8時、起床。
トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。
昼から大学へ。
戸山キャンパスの入口が広くなった。以前は左側に立っていた警手さんの詰所が撤去されて、新記念会堂(早稲田アリーナ)に附属するような形で右側に建てられた。
「戸山キャンパス」といういい方は以前からしていたが(もっと前、一文・二文時代は「文学部キャンパス」だった)、今回、入口に明示された。
まだ完全オープンではないが、キャンパス内の人の動線はどのようなものになるだろう。
効率優先で最短距離で人が移動する時代に、はたしてこのジグザグの遊歩道はどのくらい利用されるだろうか。
3限は大学院の演習。
演習を終えて、「メルシー」に昼食をとりに出かける。
炒飯を注文。
独特の固さのある炒飯。炊いてから、一度、冷や飯にしてから、炒めるのだろうか。このまま食べても美味しいが、スープをかけて食べるのもいける。
食後のコーヒーはミルクホールでテイクアウトして、研究室で紙コップから陶製のカップに移して飲む。これは松本の「chiiann」で購入したものだ。
6限は講義「ライフストーリーの社会学」。
6時40分に大学を出て、帰宅したのは8時。よくあることだが、京浜東北線が遅延したのだ。
夕食はおでん。夫婦2人分としては多すぎると思うが、妻のおでんイメージは子供たちがいたときと同じである。ちなみに私ははんぺんは食べないので、これは全部妻の分。
関西の方ではおでんはご飯のおかずではなく、おでんだけで食べると聞いた。だからわれわれがおでんをおかずにご飯を食べるのを奇異な目で見る。それは彼らがタコ焼きをおかずにご飯を食べるのをわれわれが奇異な目でみるのと同じことだろう。
永井荷風の中編小説『ひかげの花』を戸山図書館で借りた『日本の文学』(中央公論社)で読む。『世界の名著』『日本の名著』と同じ版型・同じフォントである。老眼鏡+ハズキルーペのお世話になる。
私娼とその紐の男が主人公の小説。インモラルな内容ということで若い頃は遠ざけていたが、今読めば味わい深い。
解説で武田泰淳が書いている。「永井荷風は、愛すべき日本の女を発見しつづけた。一人や二人ではなくて、彼の死に至るまで、無数に発見しつづけた。(中略)結婚によって安定できなかかった女。家庭によって守られなかった女。主婦としての地位を確立できなかった女。一人の男の愛情だけにつきあっていられなかった女。世のいわゆる「倫理」を無視しているような女。安全な社会的な立場をきずくことに失敗した女。たちどまっていられないで流れていくことを喜んだ女。男をないがしろにする女。男からないがしろにされる女。要するに「変化」なるものをマトモに受けてしまった女性群が、息つくひまもないほど、連続して色あざやかに描き出される」(19巻、504頁)。
『ひかげの花』を読んでいたら、背後の窓の外でナツの声がする。
窓を開けるとすぐに入ってきた。
一夜を家の中で過ごそうというわけではない。それはもう少し寒くなってからだ。エサをやると、それを食べて、再び外に出て行った。
2時半、就寝。