大晦日です。今年中に書かなければならないと考えていたことを短く書きます。
前回に書いたことですが、ご遺骨の「研究資料として供する」という決定は北海道アイヌ協会の理事会で決定されたものだとのこと(第18回作業部会議事ココ)です。しかし、その後の意見で、どなたか(内容からしておそらくアイヌ民族の委員)が、それは「北海道アイヌ協会の会員全員の一致の意見ではない、一部の人たちがこういうものを出してきているだけで、これを読んだら怒るアイヌがいっぱい出てくる」と反対意見が出ていました。
以前にもご紹介しましたが、平取アイヌ協会の木村二三夫副会長も、反対の意見をFMピパウシで述べられています。12/19放送の原稿を頂き、ご本人から「どんどん広めて」との了解を得ましたので、ここでご紹介します。
「・・・お聞きのリスナーの皆さん、そして全国、全世界の人達にもこの集骨、盗掘の歴史の事実を知ってもらいたい。遺骨も一人の「人間」である事を。あっちこちのアイヌ墓地から遺骨を集骨、盗掘して学者達の意のままにされたばかりか。外国へ売り飛ばされる、そんな非人道的な歴史の数々。今からでも遅くない、国、大学、学者たちは非を認めて償いをするべきではないか。それが人の道ではないか。それにはまず、先人達「アイヌ」の思いをどう受け止めるか。「先人達の思い」とは。尊厳ある慰霊施設を言われている白老だが、30数余年大学の納骨堂と言う牢屋に押し込められ、白老へ遺骨され人権も尊厳も無視され、研究材料としての順番を待つ事を、先人達は決して望まない。むしろ、この場所は人権尊厳を無視し踏みにじられる最悪の場である。一日も早く故郷の地へ帰り安眠出来る事を願っていると思う。白老へ遺骨することは「人でなし」の行う行為である事に、関係者には気ずいてもらいたい。(以下、略)」 (原文まま)
怒っておられる事が伝わる内容です。「研究材料としての順番を待つ事を、先人達は決して望まない」と、平取から盗掘して北大にある遺骨も白老へ集骨させず、平取へと返してもらうのだ、研究材料にはさせないぞとの強い思いを述べられています。
木村さんだけではなく、現在、遺骨返還訴訟を起こしておられる紋別アイヌ協会の畠山敏会長も(11/25和解し返還決定)、浦幌アイヌ協会の差間正樹会長と協会員17名も、北海道アイヌ協会理事会と意見の異なる主張をし、コタンの土に戻したいと返還を求めておられるのです。その他、複数のアイヌ民族の方から、わたしは個人的に返還を希望されておられることを伺っています。また、まだこのアイヌ協会理事会の決定をご存じない協会員の方はどう感じられるのでしょうか。そして、これらの反対意見をアイヌ協会理事会はどう聞くのでしょうか。
内部ですらそうですが、前回にも触れたように、たとえアイヌ民族のなかでいちばん会員の多い北海道アイヌ協会だとしても、それ以上におられる非会員のアイヌ民族の意見を聞かないのは問題でしょう。
2013年に実施された「北海道アイヌ生活実態調査」ココによると、アイヌ民族の人口は16,786人。そのうち、アイヌ協会の会員数を調べてみたものの、探し方が悪いのかどこにも数字が出てきません(2015年には2,400人とどなたかのお話で伺った記憶がありますが、現時点ではわからなくなっていますので、保留にさせて頂きます。ウイキペディアでは2012年現在の当時支部会員数は3234人とあります。ココ 多い方をとったとしても、道内のアイヌ民族のみなさんの中の20%弱の方しか会員になっていません。残りの80%の方、そして道外に住まれているアイヌ民族の皆さんの意見・要望をどう傾聴するかが問われています。
どうしても木村二三夫さんの原稿をお伝えしたく、今年最後の更新をしました。
新年も皆さまに神さまの祝福が豊かに注がれますようにお祈りします。