ティモールを代表するミュージシャン


野幌では、あるエカシが「侵略の塔」と言っておられる「百年記念塔」も眺められます(写真:開拓記念館に行く途中)

明日は、わたしたちの教団の部落解放センター主事の依頼で、旭川アイヌ民族プチ・フィールドワークを急きょ行います。
常盤公園「風雪の像」、知里幸恵さんの文学記念碑、アイヌ墓地、旭川川村カ子トアイヌ記念館をご案内する予定です。
このようなプチ依頼は昨年もありました。できるだけご協力したいと考えています。


ハポネタイ 笹チセ作り

2012-04-24 08:58:17 | インポート
二風谷で完成したアイヌ民族の伝統家屋「チセ」の新築を祝う儀式「チセノミ」が行われたと北海道新聞に掲載されていました。(04/23記事 http://www.hokkaido-np.co.jp/news/chiiki/367355.html)

財団法人アイヌ文化振興・研究推進機構が進めているアイヌ民族の伝統的生活空間「イオル」再生事業の一つで、先日に二風谷にお訪ねした際、新しいチセが建っていたのを確認しました。

記事には「昨年6月に地神祭を行い、工事に取りかかった」とありましたがアイヌ民族の伝統(カムイノミ)でやられたのでしょう。「地鎮祭」という言葉から神主さんが来られたかと想像しましたが、旭川川村カネトアイヌ記念館でのチセ作りの際も、古いチセを解体する前に、新しいチセを建てるための材料を山から取ってくる際も、そして建てる前にもカムイノミをして始めました。何事にも祈りから始めることに感銘を受けました。

今回のチセは5月から織物や刺しゅうなど、アイヌ民族の女性の手仕事を体験できる場として活用するとのこと。7月に独立学園高校の皆さんが訪れる際には、手仕事体験はここでできますね。楽しみです。

大雪の影響は全道におよびましたが、二風谷もそうとう降ったようで、萱野茂二風谷アイヌ資料館のチセが一棟、雪の重みで倒壊。志朗館長も「はじめての事」と驚いておられました。

さて、この貴重なチセ作りのお誘いをいただきました。
十勝清水、剣山麓にあるハポネタイ~母なる森~で、このGWに道北・道東で使われていた笹で作るチセづくりが始まるとのことです。以下、ご案内を添付します。

笹チセづくりに協力をしていただける方、大募集です!!
4/28(土)~5/6(日)の9日間にかけて、ハポネタイの森でチセづくりの準備作業を行います。
何本もの太い木の伐採・皮むき作業があり、沢山の方のお力が必要です!!
●日程
1)4/30(月・祭日) 8:30~チセの梁にする木と、屋根の骨組みの伐採と皮むき作業をします。
※梁にする木の一本の重量が、約150㎏もあるので、沢山の男手が必要です!!
2)5/4(金・祭)~6(日) 骨組み建ての作業。
3)上記日程と5/3以外の日で、もし時間に余裕が出れば、チセ全体にはわせる横木を、近郊の川原に取りに行きます。更に、取って来た木の皮むきをします。
●持ち物軍手・長靴・雨ガッパ
申込および問合せ先: 惠原詩乃 haponetay@gmail.com 参加者名、参加人数、連絡先を明記。



旭川 川村カネトアイヌ記念館でのチセ。
もう、7年ほど前になるでしょうか。毎日のように早朝に山に笹を取りに行き、チセ作りの協力をしたことを昨日のように思い出します。相当量の笹を使いました。今も記念館に行くたびに、皆さんに紹介させて頂いています。
ハポネタイも時間を見つけて行こうと考えています。



アイヌ民族遺骨返還の指針策定?

