アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

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道新紙面「アイヌ新法へ非公開で意見交換 政府、来月から全国調査7項目」より

2017-10-28 08:42:53 | 日記

10年以上前から、ネットサーフィンをしながら、アイヌ民族・世界の先住民族関連のニュースを見つけてはストックし、先住民族関連ニュースブログに貼り付ける作業を毎朝おこなっています。アイヌ民族に関しては全国的なニュースになっていないとよく道外の方から言われますが、ネット上の紙面では、毎日なんらかの情報がUPされているのです。

 昨日、今日と北海道新聞紙面にアイヌ民族関連の記事が出ました。

今回は「アイヌ新法へ非公開で意見交換 政府、来月から全国調査7項目」(10/27)を取り上げます。

政府は11月から、アイヌ民族に関する新法の検討などに向けた全国的な調査を非公開で始めるとのこと。非公開というのは、「差別への懸念から」ということか。意見交換会の内容は、2020年の制定を目指す新法の内容のほか、今後のアイヌ政策に反映させる考えだとのこと。

調査概要の図を見ると

1.道のアイヌ生活実態調査 

2.実態調査でアイヌ民族の居住を把握した地域の意見交換会 

3.実態調査で居住を把握できなかった地域のアイヌ民族らを対象とした意見交換会 

4.札幌市や旭川市などのアイヌ施策担当者からの聞き取り 

5.実態調査で居住を把握できなかった市町村からの聞き取り

6.道外に住むアイヌ民族を対象とした意見交換会 

7.東京都内にある電話相談窓口に寄せられた意見の分析

の7項目となっています。道は1972年から7年毎に調査し「北海道アイヌ生活実態調査」(概要)を出しています。最近の調査は2013年に7回目を行いました。この調査におけるアイヌ民族の人数は、「地域社会でアイヌの血を受け継いでいると思われる方、また、 婚姻・養子縁組等によりそれらの方と同一の生計を営んでいる方」について、各市町村が把握することのできた人数なので、把握できていない方もおられるという意味で「道内に居住するアイヌの人たちの全数とはなっていない」と、ただし書きがされています。あるいは、法務省が出している薄い冊子『アイヌの人々と人権』のただし書きには「アイヌの血を受け継いでいると思われる方であっても、そのことを拒否している場合は調査の対象としていません」とありますので、そのような方もおられるのでしょう。その方達の状況をどれだけ把握できるかが問われています。

ちなみに、2013年での調査対象とした世帯数、及び、人数は、66市町村に6,880世帯、16,786人で、前回調査(2003年)と比べると、7年のうちに約2割、世帯で3割の減少になります。また、道外に出られたアイヌ民族のみなさんへの調査はここではしていませんので、道外に出られた方もおられるでしょう。

この調査を政府の新法検討に協力する形で今年11月から前倒しして行うとのこと。アイヌ民族の皆さんの意見を広く深く聞くことが出来るようにと願います。

過去に書きましたが、カナダの場合は政府が主導して1991年から先住民族委員会を設置して詳細な調査を行い、2008年に「真実と和解のための委員会」をつくり、さらに寄宿舎学校問題を調査し、2015年に「報告書」を出します。そこには、「同国の同化政策を文化的ジェノサイドとよび」(丸山2016.2)、政府に対して先住民族と和解するための具体策を国連権利宣言に基づき94項目あげて、その実行を迫っている(パティー・タルボットさんの講演内容)のです。日本政府はそのような動きに見習うべきですし、アイヌ政策推進会議はそのような提案を積極的に行うべきではと思います。

今回の紙面では、アイヌ協会幹部による「意見交換会を行っても、政府の(生活・教育支援を検討したとする)アリバイづくりにとどまるのでは」との懸念の声も挙げられています。決してそうならないことを願います。

 

浜に打ち上げられたガラスの浮き玉。今もけっこう拾います。来客にプレゼントしますが、在庫50個ほどあります。大きいのは直径40センチ。小さいのは8センチほど。


2017 札幌地区アイヌ民族フィールドワーク開催

2017-10-24 19:21:34 | 日記

前述しましたが、さる、10月12日に新篠津にてわたしたちの教団の北海道内の牧師たちの研修会の中で

楢木貴美子さんをお招きし、「樺太アイヌ(エンチウ)として生きて」の講演を伺うことができました。報告・感想は12月発行予定の機関紙「ノヤ」に掲載します。

また、10月19日には札幌地区アイヌ民族フィールドワークでも楢木さんのお話を伺うことが出来ました。前回のお話に加え、お友達が楢木さんのお話を聞いて、想像をたくましく膨らませて書いた紙芝居の写真と、樺太にお墓まいりに行かれた際の写真とを紹介して頂きながら、ご自身の体験をお話くださいました。

楢木さんは、バスの車掌のご経験もあり、とても聴きやすい話し方で、分かりやすくお話くださいました。エンチウの皆さんが大変なご苦労をされたことに胸が苦しくなりました。お話くださって感謝でした。

 

もうお一人は、カナダ合同教会の世界宣教師委員会総主事であるパティ・タルボットさんのお話を伺うことができました。パティさんの話も、通訳を担当してくれましたわたしたちアイヌ民族情報センタースタッフのロバート・ウイットマー宣教師から資料を頂戴した後に詳しく紹介いたします。ここでは、簡単なメモ程度に一部を書きます。

