アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

ニュース「アイヌ政策 総額10億円」

2009-12-28 19:33:30 | インポート
毎日新聞には新メンバーの名は載っていましたが、予算も含めて26日の道新が詳しいのでUPします。道新HPには掲載されていませんでしたから紙面から写します。以下、色を変えて引用。

アイヌ政策 総額10億円
10年度予算案 新規事業に5800万円
内閣官房アイヌ総合政策室は25日、2010年度政府予算案のうち、各省庁ごとに計上したアイヌ民族政策の総額は10億8300万円とする集計結果を発表した。道外のアイヌ民族の生活実態調査など、政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」が7月にまとめた報告書を反映した新規事業は計5800万円に達した。
アイヌ政策を総合調整する窓口機関として8月に発足した同政策室が、アイヌ関連予算の総額を集計するのは初めて。
有識者懇の報告書はこれまで道内限定だったアイヌ民族に対する生活支援策の全国実施を柱の一つに据えており、その前提となる道外での生活実態調査に1400万円を計上した。
年明けに設置される新たな有識者懇談会「アイヌ政策推進会議」の運営費が800万円。このほか、アイヌ民族の人権擁護啓発に600万円、民族伝統の工芸品などの販売促進に向けた「アイヌブランド」確立支援事業に400万円などを計上している。

共生の公園整備 首相が推進表明
鳩山由紀夫首相は25日午前、北海道アイヌ協会の加藤忠理事長と首相官邸で会談し、アイヌ民族との共生の象徴となる公園施設について「積極的に政治主導で進める」と述べ、整備を進める方針を表明した。政府は年明けから、加藤氏も参加する「アイヌ政策推進会議」で、具体像の検討に着手する。
加藤氏は首相に「(民族の権利確立に向けた新法などの)立法措置も含めて、象徴的な共生空間の整備を早急にお願いしたい」と要請。首相は「友愛の思いはアイヌ民族との共生、自然との共生と同じだ」と述べ、今後のアイヌ民族政策に意欲を示した。
一方、平野博文官房長官は同日午前の記者会見で、同会議のメンバーを発表した。予定より1名減って14人になり、アイヌ民族5人が参加。年明けに初会合を開く。メンバーは次の通り。
平野博文(座長・官房長官)、小川勝也(座長代理・首相補佐官)、阿部一司(道アイヌ協会副理事長)、安藤仁介(世界人権問題研究センター所長)、上田文雄(札幌市長)、大西雅之(鶴雅グループ代表)、加藤忠(道アイヌ協会理事長)、川上哲(同副理事長)、佐々木利和(人間文化研究機構国立民族博物館教授)、高橋はるみ(道知事)、常本照樹(北大大学院法学研究科長・法学部長)、能登千織(胆振管内白老町学芸員)、丸子美記子(アイヌ・ウタリ連絡会代表)、横田洋三(人権教育啓発推進センター理事長)。
(北海道新聞 2009/12/26 第14版 第2面)


丸子さんは3月29日に東京で開催された市民外交センター主催のシンポでお話を伺ったことがあります(4/1 blog参照)。能登さんは白老ポロトコタンに行ったとき、たまたまアンエリスさんが先客で来ていてわたしを見つけ、その時に紹介頂きました。ご本人は覚えておられないでしょうが、わたしの母方の姓と一緒だと紹介させて頂きました。
アイヌ民族側から若手と女性が入ったのはバランス的によかったと思います。
「有識者」には、長く先住民族の権利回復の働きに取り組まれている市民外交センターの上村英明さんなどがもっともふさわしいと思うのですが・・・。


アメリカ・インディアン闘争史「わが魂を聖地に埋めよ」上・下巻(ディー・ブラウン著 草思社)を時間をひねり出して読んでいます。
著者は合衆国政府代表者と各先住民族との条約会議やその他の公式会合の記録(会議録・速記)を調べあげ、詳細で正確な史実を本書に記したとのこと。
第一章のコロンブスの名と共に推し進められていった1860年までの侵略の歴史が、細かい字で短くも分かりやすく記されていました。その内容は何度も重い気持ちになって次の話になかなかうつれませんでした・・・。ちらりと以前に紹介したDVD「500NATIONS」(ケビン・コスナー監修 2/11,18 26 blog参照)全8巻の資料と照らし合わせたら重なっていました。徐々に知識がつながっていきます。
第二章からは1860年からのナヴァホ族、三章はサンティー・スー族のリトル・クローの闘いと続きます。一日一章読めればいいでしょうか。じっくりと時間がほしいけれど、もらえそうもない年末・年始です。



海水温のほうが暖かいためになる留萌の名物現象「ケアラシ」。
もっと寒いと霧のようになります。


続報です

2009-12-26 06:52:10 | インポート
「アイヌ政策推進会議」設置に関して新たなニュースです。
25日の平野博文官房長官の記者会見で発表。11月17日に廃止された「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の後継組織という位置づけで年明けに初会合を開くとか(毎日・時事通信)。有識者懇談会ということですね。

メンバーは今朝の道新第2面によると、事前に報道された15名から1名減で以下のメンバー。
平野博文(座長・官房長官)、小川勝也(座長代理・首相補佐官)、阿部一司(道アイヌ協会副理事長)、安藤仁介(世界人権問題研究センター所長)、上田文雄(札幌市長)、大西雅之(鶴雅グループ代表)、加藤忠(道アイヌ協会理事長)、川上哲(同副理事長)、佐々木利和(人間文化研究機構国立民族博物館教授)、高橋はるみ(道知事)、常本照樹(北大大学院法学研究科長・法学部長)、能登千織(胆振管内白老町学芸員)、丸子美記子(アイヌ・ウタリ連絡会代表)、横田洋三(人権教育啓発推進センター理事長)。

