科学的知見によると<地球温暖化防止>と<生物多様性保全>とは<
対>をなし「表裏一体」であるという。地球の誕生以来40億年史の変遷を得て
現在3000万種の生物が存在している。その間、生存競争が繰り広げられサ
バイバルで生き残った種族・種属だけが現存する。その頂点に君臨しているの
がホモサピエンス・知恵ある人、人間族・属である。皮肉にもその知恵を駆使し
てかけがえのない青い地球を滅亡に追い遣っている。現代は経済効率優先
で、生物の大量絶滅の時代になっている。人間の欲望の行き着くところまで行
き着き人間はおろか他の生物種族まで絶滅に追い遣っている。心ある科学者
の警告では、生物種が急速に減り続ければ生態系は「単純化」に向かい不安
定になって人類の存在さえ脅かす様になる。地球の生命圏の持続に必要なの
は生物の「多様性」だとの知見である。<単純化>の要因を払拭又は阻止し、
豊かな「多様性」を推し進めるべきである、との結論である。私たち素人・凡人
は専門家の警告に耳を傾け地道な実践をする事である。かような現状に鑑み
去る年に「国際条約」が策定された。5年毎に見直される「生物多様性国家戦
略」である。中央環境審議会の討議を得た<第三次戦略>である。それには
明確な「数値目標」が盛り込まれた。例として挙げられているのが新潟県佐渡
島の「トキ」で、平成27年頃までに60羽を野生に復帰させる。鹿児島県奄美
大島の「アマミノクロウサギ」、それを脅かす外来移入種「ジャワマングース」を
平成26年までに完全排除する。奄美大島沿岸の海には平成24年までに<5
000ヘクタール>の「藻場と干潟」の保全と再生を達成する。また人材育成の
面からは全国2万3000校の小学生を農山村漁村に1週間程度の「宿泊留
学」させ<自然体験>をさせる等々である。そういう諸々のプロジェクトが打
ち出されている。今後、5年間で受け入れ態勢を推し進める様になっている。
例の「第三次戦略」は地球温暖化が世界及び日本列島の生物多様性の影響
にも触れている。その事は「継続的調査」と「観測強化」の必要性を示唆してい
る。極論すれば「地球温暖化防止」と「生物多様性保全」とは<対>をなし<表
裏一体>である。地球環境はこの両面からの視点が必要だという事である。