ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

今年を振り返って

2016-12-31 15:00:00 | 日記

苦しい一年であった。

それが今年の率直な印象です。当初の予想では、事務所の売上は前年比で4%はプラスのつもりだったのです。ところが結果的には、前年比で15%を超える減収となりました。

原因は銀行。メインのクライアントに対して某銀行の若手がやってきて個人年金の売り込みにやってきたのは年初の頃でした。70過ぎの社長さんに95歳から年金が支給されるという馬鹿げたもので、しかも利回りも良くない。

私はその場で、その保険契約の問題点を次々と指摘すると、最後は顔を真っ赤にして涙を浮かべて退散していきました。どうも、これが発端のようで、私に個人的な恨みを抱いたその銀行員は、なにやら画策していたようでした。

そして、三か月後、そのクライアントから顧問契約解除の通知。関連する子会社も含めると結構な減収となりました。どうやら、うちよりも安い顧問料の税理士を銀行が紹介した模様。画策した内容も後に判明したのですが、えげつないものです。守秘義務があるので書きませんけど、プライドの高いエリート(らしい)の面子を潰すと、後が怖いと痛感しました。

もう一件は、私が数年前から関与していた某資産家の大型相続事案。既に準備したあったのですが、これも某信託銀行に横取りされました。どうもTVのCMを真に受けた相続人がいたようで、腹が立つよりも呆れてしまったものです。

自由業の怖さを痛感した一年でした。おかげで営業に駆け回り、経費削減を重ね、それでも未払が出るキツイ一年でした。アベノミクスは、大企業と投資家と資産家にしかメリットがない事を、吾が身を持って知った訳です。

そのせいかもしれませんが、内心の苛立ちを紛らわす為の読書が多かったかもしれません。その典型が、「幾山河 瀬島龍三」に関する合計8回に及ぶ記事だったと思います。私の瀬島嫌いは筋金入りであり、批判的な本は何冊も読んでましたが、当人の書を読むのは初めてでした。

頭の良い人だと思いますが、これほど不誠実さを感じさせる書は、極めて稀でした。小田実や大江健三郎でさえ、これほど不誠実ではなかったと思うと、非常に珍しい本であったと思います。

なお、今年一番夢中になれたのは、ドン・ウィンズロウの「犬の力」でした。アメリカにおける麻薬戦争のどす黒い奥深さを、これほど感じ取れる本は稀だと思います。最近続編が刊行されたようなので楽しみです。一方、このブログのテーマでもある再読本は、ロバート・マキャモンの「アッシャー家の弔鐘」です。多分、四回目の再読だと思いますが、やはり名作です。ラストの疾走感は、目がくらむような錯覚に陥るほど。

さて、漫画に移りますと、どうしても外せないのが松井優征「暗殺教室」の完結でしょうか。ジャンプの悪癖である、ダラダラと再連載をやらず、見事に完結したことに敬意を表したいです。次点で武田一義の「ペリリュー 楽園のゲルニカ」大月悠祐子の「ど根性ガエルのむすめ」を挙げたいと思います。どちらも優しげな絵柄ですが、内容は激しく苛烈です。

今年の映画となると、これは迷います「シン・ゴジラ」「君の名は」の両作品は、どちらも極めて印象的な名作であり、今年を代表する大ヒット作品でした。私はどちらも気に入りましたが、元々怪獣好きのバイアスがあること、そしてそれほどアニメ好きではなく、またboys meet girlsものはあまり好まないのに、私に好印象を与えた後者をトップに挙げたいと思います。

ただ、この二作がなければ「ズートピア」を挙げたいと思っていました。人種のモザイクが沸騰しつつあるアメリカにおける、ある種のユートピアに対する絶望が感じ取れ、それでも希望を失わない逞しさに感銘を受けました。

さて、後数時間で今年も終わります。皆様、良いお年をどうぞ。


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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ごみつ)
2017-01-01 01:13:08
明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。

ヌマンタさん、昨年は大変な年だったのですね・・。
今年は業績が回復しますように。

私の職場もなかなか売上があがらず、ボーナスもけっこうきびしかったです。
生活のためにもがんばらなくては!

映画はヌマンタさんのベストは「君の名は」なんですね。あまりにもヒットしていたので私も見に行きたかったのですが・・。

私は明日、2016年のベスト記事をつくろうと思っています。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。( ^^) _旦~~
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Unknown (ビーグル)
2017-01-04 00:40:27
明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いします!

何だかどこも世知辛い世の中ですね。。95歳から年金支給なんてそんなアホな。。ヌマンタさんはクライアントに対して正しいことをしたと思います。

ズートピア、私も見ました! 現実的なことも盛り込まれていて単なる夢物語でなく、また前向きな気持ちになれてすごく良かったです。

今年がヌマンタさんにとって良い年になりますように!
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Unknown (セレンディピティ)
2017-01-04 10:52:55
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。

昨年はヌマンタさんにとってはたいへんな年だったのですね。
世間はオリンピックや再開発と景気のいい話ばかりですが
生活の上ではあまり実感することなく
日本経済の足元が大きく揺らいでいるのを感じます。
今年はいい年にしていきたいですね...

ズートピアはディズニーらしいすてきなお話でしたね。
シンゴジラは映像より小説向き?と思いました。
「君の名は」もいずれ見てみたいです☆
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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-04 14:59:45
アブダビさん、明けましておめでとうございます。
経営に波乱があるのは必然ですが、昨年は本当にきつかったです。それも糧にして前に進みたいと思います。
でも、本当に大変なのは衰える一方の体力かもしれません。まずは減量を真面目にやらなくてはいけないと考えています。おせちを食べながら書いているので、説得力ありませんけど。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-04 15:04:08
ごみつさん、明けましておめでとうございます。アベノミクスの限界が露呈した昨年でしたが、底堅さも感じたのも事実です。ただ、時代の変化も感じているので、それに対応していく柔軟さも必要なのだと痛感しております。
「君の名は」はアニメなので、大人が足を運びにくい面がありますが、映像もストーリーも良く出来ているので、是非どうぞ。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-04 15:06:30
ビーグルさん、明けましておめでとうございます。私は間違ったことはしてないと思いますが、未熟なエリート気取りの若僧をもう少し上手くあしらうべきであったと反省もしています。日ごろの銀行不信が強く出過ぎたのは、私情に走り過ぎた私の失敗ですから。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-01-04 15:09:41
セレンディビティさん、明けましておめでとうございます。これは日本に限りませんが、二極化というか、富者と貧困者の分離が一層進み、中間層もそのどちらかに触れつつある現実が、景気の不透明感として表れていると思います。だから、大銀行が今まで見向きもしなかった中小企業などにまで、その手を伸ばしてきているのでしょう。
「君の名は」は名作だと思うので、DVDでも良いと思うので、是非観てみてください。大ヒットの理由が分かると思います。
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