これに関連して、鳩山由紀夫首相は同日午前、首相官邸で推進会議メンバーに選ばれた加藤忠北海道アイヌ協会理事長と会い、会議設置について説明(読売)。そして、「大事なことだから積極的に進める。政治主導でやりたい」と伝えた(時事・毎日)。
道新では政策予算額10億8300万も計上。道外での実態調査にも予算をつけて着手することや(1400万)、「アイヌブランド」確立支援事業にも取り組むことも書いています(800万)。

加藤理事長は首相に「(民族の権利確立に向けた新法などの)立法措置も含めて、象徴的な共生空間の整備を早急にお願いしたい」と要請(道新)。また、「自分を含めてアイヌ民族が5人も委員に入ることになった。麻生政権の有識者懇談会以上に期待が持てる。民族の権利確立に向けた立法措置などが実現できるよう、会議で議論を深めたい」と歓迎(読売)。

平野氏は「(報告書を)十分検討するが、アイヌの方々の意見、歴史と文化をしっかり共有することが大事。有識者も含めてしっかり議論をさせていただく」と述べたようです(毎日)。
いまだに「アイヌの方々」と呼ぶのは個人の生理的な感情の表れとして「民族」と呼びたくないのか、政治的にまだ「民族」と呼ばないと言うことにしているのか、どうなのでしょう、有識者懇の「報告書」も国会で先住民族アイヌが認められたのを受けていながらも、一貫して「アイヌの人々」でした。政府主導で呼称を統一させる必要があるのでは?関連して、国公立の博物館での展示物などの解説表記も書き換える必要があるでしょうし、今度の有識者懇では「アイヌ民族」と明記してほしいものです。

国連の先住民族権利宣言に基づき、アイヌ民族の急がねばならぬことを短期間で、時間をかけねばならないことは中長期でじっくりと深く審議して実施して頂きたいと願います。
毎日12/25 http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091226k0000m010083000c.html
読売12/25
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/hokkaido/news/20091225-OYT8T00671.htm?from=dmst3
時事通信 2009/12/25 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009122500358
北海道新聞 12/25 第14版 第2面

もうひとつ、今朝のニュースで目にとまったものがありました。
南米ベネズエラのチャベス大統領が、世界最大の落差(979メートル)で知られる同国の滝「エンジェル・フォール」の名称を変えるべきだと主張しているとのこと。
1933年、米国人冒険家ジミー・エンジェル氏が上空から「発見」したため、同氏の名前が付けられたそうですが、地元の先住民族にとっては「ケレパクパイ・メルー」(「最も深い滝」の意味)と呼ばれていたわけで、そう呼ぶべきだと主張。
(毎日http://mainichi.jp/select/world/news/20091226k0000m030050000c.html)
アオテアロア(ニュージーランド)では「マウント・クック」という国の象徴でもある一番高い山の名称をマオリ語で「アオラキ」と呼ぶようになったことや、各地名がマオリ語と英語が並列表記されていることを以前に聞きましたが、日本でも地名を元に戻すことも検討されるべきでしょうね。


アメリカ・インディアン闘争史「わが魂を聖地に埋めよ」上・下巻(ディー・ブラウン著 草思社)が送られてきました。以前から紹介くださっていたウイットマーさんからのクリスマスプレゼントです。早速、読み始めました。
今日は12月26日。今年もあとわずかです。今日も豊かな一日となりますように。


ずいぶんと歩いているようです。イタチでしょうか。過去写真


「アイヌ民族との共生の象徴となる空間」

2009-12-24 12:43:38 | インポート
今朝の北海道新聞にも新たなニュースが入っていました。
「アイヌ民族との共生の象徴となる空間」について。今朝のも道新のHPにはUPされていません。
HPの記事はあくまで呼び込みのためのショー・ウインドウのようなものなのですべてを掲載していないんだとか。そうでないとお金を出して新聞を買う意味がなくなりますしね。しかし、長文だとデーターにするには時間がかかるので面倒。が、皆さんにも紹介したいので頑張りました!少々、長いですが、以下、引用。

アイヌ民族と共生の象徴 大規模公園 政府が構想
政府は23日、「アイヌ民族との共生の象徴となる空間」を新たに整備する方針を固め、新設する「アイヌ政策推進会議」で具体像を検討していくことを決めた。アイヌ民族の伝統技術や生活様式を体験できる大規模な公園を、道内を軸に整備する構想が浮上している。鳩山由紀夫首相は、自身の掲げる「共生」社会の象徴的存在と位置付けたい考えだ。(解説2面)

