喧しい今の世にあって、古を訪ね新しきを知る 温故知新 に学ぶのも
強ち無駄ではなかろう。そこで古の高僧 法然と親鸞、日蓮の足跡を辿ること
にした。今回は 「法然」をとりあげる。・・・法然は言わずと知れた 平安末期か
ら鎌倉初期にかけての高僧である。<南無阿弥陀仏>(なむあみだぶつ)は、
よく知られている念仏である。法然は「浄土宗」の開祖であり“いみな”を<源空
>という。岡山県美作(みまさか)の出身である。当初は比叡山で天台教学を
学ぶが、末法の世の救いは「念仏」以外にないことを悟り1175年「専修念仏」
を説いて『浄土宗』を開いた。この<他力易行>の教えは農民や武士の間に
広く受け入れられ好評を博した(―貴族の九条兼実も帰依した―)。ところが旧
仏教側の激しい弾圧を受け法然は土佐に流された。後に許されて京都に帰る
が1212年に没した。彼の主著「選択(せんじやく)本願念仏集」は遍(あまね)
く読まれ後世に多大な影響を与えた。<南無阿弥陀仏>を唱えるだけで救わ
れると、説いた簡素さが、身近に普及した原動力になっている。次回は“親鸞”
について述べる。(―参考文献―「日本史」)