カナダでは2015年に「真実と和解委員会」が7年をかけて先住民族の歴史と現状についての調査を終えた。本当の意味での和解をするためにわたし達は何よりも先住民族の権利に関する国際連合宣言 (2007年 以下、「権利宣言」)を実行しなければならない。教会も政府も企業も直接的に権利宣言の原則と批准を自分の政策や活動や手続きにおいてはっきりとさせなければいけない。権利宣言の法則と行動と基準に基づいて真実と和解委員会は94の呼びかけをしている。カナダ合同教会をはじめ諸教会は、この権利宣言と真実と和解委員会の呼びかけを受け止めて実行に移そうとしている。2015年の11月に国連の特別委員会がつくられ、それによってこの働きが進んでいるかどうかを見ています。2016年にはカナダ合同教会において先住民族に関する特別委員会を設置し、これからの未来に何が必要かを話し合っている。

権利宣言の行動への基準についてカナダ合同教会は6つに分けた。まず、①先住民族としての自己決定権を持つこと、②何かを決めるときに先住民族が参加する権利、③資源、土地を持つ権利、④先住民族の文化を守る権利、⑤何かを決めるときにはまず先住民族と相談し評価を得なければならい、⑥差別をなくすること、です。この権利宣言をほんとうに認めることになるなら、カナダの教会と先住民族との間にまったく新しい関係が生まれるだろう。

テープを聞いて書いたので不確かな部分があるため訂正も含めて後日に行いますが、カナダ政府やカナダ合同教会が先住民族の権利に関する国際連合宣言を重く受け止め、実践していこうという前向きに努力を重ねている姿勢に教えられました。

 

さて、昨年の2016年7月に浦河町杵臼へ80数年ぶりに12箱の遺骨が返還され再埋葬を行いましたが、北大が杵臼から持ち去ったご遺骨の中で1年のあいだ北大が情報公開して引き取り人が名乗って来られるのを待った結果、引き取り人が現れなかったご遺骨が今月の28日に返還され、儀式と共に杵臼に再埋葬されます。


新ひだか(旧静内)町での遺骨返還裁判

2017-10-23 11:11:16 | 日記

 さる、10月19日、日高管内新ひだか(旧静内)町と同管内浦河町東幌別にて過去に持ち去られ、北海道大学に保管されている195体のアイヌ遺骨の返還と埋葬する墓地の提供を求める訴えを各地区に住む「コタンの会」が起こしました。新ひだか町から193体、浦河町東幌別から2体という過去の訴訟では最大の数にのぼります。 

 「北海道大学医学部アイヌ人骨収蔵経緯に関する調査報告書」(2013 以下、『報告書』)によると、新ひだかでの発掘は1956年7月に静内町『駅前墓地』廃止・墓地改葬に伴い、静内町依頼により北大医学部第二講座が発掘し、現在161体を所有。さらに、1972年に北海道大学医学部解剖学第一講座によって静内町『豊畑共同墓地』改葬に伴って発掘し持ち去り、現在32体を所有していることが記されています。

 静内駅前アイヌ墓地は静内町駒場共同墓地へ改葬の際、静内町、北海道大学医学部第二解剖教室(責任者児玉作左衛門教授)、日高郷土史研究ケパウの会、静内高等学校郷土研究部の4団体が作業を行い、頭骨は改葬せずに北大が持ち去ります。『報告書』には「10日間に160余体のアイヌ骨格を発掘することができた。しかも、骨格の保存状態は良好であり、人類学的調査に使用し得るものも100余体という誠に貴重なる資料である」と、遺骨を単なる「研究材料」にしか見ていない記載がなされています。さらに『報告書』には、和人墓地の改葬は809件おこなったが「アイヌ墓地の改葬は皆無である」と記載されており、「改葬事業」とは名ばかりで、最初から研究ありきで持ち去ったことがあからさまに記されています。 

 当時の墓地、埋葬に関する法律では、「『改葬』とは、埋葬した死体を他の墳墓に移し・・・」とあり、「他の墳墓に移し」ていない北大の遺骨発掘はこの法律に違反した違法な改葬行為ということになります。

 豊畑共同墓地改葬事業については、改葬時の写真が情報公開され、その中にクワ(アイヌの墓標)がたくさん写っている写真があり、発掘当時も墓地として使用されていたことがわかります。さらに75体のアイヌ遺骨を発掘しながら北大は32の頭骨を中心として持ち去っているだけで、残りは火葬して新墓地に埋葬しています。旧静内町は、駅前墓地同様、改葬事業において新たな墓地に埋葬しなければならない義務を認識していたのです。

 過去の裁判同様、原告らの主張はアイヌの遺骨管理権限はコタンという集団が保持しているのでコタンへの返還を求めています。また、新ひだか(旧静内)町は上述のように、本来、改葬するべき義務を怠り、北大に遺骨を引き渡すという違法行為を行った(「寄贈」したことも隠蔽)ことから、墓地を準備し再埋葬するようにと新ひだか町をも訴えました(行政訴訟)。

 アイヌ民族の遺骨返還を求める訴訟は今回で5件目。その内、3件(浦河町杵臼、浦幌、紋別)は昨年以降にすでに和解が成立し、再埋葬が行われました。原告のコタンの会副代表の葛野次雄さんは記者会見で、「早く帰ってきて静かに休んでほしい」と訴え、アイヌ語でモシリコロフチ(国土を治めている女神)へ祈りを献げました。

 わたしたちはこの裁判も支援し、情報提供をみなさんにして行こうと思います。

 

さる、10月12日に新篠津にてわたしたちの教団の北海道内の牧師たちの研修会の中で楢木貴美子さんをお招きし、「樺太アイヌ(エンチウ)として生きて」の講演を伺うことができました。報告・感想は12月発行予定の機関紙「ノヤ」に掲載します。また、10月19日には札幌地区アイヌ民族フィールドワークでも楢木さんのお話と、カナダ合同教会の世界宣教師委員会総主事であるパティ・タルボットさんのお話を伺うことができました。