慰霊施設の設置も
政府は年明けから議論を開始する同会議の結論をまって、2010年度中にも整備に向けた制度設計に着手する。
政府内では、自然の中でアイヌ民族の生活様式を再現し、訪れた人が民族の文化を体験できる施設とする案が浮上。アイヌ民族が大事にしてきた「自然との共生」を伝える狙いもある。
また、全国の研究機関などに保管されているアイヌ民族の遺骨を納める慰霊施設の設置も検討している。アイヌ民族文化に関する教育・研究・展示施設も整備し、伝統工芸の担い手育成の場とする方針だ。
共生空間の整備は、自公政権時代のアイヌ民族政策に関する有識者懇談会が7月末にまとめた報告書でも提言されていた。これまで国や道は「イオル(伝統的生活空間)再生事業」を胆振管内白老町と日高管内平取町で進めていたが、鳩山政権の共生空間の構想は、より大規模なものとなる見通しだ。
一方、推進会議ではアイヌ民族への全国的な生活・教育支援策の前提となる道外の実態調査も検討する。共生空間整備と合わせ、会国規模でアイヌ民族との共生への理解も広げたい考えだ。
(北海道新聞 2009年12月24日(木) 14版 第一面)

<解説>政府が整備方針を固めたアイヌ民族との共生空間は、過去の政権でも浮上していた構想だが、鳩山由紀夫首相が「友愛社会」の柱である「共生」の象徴的存在と位置付けたことで、実現ヘ向け一歩を踏み出すことになる。
政権内でアイヌ民族政策は、道内選出議員である首相の「担当分野」(周辺〉とされ、10月の就任後初の所信表明演説ではアイヌ民族を「先住民族」と明言。政府は共生空間の具体像を検討する「アイヌ政策推進会議」にもアイヌ民族5人を起用し、その視点を生かす考えだ。
共生空間の整備は、従来の「イオル(伝統的生活空間)再生事業」の延長線上にある。だが、これまではイオル再生の先に、伝統行事への和人参加拡大など具体的な共生の姿をどう目指すのか、国の強い意志はうかがえなかった。こうした理念の欠如が、アイヌ民族政策をばらまき的な補助金支給に偏らせてきた側面は否めない。
真の「共生」に向けては、まず首相が目指す将来像をわかりやすく示す必要がある。財政難の中で施設整備に理解を得るには、理念を粘り強く説明し、道内だけでなく、全国民の意識を変えていく作業も欠かせない。道をはじめとする関係自治体や団体も、政権交代をアイヌ民族政策転換の好機ととらえ、望ましい共生の姿や地域の実情を積極的に発信する必要がある。(小倉敦)
(北海道新聞 2009年12月24日(木) 14版 第二面)


アイヌ民族政策について鳩山さんは「強い思い入れ」がある(23日道新記事)そうですから、ハコ物の前に立法措置についてしっかりと取り組むと明言されることを期待していました。
文中にあるように、この施設は有識者懇の報告書の「具体的政策」の「②広義の文化に係る政策」に書かれているものですが、その部分もちょっと引用してみます。

ア 民族共生の象徴となる空間の整備
アイヌという民族に関する歴史的背景、自然と共生してきた文化の重要性、国民の理解の促進の必要性等にかんがみれば、アイヌの歴史や文化等に関する教育・研究・展示等の施設を整備することや伝統的工芸技術等の担い手の育成等を行う場を確保するとともに、併せて、アイヌの精神文化の尊重という観点から、過去に発掘・収集され現在大学等で保管されているアイヌの人骨等について、尊厳ある慰霊が可能となるような慰霊施設の設置等の配慮が求められる。これらの施設を山、海、川などと一体となった豊かな自然環境で囲み、国民が広く集い、アイヌ文化の立体的な理解や体験・交流等を促進する民族共生の象徴となるような空間を公園等として整備することが望まれる。
これらの施設及び空間は、本報告書のコンセプト全体を体現する扇の要となるものであり、我が国が、将来へ向けて、先住民族の尊厳を尊重し差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴としての意味を持つものである。


有識者懇の会議上では、「過去に発掘・収集され現在大学等で保管されているアイヌの人骨等」について、第5回会議(2009/2/26)で、篠田謙一さん(国立科学博物館研究主幹)が触れていました。
そこには国立科学博物館に5,000体くらいの人骨があると言っています。それらがどのように収集されたかを資料提示していますが、小金井良精(東京帝大)、清野謙次(京都帝大)、児玉作左衛門(北海道帝大)らの名前があるのです。彼らの収集したのが博物館にあるということでしょうか・・・。児玉が収集した遺骨は北大にあるのに東大・京大にはないのか・・・・。
いずれにせよ、収集の倫理的な責任について「反省しなければいけない」と篠田さんは語っていながら、具体的なことがなんら述べられず、その後の質疑にも触れられていません。収集にあたって、その方法や倫理的な問題、収集後の管理問題など相当な問題があるにも関わらず、その調査もしないまま、各大学や博物館から遺骨を移動させるだけであるなら慰霊にはならないのではないでしょうか。杵臼のアイヌ墓地(11/10 blog参照)での証言を聞いただけでも真実を調査するべきだと考えます。「遺骨収集」ではなく、「遺体盗掘」となりかねませんから。
これらの重要な問題が、さもないかのように「アイヌ民族と共生の象徴 大規模公園」の構想として書かれ、付随的に「慰霊施設の設置も」などと続けられると、加藤アイヌ協会理事長の政策提案(3)の「啓蒙」と和解の象徴となるような施設の設置という主旨ともずれるとおもうのです(第2回有識者懇ヒアリング)。その当たりはこの度できた「アイヌ政策推進会議」でしっかりと踏み込んで議論をしてもらえたらと願います。



