アイヌ民族情報センター活動日誌

日本キリスト教団北海教区アイヌ民族情報センターの活動日誌
1996年設立 

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アイヌ民族シンポ講演「北東アジアの中のアイヌ民族」

2013-01-31 11:47:25 | インポート
1月25日に久しぶりのブログ更新後、おもいきって札幌に向かい、北海道アイヌ協会札幌支部主催のアイヌ民族シンポジウムに参加して来ました。
基調講演は「北東アジアの中のアイヌ民族」と題して、榎森 進(東北学院大学教授)さんのお話。
続いて、パネルディスカッション、伝統舞踊披露と2時間半が瞬く間に過ぎました。
榎森さんのお話もあと1時間あれば質疑も十分に出来たのにと残念でしたし、パネルディスカッションも発言意欲満々のパネラーが8名もいて、さらに時間も押していたためにディスカッションにならず、全体的にあと2時間はほしいところでした。

榎森さんの講演はしっかりしたレジュメ(要点)がA4用紙で12枚。加えて地図や表が8枚あり、いい資料となりました。講演内容で特にこころに残ったところをいくつか記します。
まず、中世のアイヌ民族がサハリンへ進出し、モンゴル・元朝と闘ったことを紹介。13世紀前半(日本の鎌倉時代)までに、日本側がアイヌ民族との交易品で求めた鷲の尾羽(弓矢に使う)や鷹(鷹で猟するのに使う)、クロテンやアザラシの皮などの新たな獲物の捕獲を目指してアイヌはサハリンに進出。その結果、13~14世紀初頭にギリヤーク、モンゴル(元朝)との44年間にわたる長期の戦いが繰り広げられた。
中国の史書 には以下の記載あり。
「骨嵬(gu-wei)を征す。これより先吉里迷(Jilimi)内府し言わく。その国東骨嵬・亦里干(yiliyu)両部有り、歳に来たりて彊を侵すと。故に往きてこれを征す」『元史』本紀・世祖。至元元年(1264)11月辛巳
骨嵬はアムール川下流域・サハリンの諸民族のアイヌに対する呼称。先吉里迷(ギリヤーク)の報告で、東骨嵬(アイヌ)と亦里干(オロチョン説が中国から出されているが不明。最後の「干」は下が左にはねています)が攻めてきた。そこで征しに行った、と書いているのです。『元史』は中国の史書中でアイヌ民族の動向に関する最初の記事とのこと。フビライ治世の時期のもの。
44年間に渡り、闘いが繰り広げられたということは、「アイヌ社会に階層分化が進展し、各地の首長層を統率できる有力な首長層が存在する社会になっていた」と榎森さんは述べます。

幕藩制国家は松前藩に「交易権」を与えただけであり、土地の使用権はなかったというのも重要な学びでした。そして、この土地使用権は法的に現在もアイヌ民族の側にある、と、あとのパネルディスカッションでパネラーの市川守弘さん(アイヌ遺骨返還訴訟弁護士)が発言。
故萱野茂さんのことば「和人に土地を売った覚えも貸した覚えもない。借りたのであれば借用証をみせろ」(朝日新聞2007.12.29萱野志朗さんの文)の通りなのです。
ゆえに、明治になって「北海道」全域を一方的に日本国の領土としたというアイヌ文化振興財団編集の『副読本』の従来の記述は正しい、と。

松前藩がアイヌ民族との交易権を独占したために、松前藩側に交易基準が一方的に決められる等、アイヌ民族側の交易の主体性が奪われ、この矛盾の爆発がシャクシャインの戦い(1669年)となった。

他にも、「奴兒干都司(ヌルガントシ)」、「日本型華夷秩序」と「四つの口」、「辺民制度」のことなど、多くを学ばせて頂きました。



NHK BSの1月11日から4回連続ではじまった「火焔 北の英雄 アテルイ伝」に関連して、BS歴史館『不屈の英雄アテルイ 古代東北の底力』が1月31日(木)20:00から1時間放送されるようです。

札幌で雪祭りが開催されますが、それに前後してアイヌ民族関連のイヴェントも盛りだくさん。
アイヌ遺骨返還裁判 第2回口頭弁論の案内もUPします。昨年のムックリ大会は十位だったので、今年こそ3位内に入りたいと願っているのですが、最近、みんな上手で自信がなくなりました。しかも今回は土曜日開催で時間も遅いのであきらめるかも知れません。

●第16回アイヌ語弁論大会 イタカンロー アイヌ語で話しましょう!
日時:2013年2月2日(土)13:00~17:00(終了予定)
場所:北海道大学クラーク会館講堂(札幌市北区北8条西7丁目)

●第20回全道ムックリ大会・第12回全道トンコリ大会
日時:2013年2月2日(土) 17:00~20:30
場所:札幌ピリカコタン(南区小金湯27)

●アイヌ工芸品展「風のかたりべ」特別展
日時:2013年2月2日(土)~3月24日(日)9:30~17:00(入場16:30まで)
会場:北海道立近代美術館

●第19回アイヌミュージックコンサート
日時:2013年2月3日(日) 13:00~17:00
場所:札幌ピリカコタン(南区小金湯27)