2012-04-21 11:42:06 | インポート
今朝の北海道新聞に以下のニュースが載りました。 

大学保管のアイヌ民族遺骨 返還の指針策定へ 文科省
文部科学省は、全国の大学や研究機関が研究目的で保管しているアイヌ民族の遺骨を遺族に返還するための指針作りに着手する。しかし、発掘から半世紀以上たつ遺骨が多いことから、だれのものか特定する情報が少なく、指針ができてもどれだけ返還につながるかは不透明だ。
指針は年内の策定を目指し、遺骨の特定の仕方、返還する遺族の範囲、周知方法、申請手続きなどを明示する。返還が難しい遺骨については、アイヌ文化の拠点として胆振管内白老町に整備する「象徴空間」に集約することも盛り込む。
日本人類学会の調査ではアイヌ民族の遺骨,は北大や東大などに1500体あるとされるが、文科省はさらに増える可能性があるとして全国の国公立大などを対象に保管数や保管状況を調査している。指針は、調査で把握した遺骨の返還手順を示すのが目的。また道内のアイヌ民族が北大に遺骨の返還を求める動きもあり、他大学からも指針を求める声が出ていた。
しかし、同省によると、遺骨は発掘されてから半世紀以上たっているものが多く、その当時の情報が不足している。このため、遺骨調査でも「個人の特定に結びつくケースは少ない」(文化庁)とみられ、指針ができても返還につながるケースはわずかになる可能性があるという。 2012年4月21日(土)


過去ブログ(2011/11/15  http://pub.ne.jp/ORORON/?entry_id=4001660)に掲載したことを繰り返しますが、読売ニュース(2011年11月14日)で、政府のアイヌ政策推進会議が全国の大学に保管されているアイヌの人骨の状況を調査し、来年12月までに結果をまとめることを決めたと報道されました。
そして、「調査結果を踏まえ、北海道内に建設予定の慰霊施設に移すか、遺族に返還する方針」と。
さらに、朝日新聞記事「文科省 アイヌ民族遺骨調査」(同日)には、心配していた私立大の調査も行うとのこと。調査内容は、(1)収集の経緯 (2)大学の保管状況 (3)保管数、など。調査表はどのようなものだったのでしょう。特に(1)の「収集の経緯」は、いつ、誰がどこで、誰の遺骨を、どのように(遺族に了承を得たか)発掘したかなど、詳しく書くようになっているのでしょうか。

上の記事からすると、調査結果が大筋で出てきているということでしょうか。1500体がさらに増えていることもすでに出てきている可能性があります。
その上で、発掘当時の情報不足と「個人の特定に結びつくケースは少ない」(文化省)という発言があるのでしょう。

ここで疑問なのは、盗掘もあったとされる「発掘・収集・ずさんな管理」を実際に行った各大学の歴史性や犯罪性、そして補償に関することが問題にされていないことです。実際に盗掘をした学者や大学の責任や、ずさんな管理責任はどうなるのでしょう。
また、記事にあるように、北大によって盗掘された先祖のご遺体を速やかに返してくれと要望をしたアイヌ民族の三名に、情報がないからどれが該当する遺骨かわからないので返せないと言う可能性も出てきます。
北大の無責任さと同じことを国がやろうとしているのでしょうか。かつての調査では盗掘もあったと認めているのですから、国はもっと鋭く、丁寧に調査すべきです。

全国の博物館、図書館、各郷土資料館、個人所有、海外の調査について文科省はどう考えているのでしょうか。北大の副葬品発掘物の行方不明も加えて、それら副葬品の調査も同時に行うことを望みます。


石狩から留萌方面を望む。日本海沿岸道をいつも使って札幌の往復をします。写真では左端をさらに北上したところに留萌があります。


カムチャッカの市民団体「アイヌ」

2012-04-20 12:58:33 | インポート
北海道新聞の記事(2012/04/13朝刊)に、カムチャッカの市民団体「アイヌ」の会員数が設立から5年間で約10倍の215人に増えたと報じられていました。
「アイヌ」の代表、アレクセイ・ナカムラさんは千島列島最北端のシュムシュ島、パラムシル島のロシア正教寺院に保管されている記録などから、アイヌ民族に特徴的な洗礼名を抜き出し、その子孫をカムチャッカ地方で探したとのこと。ロシア政府は、アイヌ民族は「第2次世界大戦後、日本に移住した」とし、現在は公式に認めていないとのことですが、アレクセイさんは認知度が高まってることからこの1~2年で認められるのではと話しているとのこと。