夕方にキャンドルを付けてもう一度シャッターを押しました。自作ながら、かわいくてしかたがない!
今晩のキャンドル・サービスの時も点灯します。


「アイヌ政策推進会議」

2009-12-23 14:47:48 | インポート
ニュースが入りました。
先月の続きですが(11/18 blog参照)、新設する「アイヌ政策推進会議」のニュースが入ってきました。
今朝の北海道新聞の記事もURLに出ています。
(http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/206863.html)
こちらの先住民族関連ニュースblogにもUPしました(http://blog.goo.ne.jp/ivelove/)

が、今日の北海道新聞紙面ではもう少し詳しい内容が書かれていましたので、ここにUPします。以下、引用。

アイヌ民族5人起用
政策推進会議 年明けに初会合
政府は22日、新設するアイヌ民族政策に関する有識者懇談会「アイヌ政策推進会議」のメンバー15人を内定した。アイヌ民族側の意見をできる限り政策に反映させるため、道アイヌ協会の加藤忠理事長ら5人を起用する。鳩山由紀夫首相の目指すアイヌ民族との「共生」をテーマに具体策を議論する。週内にもメンバーを決定し、年明けに初会合を聞く。
加藤氏のほか同協会の阿部一司、川上哲の両副理事長、胆振管内白老町の能登千織学芸員の道内4人に加え、関東ウタリ会会長でアイヌ・ウタリ連絡会の丸子美記子代表が参加する予定。
同会議は、福田康夫政権時代の昨年8月発足した「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」の後継組織となるが、同懇談会はメンバー8人中、アイヌ民族委員が加藤氏1人だった。
新たな推進会議は首相が「強い思い入れを持つ」(周辺)アイヌ民族政策の指針を示す役割を担う。道内から高橋はるみ知事や上田文雄札幌市長らも加わり、議長は平野博文官房長官が務める。
基本的に自由な意見交換の場と位置付け、報告書の期限などは設けない方向。政策がまとまり次第、政治主導で予算や法案に反映させる。前組織が7月末に提出した報告書で提言したアイヌ民族の権利確立に向けた新法の内容についても意見交換する。
加藤氏は22日、「これまでより多くのアイヌ民族がメンバーに入ることで、いろんな角度から声を伝えていける。民族の声をきちんと位置付けていく体制づくりに期待している」と語った。
(北海道新聞 2009年12月23日(水) 14版 第一面)


引用以上。

「アイヌ政策推進会議」は、やはり「審議会」ではないのでしょうか。15人のうち、5人のアイヌ民族の皆さんの名は挙がってきましたが、他の10人は?これらの速報は政府のどこに聞いたら答えてくれるのでしょうか。有識者懇の時と同じようにURLを作って常時、オープンに情報開示してくれたらいいですね。先の有識者懇のメンバーは結局、アイヌ民族に関しては「無識者」でしたが、この度は有識者が内定されているのでしょうか。アイヌ民族側が推薦する有識者の席も政府は聞いたのでしょうか。首相の「強い思い入れ」があるとのことゆえ、期待したいと思います。
しかし・・・、アイヌ民族の5人の選定は誰がされたのでしょう。
「報告書の期限」についても記事に書かれていますから、「報告書」は出すのでしょうか。
等など、疑問だらけですが、新しい情報を待ちながら、こちらでも調べていきたいと思いますし。


アイヌ奨学金募金趣意書発送も終え、教会のクリスマスもあとは明日24日(木)のキャンドル・サービスのみとなりました。ちょっと、外に出て大雪の中、恒例の雪だるまつくりをしました。今年は4月に亡くなった我が家のイヴ(ラブラドール)もつくってみました。




映画「サンダー・ハート」

2009-12-17 06:50:16 | インポート
14日(月)に三ヶ月ぶりのチ・カラ・ニサッタの勉強会があり、札幌に行って来ました。それぞれが忙しく久々に集まりましたが、有識者懇談会の報告書を読み合わせながら、問題点を話し合いました。いろいろな視点からの指摘でたいへんいい学びとなっています。
終了後、いつもの通り会場を別にして熱い議論を続け・・・、その日はなんとカプセルに入ったのは午前3時。翌日は遅めに起きて留萌を通り越し、210キロ北上して初山別の家庭集会へ。
昨日はやっと機関誌「ノヤ」の残りの発送を完成させ、今朝は「聖なる魂」(森田ゆり 朝日新聞社 1989)の続きを読みました。内容をあまり知りませんでしたが、とても深く、色々なことを学んでいます(残りの少しは年末までおあずけ)。

アルカトラス島占拠のところでララミー砦条約(1868)のことも書かれていました。「酋長」レッド・クラウドに率いられたオグララ・ラコタ族の結束と粘り強い抵抗戦の結果、合衆国はラコタ族の居住の自由を認める条約を結びます。その後、合衆国は締結された17ヶ条の条約すべてを反故にしてラコタ族を北に追いたてますが・・・。それでも先住民族を認めて互いに契約を行なったことは当然有効であったわけで、その後の裁判では白人による不法占拠であることが認められたようです(日本ではアイヌを先住民族として認めず契約もしなかったのに比べると大きな違いです)。

島を占拠した人々は評議会を作って共同体の運営に当たります。そして長文の宣言を発表して占拠の理由と目的を謳いあげます。その中に、島内に先住アメリカ人研究センター、アメリカ・インディアン宗教センター、インディアン・エコロジーセンターインディアン芸術・技能センターなどの施設を設置する計画を述べています。さらにアメリカ・インディアン博物館も開設して、白人がインディアンに対して行なった経済的、文化的圧殺の歴史を展示すると宣言。
日本でもこれらの施設を設置したらいいですね。現在、苫小牧周辺に慰霊や文化交流を目的とするような施設の案が出されているようですが、どのような意図でどのようなものが出来るか注目したいと思います。

