前回に一部和解の事を書きました。
和解内容をくわしく書いていきます。今回の和解で返還されるのは、故人の特定可能な(つまり、どなたのご遺骨か資料によってわかる)5人のうち、原告の小川隆吉さんのご遺族おひとりのご遺骨、そして、特定不可能なご遺骨11人のご遺骨です。小川隆吉さんのご遺族は全身骨で大きな箱におさめられています。過日、隆吉さんが確認にいったところ、頭蓋骨にご遺族のお名前が黒いマジックで書かれており、実験材料として粗末に扱われていた事に怒っておられました。11人分は頭骨のみが10人、他のおひとりは、どの部分か分かりませんが一部の「体部骨」のみ。これらは小箱におさめられています。
12名は北大から戻って来られるための儀式が行われる杵臼生活館に迎えられます。その「搬送」費用は北大が負担します。
杵臼から、盗み取られたご遺骨は、北大の資料によると、16名おられます。小川隆吉さんのご遺族以外の、故人が特定できるご遺体4名については、「被告(北大)が開設するウェブサイト上にて以下の情報を書くこと(公告)も和解条項に記されています。
1.祭祀承継者を特定する上で必要かつ合理的な情報
2.公告の日から一年を経過するまでの間に限り、当該祭祀承継者(返還希望のご遺族)から遺骨の返還の申出を受ける事。
この「公告」がどのようなものか気になります。なぜなら、いままで北大側は恐らく個人情報保護の名目で、開示請求された資料を黒塗りしてきました。それゆえ、個人認定ができずご遺族に知らせる事も出来ませんでしたし、ご遺族が気付くこともなかったのです。それをこの度、インターネットを見る事の出来るご遺族がご自身の関係者のご遺体であることの分かる情報を出すということは、どうするのでしょう。
そもそも、ご遺体を奪って持っていき、不当に保持していた研究者や大学側が真摯に資料を調査するべきですし、個人が特定出来るご遺体のご遺族を捜し出し、謝罪とともにお返しする努力をするのが筋だと思うのですが。
1年待って、4名のご遺体の引き取り手であるご遺族が名乗りをあげたなら返還し、ご遺族がインターネットを見ておられなかったり、知らないまま1年が終わった場合、また、ご遺族の希望があった場合は今回同様、再埋葬の儀式と埋葬をします。
和解条項には、「引き渡しを受けた遺骨及び副葬品」をコタンの墓地に埋葬し、「将来にわたり尊厳ある態様で維持管理する」ことが記されています。この度の返還訴訟の原告の皆さんは、尊厳あるアイヌプリ(アイヌ民族の伝統)で、供養したいと願い、返還請求と、ご遺体を盗まれたために「供養」が出来なかったその苦痛が今日まで続いていることを慰謝料請求しました。この和解で慰謝料請求はとり下げましたが、遺骨の返還が実現し、やっと供養できると原告の皆さんは喜んでおられます。
来る7月15日(金)より、17日(日)にかけてご遺骨を迎え入れる儀式を行います。
遺骨返還訴訟ニューズレターNO.13号(2016/04/17)に、和解条項全文、和解日の共同記者会見での原告のお話、ご遺骨を迎え入れる儀式のご案内を載せています。ご覧下さい。
http://hmjk.world.coocan.jp/newsletter/kokanu_ene013.pdf
今日はアイヌ民族情報センタースタッフ会が札幌であるので、いくつかの教会や手作りウタラの会を訪ね、夜はさっぽろ自由学校「遊」の2016年度前期アイヌ民族関連講座「北海道をもっと知ろう! アイヌ入門講座」を受講してきます。
http://blog.goo.ne.jp/sakura-ive
明日は、旭川の嵐山にて「第41回チノミシリカムイノミ」(聖なる地でのお祈り)に参列します。
イヴェント情報ブログも充実させて行きます。
2009年に見た黒い狐「シトゥンペカムイ」。でも、いづれも冬にみているので単に冬毛なのでしょうか。
いやいや、5月23日に見たのも写真にはおさめきれなかったものの黒色でした。ん?冬毛から変わっていないだけ? この冬は、エゾクロテン、イイズナとも会えました。