木の枝を齧った時の味がした。
それが初めてルイボスハーブティを飲んだ時の印象であった。30年ほど前、まだ自宅療養中の時であった。近所の生協でたまたま見かけた紙パック入りであったと記憶している。
正直言って、美味しいとは思わなかったが、夏場であり、さっぱりした飲み心地は悪くないと思っていた。ただ、人気があるのか、ないのか良く分からない。売られていないことも多く、見かけたら買う程度であった。
その生協が閉店してからは、まったく忘れていた。
人間って不思議なもので、若い頃には好まなかったものが、ある程度年齢がいくと好ましく思えることがある。
私の場合、お煎餅と日本茶がそうだ。
決して嫌いではなかったが、煎餅を自分で買ったり、家でお茶を沸かすことは40過ぎまでなかった。外で出されれば、煎餅も食べるし、日本茶もいただく。それはマナーの問題だと考えていた。
一方、家のなかでは自分の嗜好こそが第一であったから、好きなものしか食べない、飲まない我儘ものであった。母が生きていた頃は、実家で夕食をとることが多かったので、あまり好きではない味噌汁やお茶も飲んでいたが、自宅ではなかった。
ところが、母が寝たきりになり、自分で夕食を作るようになってから、なぜか味噌汁や日本茶を自分で作るようになった。特に50を過ぎてからは、味噌に拘ったり、新茶を探してきたりと、若い頃にはあり得なかったことをするようになった。
ルイボスハーブティを再び飲むようになったのも、その一環だと思う。冒頭に木の枝と書いたが、木の根っこのほうが近いかもしれない。敢えて云えば、ゴボウ系の味である。
ルイボスの木は針葉樹のような葉で、マメ科の植物。主にこの葉の部分を乾燥させて、お茶の葉にするらしい。南アフリカ原産なのだが、ケープタウン北のセデルバーク山脈の一部でしか育たない。
その一帯は乾燥地帯で、気温の変動も激しく、ルイボス以外の植物は育たない荒涼とした場所であるそうだ。不思議なことに、同じような環境でも、ルイボスは育たず、これまでにアメリカ、中国、オーストラリアが栽狽ノ挑んだが失敗している。
年々、世界各国で人気が上がっているルイボスだが、生産量は年間1万2千トンであり、今後は値上がりが予想される。私はいずれ、どこかで栽狽ェおこなわれるとみているが、それが日本の農家だったら嬉しい。
でも国内に乾燥地帯は乏しく、30度以上の温度差がある場所があるかどうかも疑わしい。アメリカやオーストラリアの再挑戦を待ち望みたいですね。
先ずルイボスティー飲んでみたいです。何処に行けば買えるでしょうか?
そして…ヌマンタさんの和食や茶への嗜好の変化のお話なのですが、「ブルータスお前もか」なんですよぅ。実際にはヌマンタさんは健康維持の為の工夫で、台所の余り野菜のスープとか、健康に良さげな記事をアップされてるんですが……
10代の無頼篇や20代前半の山篇が武闘派なので、
「肉食ヌマンタ感」が私には有ります。
大藪春彦のヒーローがちまちま和食を食べてたら笑っちゃいますよね?
そんな感じです。それで体を気遣う故の和食・試食は解るんですが、自炊してると内なる変化に気づくんですよね。あ、おれ嗜好が変わった…と。
まんま私の事を書かれているみたいな読後感でした。ヌマンタさんもそうなのかのぅ……。複雑。
なお、私の若い頃は、お腹を満腹にすることが食事であり、嗜好性は薄いです。なんでも食べる、食べられる雑食性ですから。