島占拠は1年半続き、その後も旧ナイキ・ミサイル基地占拠、DQ大学を南北アメリカ・インディアン完全自治の教育・文化センターとする運動、メイフラワー号占拠、アシュモア山占拠と、AIMの抗議行動は続きます。す、すごいっ!
抗議行動の成功のための戦術についてデニスさんは①大きな集会を開いて人々の共感を集めたこと、②争点を徹底的に明確にすること、の二つを挙げていました。なるほど。マスコミに声をかけて記者クラブで会見をしてもマスコミが取り上げないことがあります。なにがどう問題なのか明確にしてドカンとシンポジウムなどを開催して共感を得る方法は効果があるかも知れません。

キング牧師らの公民権運動と自分たちの権利回復運動の違いも述べています。公民権とは現存する立法・政治体制を改善する努力を通してインディアンも白人並みの公民権を会得しようとする概念だが、自分たちは「条約権」の立場に立つ、と。これはアメリカ合衆国とインディアン・ネーション(国)との間に交わされて合衆国によって一方的に破られた何千もの条約の履行を主張し、インディアン国を再興することだ、と。この破られた条約の回復を訴えるために行なわれたのが「破られた条約の旅」。
車によるアメリカ縦断の旅で聖地に寄って祈り、長老や祈祷師たちを訪れてはアドバイスをもらいながら、AIMの根源的な思想が次第に成熟していったようです。



今年の我が家のクリスマスカード飾り(手袋いっぱいの宝とオロロン鳥です。海岸の小石で作成)

ウンデット・ニー占拠(1973年2月)につても、当事者として詳しく書かれていました。
思わず注目したのは部族議長の独裁政治が問題にされていること。金のばらまきと暴力団導入、さらに警察との癒着。それに立ち上がったのは勇敢な女性たち。
「きょうは死ぬに良き日だ、ホカ・ヘイ(がんばろう)」の掛け声と共に、アメリカ政府の武力と経済力を後ろ盾に悪徳のかぎりをふるうウイルソン部族議長の暴力を拒否する行動がはじまります。

交易所占拠のあとにカトリック教会を占拠。出入り自由だった神父らは自主的に教会に残ったとのこと(キング牧師の後継者として知られるラルフ・アバナシー牧師も訪れて支持を表明)。
銃撃やファントムでの脅しなど凄まじいもの。スパイを送り込み、嘘のうわさをまき散らして内部の士気を落とすという心理工作もあったようです。なるほど勉強になります。

この出来事を題材にして出来たのが映画「サンダ―・ハート」(1992年 ヴァル・キルマー主演)。つながってきますね。題の「サンダー」とは1972年に殺されたオグララ族インディアン男性、レイモンド・イエロー・サンダーのことなのでしょうね。

ところで、この「サンダー・ハート」はもちろんのこと、前回に少し触れた映画「ソルジャー・ブルー」もTUTAYA(レンタル屋)さんで最近貸し出しを始めました。「ソルジャー・・」のほうは1970年代に日本でも上映されたようですが、やっとDVDになりレンタルもされるようになったのですね。ウイットマー(道北センター館長・アイヌ民族委員長)さんによると、アメリカではこの映画と「小さな巨人」によって、先住民族の虐殺の歴史が明かされたため、それまでの「西部劇」が描けなくなって、しばらく西部映画は作られなかった、と教えてくれました。


今日の午後にはアイヌ奨学金キリスト協力会の募金趣意書が印刷されて来るので、今夜と明日一日は、うちの作業所メンバーと発送作業に打ち込みます。


台湾タロコ民族の装飾品。タロコ国定公園内博物館展示物より


「聖なる魂」

2009-12-12 17:38:09 | インポート
昨日はノヤ発送作業を終えるのが早かったので、疲れもありOKIライヴを諦めて帰宅しました。

読めずにいてちょっと気になっていた本「聖なる魂」(森田ゆり 朝日新聞社 1989)を読み進めています。
現代アメリカ・インディアン指導者デニス・バンクスの半生を綴ったもの。著者(翻訳者と言うべきか)は森田ゆりさん。森田さんは知る人ぞ知るCAPの創始者で、わたしも何冊か本を読んで共感していました。
翻訳と言っても本書は日本語のみの出版となっています。著者が東京立川市の砂川米空軍基地に情報部隊の一員として配置された時のとある経験からだそうです。
1956年、基地拡張反対の抗議デモを阻止する命令を受け、市民に銃を構えろと命じられた彼が、その時に見た光景は日本の機動隊がデモ中の無抵抗の農民や僧侶達に襲いかかり、棍棒を振り下ろしているものでした。そして、ただ平和を願っている人に対して銃を構えるために使われている自分のあり方を考え直さざるをえなかった、と。その時以来、自分に重要な影響を与え続けている藤井日達という僧侶との不思議な縁がこの本を日本語で出版させたのだ、ということです。
加えて英訳にしなかった理由として、英語を語る人々は過去何年もの間、自分たちアメリカ・インディアンの語る言葉を自分たちの都合のいいように解釈し続けてきたため、その抗議だと。

