アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
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浦幌のアイヌ遺骨返還訴訟が和解

2020-08-09 06:44:50 | 日記

浦幌のアイヌ遺骨返還訴訟が和解

2020年8月7日の北海道新聞に、東京大学が保管するアイヌ民族の遺骨6体の返還訴訟の和解成立の記事が出ました。https://www.hokkaido-np.co.jp/article/448558

ラポロアイヌネイション(旧浦幌アイヌ協会 差間正樹会長)は2019年11月1日、国立大学法人東京大学(五神真学長)を相手取って、同大学研究者によって地元の墓地などから持ち去られたままになっている先祖の遺骨ならびに副葬品の返還と、損害賠償金の支払いを求める訴訟を、釧路地方裁判所に提起しました。

持ち出された遺骨は5体は1888(明治21)年に、1体は1965(昭和40)年に東京大学の研究者が町内の墓から掘り出したアイヌの遺骨6体。さらに副葬品。これに、今回は明らかな盗掘であるため損害賠償を要求していました(但し、盗掘は100年以上前なので時効が成立します。しかし、盗掘され持ち去られた現時点まで常に原告の慰霊行為が妨げられているという信教の自由を侵害されている無形的利益の損害賠償を要求)。当初、東大は争う姿勢でしたが、一変して和解に応じました。

和解内容は、8月20日に遺骨6体および副葬品をラポロアイヌネイションに返還すること。東京大学は墓地造成費用、墓地使用料、遺骨等の運搬に要する費用等すべてを負担すること。ラポロアイヌネイションはその余の請求を放棄すること。

(詳しくはhttp://www.kaijiken.sakura.ne.jp/urahoroainuassociation/2019/trial/todai_case.html

 和解後に釧路市内で記者会見したラポロアイヌネイション名誉会長の差間正樹さん(69)は「遺骨が手元に戻ることになり感無量。アイヌ民族も先祖を慰霊し、私たちの生活をお守りいただくことが当たり前のことと認められた」と喜びを表したと同時に、一方では「謝罪がないのは不満」と苦言も(HBC 8/7、HTB 8/7 いずれもニュースブログに掲載 https://blog.goo.ne.jp/ivelove )。

遺骨は20日に返還され、22日に埋葬されるとのこと。浦幌での遺骨返還は北大、札医大、東大と続きました。詳細は明らかになっていませんが、各大学に「保管」されていた遺骨はすでに白老にできた民族共生象徴空間の隅にある「慰霊施設」に移されました。