ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ヴェトナムの反シナ暴動に思うこと

2014-05-21 12:43:00 | 社会・政治・一般

南シナ海が危うい。

そんな印象を持った方は少なくないと思う。シナの海洋侵略は確実に進展している。日本がやられたように、気が付かぬ内に石油採掘設備を設置されてしまい、ここはシナ領であると宣言するやり口は、周辺諸国には到底容認できるものではない。

おかげで、フィリピンは一度は取り戻したスービック基地を再びアメリカ軍に戻してシナの横暴に対する後ろ盾を求めた。

ヴェトナムに至っては、国内の反シナを掲げた全国規模のデモが吹き荒れ、もはや暴動に近い騒乱となっている。

インドネシアも、ここに至って反シナの口火を切り、東南アジア全体に危機感が広まっている。

もっとも日本国内では、シナの横暴に目をそむけ、ひたすら安倍首相こそ危険な政治家であるとの情報操作に勤しんでいるマスコミがいる始末である。誰がどう見たって戦争の危機を煽っているのは共産シナであることは明白である。

だが、ここで冷静に考えてみる必要がある。シナの政府が対外的に強硬策に出るときは、必ずと言っていいほど国内に別の問題がある。現在、考えられるシナの国内問題は以下の通り。

1 不動産バブルの崩壊と輸出企業全般の不振
2 ウィグルに代表される少数民族の不満
3 法輪行のような宗教組織の反政府活動
4 国内石油の枯渇と輸入石油の増大
5 習政権内部の権力闘争
6 陸軍中心の北方軍と海軍の伸長を狙う南方出身の地方政治家との暗闘
7 PM2.5のような環境問題
8 砂漠化の進行と水資源の枯渇
9 地方政府の腐敗と癒着に対する民衆の不満

内憂外患としか言いようがないのが、現在のシナの実情である。この国内に渦巻く不満を逸らす手段が反日であり、海洋侵略である。とりわけ南シナ海での石油資源の確保は、さらなる経済成長のためには不可欠なものであり、引くに引けない事情がある。

ただ、その一方でアメリカ軍には抗しえない現実も分かっている。まだまだシナの軍隊は近代化の初歩の段階であり、とても正面切ってアメリカに挑めるだけの軍事力はもっていない。

もっともアメリカには、シナの経済成長を世界経済の原動力にしたい意向もあり、本格的な対立は望んでいない。民主党及びオバマ大統領の意向はシナとの融和だが、アメリカ軍および国防省はシナの野望を看過する気はない。アメリカの対中政策は決して一枚岩ではない。

だからこそ、シナは小さく侵略し、ことを荒立てたくない。さりとて国内を抑えるためにも弱腰外交は出来ない。必然勇ましいセリフだけがまかり通る。私のみるところ、この南シナ海での紛争が戦争にまで行き着く可能性は低い。

ただし、ヴェトナムが絡むと厄介だ。旧ソ連とインド以外の国で、シナに対して戦争を拒まないのは間違いなくヴェトナムである。実際、人民解放軍の侵攻を阻んだ実績もある。

もしかしたら南シナ海を舞台にヴェトナムとシナの戦争もしくは戦闘はあるかもしれない。もちろん周辺国は止めに入るだろうし、なによりアメリカとロシアが必ず関与してくるはずだ。

この段階での日本の集団的自衛権が発動される可能性は低いが、シナの軍事的侵略の危険が尖閣を含む沖縄周辺に至った時こそ、真剣に考えねばならないだろう。

だが、シナという国は戦争すら政争の一手段だと考える国であり、国内の政治こそ第一。そのことは銘記しておくべきでしょう。平和馬鹿の日本人はすぐに戦争か平和かという極端な選択しか視野にない。シナの事情を分かったうえで、様々な策謀を練れば戦争は回避できることもある。

おそらく今回の南シナ海の紛争は、なんらかの形で北京政府内の権力構造に変化をもたらすと予想しています。おバカな日本のマスコミでは、そのあたりの事情が分かりづらいのが難点ですがね。


コメント (8)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« プロレスってさ トニー・ホーム | トップ | バイオハザード »