彼は1936年、ミネソタ州リーチ・レイク・インディアン居留地でアニシナベ(最初の人間の意)民族に出生(人々は自分たちをオジブワ(チペワ)・インディアンと呼んだ)。
ちなみに、ミネソタとはオグララ・ラコタ(スー)族のことばで「靄(もや)の立ちこめる水面」の意味だそうですが、州の名前を調べると先住民族の言葉が語源となっているところは多いですね。
自然に包まれて森や湖から豊かな糧を与えられて育ったことが語られています。しかし、そのうちに米政府の規制が自分たちの自由で自然な生活を奪っていきます。住むところを分断され、狩猟規制がなされ、父親は戦争に取られ、やがて寄宿舎生活へと送られて家庭も生活もばらばらに。
寄宿舎では規則で縛り上げられ、対インディアン教育を強いられます。このあたりに描かれるキリスト教はなんとも嫌になります。インディアンを野蛮・敵と教え、「イエス様はわたし達の友達」(Jesus Loves Meでしょうか)などの讃美歌を覚えさせたとか。

そう言えば、サンドクリークの大虐殺(1864)の指揮をとったチビングトン大佐はアメリカで教会学校運動を広めたメソジスト教会の牧師でした。一方ではキリストの愛を教会教育で諭し、他方で無抵抗の女こどもを大量虐殺して両立させていたわけです。(Wikipediaでも虐殺の情景を紹介していますし、映画「ソルジャー・ブルー」にも描かれています。映画では軍隊が奇襲する際、シャイアン族の長「まだら狼」が馬に乗って白旗と星条旗を掲げてきますが、実際は何も乗らずにじっと立ちつくし、白旗とリンカーン米大統領からもらった星条旗をかかげて、完全に不戦闘の意思と相手を受け入れる姿勢を示していたという記録もあります)。映画「ソルジャー・ブルー」も「小さな巨人」も先住民族虐殺の場面は目を覆いたくなります。



話を戻しますが、前掲書にはインディアン局(BIA)が陸軍省内に設置され、後に内務省の管轄に移管されたことや、これが全国各地にインディアン寄宿舎を設立したことなども分かりやすく記されていました。寄宿舎での差別的な教育や、体罰という名の虐待は教師が生徒の中から希望者を募って棒やベルトで殴らせることだったなどぞっとする証言もあります。

やっとの思いで脱出を成功した後、日雇いをしながら多くの人種差別にあいます。そして入隊し、数年後に日本へ来て、前述の事件を目の当たりにします。さらに、愛する人とこどもが出来、軍への不信感もつのらせ基地を飛び出して本国へ強制送還。帰国後はアルコールに蝕まれ、どん底に。
しかし、偶然にも牢獄で同じイジブワ族のトム・ジョーンズと出会い、人生が変わります。刑務所から出てからトムと仲間たちとともにCIAC(憂慮するインディアン協議会)をはじめ、後に、AIM(American Indians Movement アメリカ・インディアン運動)と改名されます。

AIMは様々な運動を展開します。学校の歴史教材に出てくるインディアン描写(無教養で野蛮な動物まがいの人種として)を使用不可にさせるなど、過日に紹介した台湾原住民族の「呉鳳神話廃棄運動」(09/7/9blog参照)に通じますね。
アルカトラス島占拠のことも述べられていました。かつて上村さんの本(「世界と日本の先住民族」岩波ブックレット)にも書かれていた内容と重なりました。アルカトラス島を強制撤去された後に米国はこの島を国立公園にしたのですね(これも台湾と同じで公園法により先住民族の追い出しを法的に位置づけたという事でしょうか)。

1973年のウンデット・ニー占拠も、「破られた条約の旅」、BIA(インディアン局)本部占拠も載っていました。若いインディアン戦士たちが命を掛けた闘いに出陣する際にその決意を固めるために行なう「我々はここを死守する。来い。死ぬには良い日だ」本の紹介はここまでにしますが、こうした証言などを聞いたり関連の解説を読んだりすることによって、少しづつ先住民族の闘いの歴史がつながって来ます。たくさんの資料があるのですね。


昨日、一日だけ晴れました。暑寒別の写真です。


「百年のチャランケ」

2009-12-11 09:33:55 | インポート
旧土人保護法の廃止にともない、道知事が管理していたアイヌ民族の共有財産を1999年4月に返還決定した際、知事の調査が不十分で返還対象に漏れがあったとアイヌ民族が知事を相手取り、返還処分の無効確認を求めたアイヌ民族共有財産訴訟をわたし達も支援して裁判傍聴しました。最近、裁判の資料を集めた報告集「百年のチャランケ」(緑風出版)が出ましたので、ぜひお読み下さい。
結果的には敗訴となったわけですが、控訴審判決で坂本慶一裁判長は判決理由の中に「(共有財産の中には)道知事が指定後の管理経緯を詳細に把握しきれていないものがあることは否めない」と指摘。道知事が官報で公告した以外にも共有財産が存在すると初めて認定したのです。その上で「返還手続きに漏れた共有財産があるとすれば、再度、アイヌ文化法に基づき、返還手続きがなされ得るものと理解される」との判断を示しました。
わたしの記憶では「漏れ」はその後もどんどん見つかっているはず。知事側は「(漏れがあったとしても)追加公告で返還手続きするにすぎず、違法ではない」と反論していたのですが(道新2004/05/27 )、その後の追加広告は出たのでしょうか。追跡調査をしないといけませんね。
そもそも「共有財産」の制度、運営の仕方などの根本的な問題も含めて、アイヌ民族を日本の先住民族として認めた今日、問い直さなければならないことは山積みされていると思います。一日も早く法整備がなされ、先住民族アイヌの権利が回復されますように。
アメリカでインディアン信託裁判が政治的和解となったニュースが届きました。もう少し詳しく調べて見ようとおもいます。

