遅きに失した感があるが総じて評価されてよい。しかし早晩、弱点、盲点
が指摘されるであろう。と言うのも監視・監督が警察本部の総務、警務部門の
身内からのものだからだ。適正を期するなら<第三者機関>を設置して監視・
監督にあたらせるべきである。でも他には譲れない聖域化された捜査部門をそ
れ以外に新設して当たらせるのはある意味ではそれなりの意義はある。ところ
が冤罪となった、かつての被疑者、被告者の供述にある通り「意味がない」、
「不十分だ」との指摘はかつての被疑者、被告者の言辞だからこそ傾聴すべき
である。鹿児島県の選挙違反無罪判決と富山県の強姦罪事件の冤罪判決、
共に警察の杜撰な捜査の結果である。鹿児島県の選挙違反の件は03年の県
議選で初当選した13人が買収、被買収の公職選挙法違反の罪で起訴され、
立件過程で親族の名前を書いた紙を踏まされ自白を強要された。その内の5
人は捜査段階で自白したが公判で否認。鹿児島地裁は「客観的証拠は全くな
い」と全員、無罪判決になった。富山県の強姦罪事件は02年に氷見市で女性
暴行と同未遂事件で事情聴取されたが否認、三日目に容疑を認め逮捕され
た。富山地裁高岡支部で懲役3年の判決を受け2年間、服役した。05年、仮
出所。ところが鳥取県警に別件の強制わいせつで逮捕された男性が06年に
氷見署の2事件を自供。富山県警と富山地裁は昨年、「誤認逮捕」を公表し
た。それで2年間、服役した男性に謝罪した。富山県地裁高岡支部は再審判
決で無罪を言い渡した。・・・鹿児島県、富山県の2つの事件で考える事は一人
の人間の一生を台無しにする様な警察の杜撰な捜査の在り方が問われた。警
察当局・警察官の崇高な使命感の行使の在り方が再認識された。捜査当局は
肝に銘じて慎重にも慎重に期して取り調べ、捜査に当たるという事である。人
間の尊厳を如何に担保するかが、今回の「取り調べ適正指針」は試されてい
る。・・・