●パネル展・民具展示
日時:2013年2月5日(火)~2月11日(月)  9:00~17:00
場所:チカホ北4条広場(札幌駅地下歩行空間)

●さっぽろ自由学校「遊」連続セミナー 「アイヌ先住権とはなにか」第3回目
日時:2013年2月6日 19:00~21:00
会場:NPO法人さっぽろ自由学校「遊」(札幌市中央区南1条西5丁目愛生館ビル2F)

●アイヌ遺骨返還裁判 第2回口頭弁論
日時:2013年2月8日14:00~
場所:札幌地裁


詳しくは↓「イヴェント情報ブログ」をどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/sakura-ive




アテルイ伝

2013-01-25 12:11:08 | インポート
少し前ですが、2012年11月15日に第9回「政策推進作業部会」が開かれ、議事概要がUPされています。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/seisakusuishin/dai9/gijigaiyou.pdf

アイヌ人骨の調査に関して、以下の話し合いの記録があります。
○アイヌの人骨について、12月を目途に調査を実施していると聞いているが、その後どうするのか。
どのようにして返還するのか、どのようにアイヌと話合いをするのか。
○ 文部科学省において、全国の大学を対象に、12月を期限としてアイヌの人骨の保管状況の調査を進めている。象徴空間の作業部会報告にあるとおり、遺族等に返還可能なものについては返還するというのが最初のステップであり、文部科学省、また私どもでも、返還手続をどういった形で進めていくべきか検討を進めているところ。返還手続のあり方についてある程度形が見えてきた段階で議論いただきたいと考えている。返還の目途が立たないものについては、象徴空間に集約して尊厳ある慰霊に配慮するというのが部会報告で決まった方針と理解している。


全国の大学での調査結果を早く確認したいものです。
北大の不誠実さから「アイヌ遺骨返還裁判」が始まりましたが、裁判の成果が出てきています。過去に開示された黒塗り帳簿の裁判に関連する部分が開示され(乙第11号証)、原告の先祖であることが明らかになって来ています。備考には「発掘当時未だ軟部の残存せるもの多く教室にてmagertion」や、死亡埋葬後7年で発掘していることが明らかになっています。多くの腐敗しきっていない脳や内臓、筋肉を解剖学教室でmagertion(削り落とすの意味か)、埋葬してまもない遺体はまさに原告のご先祖のものだったのです。

この「帳簿」は以前にも書きましたが、「第1解剖移管」とはじめにゴシック太字で書かれ、さらに「以下の頭骸骨を、第1解剖より移管(昭和25.2.24)」と記されています。これは、北大の「解剖学第一講座」と推測され、山崎春雄という教授が1921(大正10)年5月に開講したもの。第1解剖講座のアイヌ人骨の「帳簿」も関連してくるはずなので、それらも北大は開示するべきですが、どうして開示されていないのか?
「昭和25年」当時に第1解剖教室の山崎教授らが「発掘」し、第2解剖教室の児玉作左衛門教授に「頭蓋骨」だけを移管したということか? 
「昭和25年」にワープロはなかったであろうから、この開示された文書の元があるのでは?

北大側は当時の遺骨発掘に関して、「それが所在する場所を管理する者から承諾を得ていた」と述べていますが、原告側はさらに求釈明をしていきます。



「アイヌ民族シンポジウム」が本日、以下のように開催されます。

【日時】2013年1月25日18:00 ~20:30
【会場】教育文化会館4階講堂 札幌市中央区北1西13
【入場料】無料
【プログラム】
1.基調講演「北東アジアの中のアイヌ民族」(榎森進・東北大学文学部教授)
2.パネルディスカッション「アイヌ民族の宗教的伝統と慣習の権利について考える」
3.アイヌ舞踊と音楽
出演(札幌ウポポ保存会・アンコラチメノコウタラ・アユニタラモシリ札幌トンコリ保存会・アイヌアートプロジェクト)
【主催】社団法人北海道アイヌ協会札幌支部、北海道新聞社、札幌市
【お問い合わせ】社団法人北海道アイヌ協会札幌支部事務局(電話011-596-1610)


NHK BSの1月11日から4回連続ではじまった「火焔 北の英雄 アテルイ伝」を、行田教会の友人牧師が、わざわざ録画してDVDに納めて送って下さいました。感謝。アニメの「アテルイ伝」は以前に購入してセンター資料となっています。この度の放送も資料として保存しました。
近辺ではいまいちの評判ですが、オープニングから釜石の病院が映り、俳優も物語としてもいい感じで引き込まれました(釜石病院の隣の教会に震災直後から支援に2カ月ほど行ったのです)。
http://www.nhk.or.jp/jidaigeki/aterui/
1月31日はNHK BS歴史館で「不屈の英雄アテルイ 古代東北の底力」が放送されます。それも楽しみ。


年末から留萌は悪天候が続き、JRもバスも止まって大変でした。留萌にこもっている間に、アイヌ奨学金キリスト教協力会の募金趣意書作成発送、ノヤ43号作成発送を多くの方にご協力頂き行うことが出来ました。感謝。
この数日、青空が出てうれしかったですが、先ほどからまた荒れだしました。