やっと機関紙ノヤが完成し、今日は発送作業のために札幌へ。アイヌ奨学金キリスト教協力会の募金趣意書も入稿がすみ、印刷待ち。あとは発送のみとなりました。
我が家のクリスマスカードの飾りは今回もいい感じです。

トンコリ奏者OKI主催のライヴが札幌でありますね!豪華メンバーのオール・ナイトの朝4時までとのことですが、その時間はいつもわたしが起きる時間・・・2ステージぐらいでダウンでしょうか! おっさんのおるスペースもないでしょうが、ノヤ発送作業後に聞きに行こうと思います。


「Upas Nonno ウパシノンノ」(アイヌ語で『雪の花』の意)
樺太~北海道の各地域のルーツアイヌに伝承されるリズムや歌(ウポポ)の数々、アジアン~カリブ~アフリカン経由の多様な太鼓リズム、ファンク&ジャズ・・・。

出演
::: MUSIC LIVE :::
OKI / MAREWREW / Oiseau / Tike
::: BELLY DANCE :::
YOSHIE(from TOKYO) / Somayya / Shiho / Habibe Group
::: DJ's :::
CulturalVibes(from TOKYO) / ODA

日程: 2009年12月11日(金)
時間: 20:00 Open & START
料金:・・・当日 3,000円(1Drink付)
会場: party house FIESTA
 (札幌市中央区南3西1 マルビル2F / Tel.011-233-0375)
アクセス: 狸小路1丁目のサンクスから36号線に向かい、左手沿いの北一ラーメンさんの左隣の階段入口


最近天気が悪く写真が撮れません。今回もブヌン民族村のモニュメント


有識者懇報告書をめぐって

2009-12-07 21:38:55 | インポート
5日(土)に、WINアイヌの学習会で、上村英明さん(市民外交センター)の講演「先住民族アイヌの権利確立に向けて」を聞いてきました。
先の有識者懇談会の報告の特徴と評価について、いい学びとなりました。
なにげに疑問に思っていたことですが、国会でアイヌが日本の先住民族だと認められて今後のアイヌ政策のあり方を有識者たちで審議したはずなのに、その報告書には「アイヌ民族」とは書かれず、あいかわらず「アイヌの人々」を使用していました。やっぱりおかしいことだと確認できました。
では、なぜ?と聞いても「ささいなこと」として問題にされないかも・・・。

上村さんは報告書に関して、「政府機関の報告書としては『有用』であるが、問題は多岐にわたって深刻である」と指摘。

「有用な点」として、先住民族の認定やいくつかの歴史的記述、また、重要なアイデア(観光政策など)を列挙。

問題点として、まず構成員の問題を取り上げました。ほとんどが大和民族であり、大半がアイヌについて無識者だった、と。
さらに、内容に関して以下を指摘(わたしのまとめですのであしからず)。
①報告書はアイヌ民族の歴史を叙述し、それを権利保障の基盤とするが、そこには「大和民族」の歴史観からの脱却ができていない。たとえば、「近代国家の成り立ち」の重要性を指摘しながら「植民地主義」を明確に認めていない。また、戦後日本政府の責任(「農地改革」問題、単一民族幻想流布、ウタリ有識者懇報告と文化振興法評価)を言及せずにすっとばしていること、など。
②アイヌ民族の全体性は認めたがアイヌ民族の個別性や多様な対応の必要性について触れていない(せっかくヒアリングやったのに聞いていない)。
③具体的政策に集約される問題点として、
(1)人権侵害があるにも関わらず、「『国民の理解の促進(教育・啓発)』が権利保障の前提」など記述されている
(人権侵害をやめることをまず行いつつ並行して人権教育を進めていくべき)。
(2)国連宣言の遵守を表明しながら多くの条文を無視し、「文化」振興という視点に限定してしまっている。
(3)法制化が外されて「あとがき」に希望として記載している。
(4)財政基盤が触れられていない。


昨年の有識者懇開催中に阿部ユポさん(アイヌ協会副理事長)の講演の中に、二十数年訴え続けてきたアイヌ新法案などに答えてほしいと要望されていました。アイヌ新法案は今もアイヌ民族の要望として生き続けているのです。(アイヌ文化振興・研究推進機構主催セミナー’08/8/29札幌 http://www.frpac.or.jp/rst/sem/sem20.html )。


上村さんは「今後の方向性」として、まず、国連宣言の第42 条【宣言の実効性のフォローアップ】について説明してくださいました。国連宣言は「宣言」ゆえ、法的拘束力はないと言われますが、この42条には以下の明記があります。
42条「国際連合および先住民族問題に関する常設フォーラムを含む国連機関、各国に駐在するものを含めた専門機関ならびに国家は、本宣言の条項の尊重および完全適用を促進し、本宣言のフォローアップ(追跡措置)を行う(市民外交センター仮訳改訂2008 年9月21日)。

つまり、「先住民族問題に関する常設フォーラム(PFⅡ)が監視機関としてつねに監視しているし、今年(8/12)の第12回期人権理事会にて、人権高等弁務官事務所が人権理事会に各国での宣言の実行に関する年次報告を義務化することが決定したので、常に国連にて国際的な目が光っている、と。むしろ、「宣言」だけれども厳しい監視がある、と。