8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (アブダビ)
2014-05-22 00:46:14
70年代に中国がカンボジアをめぐり戦争した時、ャ泣トの問題はあるにせよ、何の得があつて戦争すんだろ? と思いました。
大学に入ってから、大量の元紅衛兵の「在庫処分」
だったと気がつきました。
あの国の政治臭さと、国内第一はおっしゃる通りと思います。すると北京では何が起こるのか?
返信する
Unknown (アブダビ)
2014-05-22 01:40:14
すみません80年代になっていたかも。
いずれにせよ、越南とされた時代からベトナムは中国を敵にしてきました。暴動が起きるのも解ります。
ところで中国史て、はたして分裂してるのが状態なのか、統一されてるのが普通 なのか、よく解らないですね。
宋朝なんか統一王朝といえ、実体は周り中が異民族国家ですし。元は征服朝で、結局、明による統一まで、南北朝と変わらなかったのでは?
今のあの国も巨視的に見れば、実は漢の滅亡から隋唐の統一までの間に晋が仇花に咲いたようなものでしたりして。
清朝ががたついてきてから、ずーっと乱世で、中共は狭間の時期に過ぎず、これからまた分裂するのかも?
中国史をかじると、統一王朝には、短期政権の後に、長期政権が現れる傾向があります。
秦と漢、隋と唐みたく。
であるのて、中華民国→人民共和国と、後者の政権はずっと続くと人はいいます。
でも清の屋台骨がダメになってからを一区切りに考えると、実は大分裂時代の間氷期なのかも。
だいたい民国は台湾に去ったといえ、まだ滅亡してませんし。
だいたい中国って、毛沢東が文化大革命とかで、とんでもない死者を出しながらソ連と手を切らなかったら、ソ連の衛星国として、ソ連崩壊に巻き込まれていたのでありませんか?
あれは今にするとソ連の属国からの独立だた気がします。 いずれにせよ、彼らが覇権を握るには、ヌマンタさんがあげた課題をクリアしませんと。
地域の覇権国ならともかく、世界大国になれルのかは未知数な気がいたします。
返信する
Unknown (ヌマンタ)
2014-05-22 14:14:11
アブダビさん、こんにちは。歴史的にシナの王朝は、三代続くとけっこう安定します。だから当分は現共産政権が続くとみています。ただ、地方政権が中央の言うことをきかなくなっている傾向が強まっているのも事実です。だからこそ、まとめるために外敵が必要なのでしょう。
もしシナ大陸に覇権国が生まれるとしたら、それは北京ではなく上海など南部を拠点にした政権だと思います。
まァ、当面はアメリカの覇権が続くでしょう。
返信する
Unknown (アブダビ)
2014-05-22 18:30:46
あなるほど。
唐朝の藩鎮なる地方駐留軍の司令官が世襲化して、軍閥となったことが唐朝のとどめを刺したと思いました。ローマ帝国も軍団が世襲化して、属州から皇帝がでるようになり、やがては東西に分裂してしまいますね。
軍と党が分断されつつあるというのは恐いですね。
私は中国が分裂すると、億単位のボートピープルが出るのではと浮黷トおり、それは覇権を得た中国の横暴なみに面唐ュさいとおもいます。
返信する
Unknown (アブダビ)
2014-05-22 20:06:24
因みに質問ですが、中国の地方が中央の言うことをきかなくなっていると言う件ですが。
これは中央が軍や治安組織の力を背景に脅していない…つもり、そこもでの不服従にはなっておらず、せいぜいサャ^ージユのレベルだということでせうか?
アメリカもJFKの時代に、黒人の州立大学入学を阻止せんとした南部の州知事が、州兵を投入して妨害。ケネディが空挺部隊を入学式に護衛として出動させたという事件が起きています。
結局、南北戦争の再来となれば、今度こそ南部は壊滅すると側近に説得された知事が兵を引いたのですが、あと1歩で州軍と連坊政府軍が銃火を交えるところだったそうです。
ウイグル自治区(東トルキスタン)の暴動鎮圧の報道を見ていても似たようなニュアンスを感じるのです。
最初はウイグルと漢族の対立のはずでした。
なのにいつの間にか、四川省から半強制移民させられた漢族と中央から派遣された武装警察の争いになっている。兵役経験のある中国人が映像を見て解説してくれた話です。
基本的にヌマンタさんの言われた通りに、分裂はないとおもいます。 けれども、大国化したようでいて、実体はかなり砂上の楼閣なのでないでしょあか?
返信する
Unknown (ヌマンタ)
2014-05-23 13:18:10
現在の北京政府は、人民解放軍を一応は握っているので、地方政府には独自の軍事力はありません。だから分裂の可能性は低いはずですが、そこは面従腹背のシナ人。中央と地方との争いは、今後も巧妙に地下にもぐりながらも増える一方だと予測しています。
返信する
Unknown (Nishitatsu1234)
2014-07-30 20:17:16
> おそらく今回の南シナ海の紛争は、なんらかの形で北京政府内の権力構造に変化をもたらすと予想しています。おバカな日本のマスコミでは、そのあたりの事情が分かりづらいのが難点ですがね。

↓、流石にヌマンタさん・・・・・

>"習政権、権力掌握に向け粛清の嵐 本丸は「上海閥」トップの江沢民・元国家主席"
返信する
Unknown (ヌマンタ)
2014-07-31 18:02:02
ニシタツさん、こんにちは。シナが外に向かって攻撃的になるときは、必ずといっていいほど内部でし烈な権力闘争をしています。習政権の弱体化が云われていましたが、この逆襲は強烈です。より一層激しい内部抗争が予想される以上、対日姿勢もますます強硬化するのだろうと考えています。
返信する

コメントを投稿

社会・政治・一般」カテゴリの最新記事