さて、「学問の暴力」(植木哲也著 春風社)に以下のくだりがあります。

千島(クリル)列島最北端の占守(シュムシュ)島別飛での発掘は、1937年(昭和12)と38年の夏に行われた。発掘に参加した渡辺左武郎は、「当時の解剖学教室にとっては画期的な大事業であった」と記している。
1937年の北大解剖学教室来た千島調査隊は児玉を隊長とし、助教授の伊藤昌一ほか全体で6名の構成で、7月に日魯漁業の北征丸に便乗して小樽港を出航した。僧や海峡からオホーツク海を通り、中部千島で太平洋に出たあと、濃い霧に悩まされ、途中のパラムシル島で座礁しながら、シュムシュ島に到着した。(P.111)


翌38年の発掘は伊藤が隊長となり、児玉は発掘隊に加わっていないようですが、シュムシュでの発掘数は28体(P.116表4)。

情報開示されたアイヌ民族人体骨発掘台帳(医学部解剖学第二講座)には、シュムシュは14体、パラムシルは6体の記述あり。別飛ほかの千島列島の総計は52体が記されています。この数と児玉らの論文に出てくる数との違いや、台帳の備考欄の「第一より移管 112頁」など意味不明の記述の解説がほしいです。
「第1」とは第一解剖教室ということか? そうであるなら「第一解剖教室」の台帳があって、「112頁」はその頁数か? 

ところで、アレクセイさんら「アイヌ」はこの事実を知っているでしょうか。連帯しつつ解決の道を拓いていけたらと思います。


はじめて見た容姿と飛び方をしていた鷹 稚内への途中で(ちょっと遠かった)


さっぽろ自由学校「遊」2012年度前期講座が5月から始まります。
テーマは「日本がアイヌにしてきたこと ~アイヌ民族が本当に求めている政策とは?~」
アイヌ民族の皆さんの直接の声を聴きます。

●5月29日(火)開講 全5回 月1回火曜19:00~21:00 
●会 場 さっぽろ自由学校「遊」
●2012年5月29日(火) アイヌ高齢者の生活保障
小川 早苗 北海道アイヌ協会札幌支部(国際部長・人権部長)・札幌市環境アドバイザー
●2012年6月26日(火) どうしてお墓を暴くのか? ~遺族からみた遺骨問題~
城野口 ユリ 浦河アイヌ文化保存会会長・少数民族懇談会副会長
●2012年7月17日(火) 国家が先住民族に「謝る」ことの意味~海外の事例から考える~
寺地 五一 元東京経済大学教員。首都圏アイヌ民族の海外交流をサポート。
●2012年8月28日(火) アイヌ民族への補償とそのプロセス
吉田 邦彦 北海道大学大学院法学研究科教授
●2012年9月25日(火) アイヌ民族が求める政策
萱野 志朗 アイヌ民族党代表
http://www.sapporoyu.org/modules/sy_course/index.php?id_course=303


センターHP内の「イヴェント情報blog」にも掲載しました。http://blog.goo.ne.jp/sakura-ive


天塩の北に一直線に28本が立っている風力発電。

やっと新年度の活動を始められました。
今週前半には稚内教会に新しく就任された牧師にセンター紹介と協力のお願いでお訪ねし、18日には今夏の基督教独立学園生の研修依頼のために二風谷へ、夜は札幌でチ・カラ・ニサッタの会議、情報収集をしました。
アイヌ奨学金事務も始まりました。これから活動報告を増やしていきます。


北大のアイヌ民族人体骨発掘台帳の新資料開示

2012-04-10 17:12:00 | インポート
文化庁のWEBサイトに、「民族共生の象徴となる空間」における博物館の整備・運営に関する調査検討委員会 が設置されたことが記されています。

「民族共生の象徴となる空間」に設置される文化施設における博物館の整備・運営に関する基本構想等を策定し、調査検討を始めるとのこと。
http://www.bunka.go.jp/bunkazai/minzoku_kyosei/index.html