また、最後に新しい政治状況の中での諸課題として、以下を提起。
①新たな審議会でどこまでアイヌ民族の意見が反映できる組織としていけるか。
②アイヌ民族の意見をアイヌ民族自身がどういう風にまとめていけるか。
③大和民族として、歴史の枠組みの見直し(日本史とアイヌ史を分ける)、謝罪・賠償への土台つくり。


上村さんの話しは分かりやすく説得力がありますね。
留萌では雪が降り積もっては融ける繰り返しです。しかし、今朝から気温もグッと下がり、猛吹雪。いよいよ根雪となるでしょうか。皆さんもご自愛下さい。
今週の金曜日には機関紙ノヤの最新号を発送できそうです。やっと事務仕事が終わりました。



ブヌン民族村のモニュメント(最近、写真が撮れず失礼)


ル・クレジオさんの講演WINアイヌの学習会・講演

2009-12-05 12:37:06 | インポート
昨年にノーベル文学賞を受賞したフランス作家ル・クレジオさんを迎えて、北大アイヌ・先住民研究センターが主催で「先住民族の語りと文学」シンポジウムが2日夜に開かれました。わたしも行きたかったですがつもり積もった事務作業で断念。

新聞報道によると300名もの人が集まった、と。
マジョリティーの意識を変えるには、「有名人」にお話いただくのがいいのでしょうね。たくさんの方にアイヌ民族の豊かさや世界の先住民族の価値観の重要性などをについて語って頂きたいですね。

ル・クレジオさんは、先住民族の「自然と調和・均衡を図り、与えられたものに感謝してきた伝統社会の生き方は、現代産業社会をより良くするヒントを与えてくれる」と言われたとか(道新記事※)。 先住民族の生き方から学ぶことは多いと思います。わたしも生活スタイルを見直しています。



タロコ国家公園内の博物館にあったタロコ民族の絵。顔に刺青をしていますね(クリックで画像大)。


さて、機関紙「ノヤ」、アイヌ奨学金趣意書作成発行の作業に追われつつ、少しづつ資料にも目を通していますが、目に付いたところをひとつ紹介します。
「先住民族の10年News第154号」に掲載されている手島武雅さんの「『アイヌ政策有識者懇談会』の政治学入門①」です。

特に、
「a:国民のコンセンサスを得られないと先住民族の権利回復は難しい」
「b:あまり厳しい注文を出さず、段階的に実現できる方向に持っていくべき」
との意見に対する批判はグッと迫って来ました。

aの言葉は「国民」の側にいる人には「心地よい響き」だと。確かに理想的なことであるけれども、過去にはこの言葉でもってアイヌ民族の願望と要求を阻止し、政治的社会的変革をしてこなかった、これは「お守り言葉」であって20年後も同じ言葉を唱え続けているのではないか?と。
bについては、加害者に都合のいい「ゆっくり」さを批判的に簡単な例を挙げて紹介してくれています。

「国民のコンセンサスを得る」、「マジョリティーを変える」、「現実的に」など、なんとなく理解しつつも、ストンと飲み込めない部分の指摘を受けた気がします。
続きを読みたいと探したのですが、な、なんとどういうわけかNo.155~156がない!
再送してもらうことにします。「先住民族の10年News」はいい内容です。講読されていない皆さん、定期購読を勧めます。

※北海道新聞 12/03  http://www.hokkaido-np.co.jp/news/donai/203402.html
毎日新聞 12/4 http://mainichi.jp/hokkaido/shakai/news/20091204ddlk01040064000c.html



世界先住民族ネットワークAINU主催の学習会および研修会の案内が来ています。
上村英明氏を迎えての学習会は今夜。楽しみです。
クリスマスまで忙しいので報告がすぐにUP出来るか不安ですが、とにかく今から出かけて録音してきます。

WINアイヌ第5回学習会「先住民族アイヌの権利確立に向けて」 アイヌ民族政策の進展に関する課題と展望-
◆12月5日(土) 18:00~
◆会場:札幌エルプラザ 4F「大研修室C」
   札幌市北区北8条西3丁目           
◆講師:上村英明氏 (恵泉女子学園大学教授・市民外交センター代表)
◆参加費:無料  資料代:500円


グアテマラ講演「戦時性暴力の被害者から変革の主体へ」~
◆12月8日(火)18:30~              
◆会場:札幌エルプラザ 「環境研修室2」
   札幌市北区北8条西3丁目           
◆参加費:500円
◆主催:札幌実行委員会
◆問合せ先:世界先住民族ネットワークAINU札幌事務局(011-593-0655)
<プロフィール>2000年東京で開催された女性国際戦犯法廷に触発され、グアテマラのフェミニスト活動家、ヨランダ・アギラルにより始められたプロジェクト。グアテマラ内戦のさなか、性的暴力を受けた被害者に正義と尊厳をもたらすべく活動している。「戦時性暴力の被害者から変革の主体へ─正義を求める女性たちの闘い」という名の通り、女性たちが恐怖に打ち克ち尊厳を取り戻すことで受動的被害者の立場から抜け出し、自らの人生を切り拓き、また女性に対する暴力を根絶すべく社会を変革してゆく主体となることを目指しています。


台湾でよく栽培されているビンロウの木と実