構成委員14名は以下の通り(2012年3月29日現在)。
加藤 忠 (社)北海道アイヌ協会理事長
小林孝二 北海道開拓記念館学芸副館長
佐々木史郎 国立民族学博物館副館長
佐々木利和 北海道大学アイヌ・先住民研究センター教授
佐藤幸雄 (社)北海道アイヌ協会常務理事・事務局長
戸田安彦 白老町長
中村睦男 (財)アイヌ文化振興・研究推進機構理事長
永井順國 政策研究大学院大学客員教授
野本正博 (財)アイヌ民族博物館学芸課長
平川 南 国立歴史民俗博物館長、山梨県立博物館長
村木美幸 (財)アイヌ民族博物館副館長
森田 稔 九州国立博物館副館長
山下治子 ミュージアム情報誌「月刊ミュゼ」編集長
山谷吉宏 北海道環境生活部長


第1回会合は3月29日に開催。
アイヌ政策推進会議「民族共生の象徴となる空間」作業部会報告や、「民族共生の象徴となる空間」のゾーンニングイメージについて(国土交通省「民族共生の象徴となる空間のイメージ構築に向けた検討会」報告)の報告の後、象徴空間」に整備される博物館のあり方、イメージ等について意見交換が行われたようです。
ここにあるように国土交通省が「民族共生の象徴となる空間のイメージ構築に向けた検討会」を開き、報告を出しているようです。当日配布の資料にはありません。見たいですね。

今後のスケジュールとして、次回に博物館の目的・性格・テーマ等、運営のあり方の検討を行い、6月には北海道で博物館整備候補地視察を含む類似施設の紹介、既存施設の活用のあり方を検討。来年夏を目途に基本構想を取りまとめる予定のようです(第1回会合配布資料より)。

さて、第6回目のアイヌ政策推進作業部会が3月23日に開催されました。議事概要はまだUPされていませんので内容は分かりませんが、議事次第に「民族共生の象徴となる空間の具体化について」とあるものの、赤字で「延期」と記されています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai6/gijisidai.pdf
先の整備・運営に関する調査検討委員会の審議を経てからということでしょうか。


基督教独立学園の講堂。そして壁に書かれた「神を畏るるは学問の始め」箴言1:7
わたしたち家族全員、ここで学び卒業しました。この春、新築のためにすでに取り壊されました。


北海道大学に対し先祖の遺骨を返せと要求し、情報公開法に基づいて北大の遺骨収集に関する資料の全面開示を求めてきた小川隆吉さんに対し、北海道大学は3月12日付で、新たな資料を送ってきました。かつて北大が発掘して保管しているアイヌ民族の人骨969体のうち、59体(2頁)分の資料です。

北大開示文書研究会のWEBサイトで「新資料」の全文を公開しています(リスト番号36)。
http://hmjk.world.coocan.jp/materials/list.html

内容は今まで開示された「アイヌ民族人体骨発掘台帳」と比べて、相当なまなましく、昭和5年埋葬、昭和8年発掘など、埋葬10年以内で発掘されているのが6体、その内、3年で発掘されているのが2体あります。埋葬年が黒塗りされたり書かれていないのもありますし、その中には「軟部の残存せるもの多く教室にてmagertion」もあり、脳や内臓、肉片が残ったものも発掘し、それらをそぎ落として遺骨収集したことが記されています(注・magertion=削り落とすの意味か?)。当時のことを知っている方の証言が資料によって裏付けられました。

新資料には2頁とも日高地方が含まれており、遺骨返還要求をしている遺族の遺骨が盗掘された杵臼墓地も含まれています。もし、この資料の中に、返還を訴えている小川さんらの先祖の名前や情報があるなら、北大は誠意をもって、小川さんらに伝えるべきです。ところが、これらの資料を送付するに当たって北大総務課は「関連すると思われる資料の存在が確認された」ので「参考に」送付する、「本資料の提供は、貴殿からの開示請求の経緯等を踏まえ、本学として任意に行うものであることを申し添えます」と、恩着せがましく書いてきているのです。
「開示請求の経緯等を踏まえ」るのならば、他の頁も開示すべきですが、その有無もこれだけでは分かりません(取材した報道関係者から聞いたところによると、「他にもある」と聞いた人もいれば、これのみと聞いた人があり、不明)。今後、より調査をしていきます。


久しぶりに晴れて暑寒別岳がきれいに見えました。
年度末、年度始めと忙しくしており、活動日誌が書けずにいました。
本州からはお花見の知らせが届いていますが留萌はまだ雪が降る日が続いています。
季節の変わり目、皆さん、ご自愛下さい。