ヌマンタの書斎

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いつか來る日

2023-03-31 09:20:52 | 社会・政治・一般
日本にとって大切な隣国はアメリカだけではない。

でも一番大切なのはアメリカであることは確固たる事実である。幸か不幸か、日本列島はアメリカの国防戦略上重要な拠点、世界中に四か所しかない重要な軍事拠点であるため、事実上アメリカの防衛圏内と位置づけられている。

そのためにアメリカ軍基地が多数、国内に配置されているための苦労はある。私自身、米軍基地の隣町で幼少期を過ごしたので、その苦労の一端を身に持って理解しているつもりだ。

それでも圧倒的にメリットが大きいことは認めている。世界最強のアメリカ軍の重要拠点であるが故に、日本の軍隊は事実上アメリカ軍防衛隊としての性格が強く、そのためにけっこう歪んだ軍隊である。

それ故に国防予算の多くを対アメリカ軍駐在経費に取られているとしても、やはりメリットの方が大きい。日本が国家財政の軍事費負担をGNPの1%強という低額に抑えられているのもアメリカ軍あってこそである。

ただしデメリットも多数存在する。いつの時代も外国に駐留する軍隊の兵士たちは、本国にある時よりもストレスを抱えている。そのストレスのはけ口として一般的なのは、酒と女である。不快に思われるだろうが、これは万古不変の原則である。

もちろん、積極的に応じることで金銭的なメリットを享受している人たちもいるだろうが、それは少数派だろう。正直、暴れる軍人って奴は不愉快な存在なのは事実です。しかも、彼らを法で裁く権限はないのだから、反感を持つのは当然だと思う。

ただ、これを最大のデメリットだと思われては困る。

本当に怖れなければいけない最大のデメリットは、自分の国の軍事方針を自らで考えることを放棄してしまっていることだ。いや、防衛省のなかには、独自の軍事方針を考えている人たちがいることは知っている。また霞が関の官僚のなかでも、一部の有志が国防を真剣に考えていることも分る。

また政治家のなかでも、日本の平和を守ることを独自に考えるべきだとする人はけっこう居る。もちろん一部のマスコミにもそう考える人たちは居ることは居る。

しかし、厄介なことに防衛予算を天下り先の確保や、地元への利益誘導に利用したがるお偉いサンは後を絶たない。また独自の軍事路線は、反米思想に利用されやすい問題もある。特にマスコミや言論人に多く見られるため、軍事に関する議論は胡散臭くなってしまいやすい。

反米思想に利用されるのは困るが、現実問題として日本が日本人のために独自の軍事方針を定めようと考えれば、国境(海域ではあるが)を接するアメリカは、最大の軍事力を持つが故に、最も警戒しなければいけない存在でもある。

そして人は変る。世代が変り、育った環境も変れば考え方も変わる。かつて反米自虐が平和への道だと信じていた幼い私は、今では対米追随こそが最も平和に近いと考えているほどだ。中学生の頃の自身を振り返れば、熱烈な左翼少年であったことが信じがたいほどだ。

現状に関する限り、対米追随こそが日本を平和に保つ最善の道だと思う。でも、それが永遠でないことも予測できる。未来がどうなるかは誰にも分からない。長期的にみれば、いわゆる西側先進国は衰退すると思うが、唯一アメリカだけは人口増加によりそうやすやすとは衰退しない。

ロシアも長期的には衰退傾向にあるし、シナは高齢化が深刻であり、アメリカのライバル足り得ないと思われる。南米にも東南アジアにもアメリカが警戒するほどの新興勢力は育っていない。

当面アメリカの覇権は続くと思うし、その庇護下にある日本も安穏としていられるはずだ。しかし対外的には無敵のアメリカも国内の変化に十分に対応できているかは、いささか不透明だ。一言で云えばハンティントン言うところのアメリカの分断化の問題がある。

歴史上、如何なる覇権国も外敵の攻撃だけで滅んだ例は稀だ。多くの場合、新興の敵対勢力だけでなく、国内における不和が覇権国を没落させる。かつての覇権故国であるオスマン朝トルコや清朝などは、国内における富の偏在が政治的に混乱を招き、外の変化に対応できずに滅びの道をたどっている。

私の予測では、アメリカも同様に超富裕層が国内の富の9割を握るような異様な状況が、アメリカを政治的に衰退させると予測している。衰退する国家は、基本的に縮小し、他者を顧みなくなる。必然的に日本及び日本列島の価値も低減すると考えて良いと思う。

そうなったとき、それまで国防をアメリカに頼り切っていた日本がその変化に対応できるかで、その後の未来が決まると思う。現状維持を求める層と、新たな体制構築を求める層との分断と対立が、次の日本の姿を決めるはずだ。

正直言えば、あまり期待できないです。なにせ憲法すら自分では改正できず現状維持に固執する、事なかれ主義が横行するだらけた国ですから。まァその頃には、私は三途の川を渡っているでしょうから、あまり気に病む必要はないと思いたいですね。

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8 コメント

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Unknown (大俗物)
2023-03-31 14:03:17
正直、尖閣をシナに取られ、沖縄に迫り…くらいのショックでぶん殴られれば良いのだと思います。それくらい殴られないと、この国は正気に戻らないでせう。そこで本気になるなら、取られても取られ損ではないと思いますね。
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Unknown (Unknown)
2023-04-02 10:22:27
↓、中国や台湾、あるいはソウル在住の日本人の事を、考えた事はありますか、あるいは "先島諸島"の住民の事は!?

> 正直、尖閣をシナに取られ、沖縄に迫り…くらいのショックでぶん殴られれば良いのだと思います。

↓、愛国者気取りで、"脳内お花畑"を嘲り、法整備や防衛力の強化を主張する者に限って、こうした事は、考えていない、、、

> Daily IWJ News('23. 3/31)
https://ameblo.jp/battroidvalkyrie/entry-12796327971.html

ちなみに、米国は勿論、日本の防衛関係者は、尖閣諸島のような "無人島"など、実は眼中にないでしょう。

日本は米国の "従属変数"でしかないとして、米国が考えているのは、"台湾海峡" + "東シナ海"全域にて、中国軍を撃破し勝利する事です。

その能力を見せる事で、"抑止"する事が目的か、あるいは覇権国の座を中国に奪われぬよう、今のうちに軍事的に叩きたいので、挑発して中国側から手を出させたいのか、どちらかは不明です。

台湾海峡で武力衝突となった時、北朝鮮が呼応して、38度線沿いに配備した火砲の一斉射撃を開始し、2正面作戦を強いられては、非常にマズい、、、負けてしまう、、、

韓国を以て北朝鮮に対峙させ、米国と日本は "台湾海峡 + 東シナ海"に専念できるようにしたい。
それが、米国が仕切って徴用工問題で日韓を手打ちさせた理由でしょう(それが奏功するかは、また別の話)。

中国にしても、無人島である尖閣諸島は、象徴的な意味はあっても、占拠し橋頭保を築くには不向きです。
占拠し橋頭保を気付くなら、社会インフラをそのまま利用でき、かつ現地住民を銃を突き付けて使役させる事が可能で、しかも事前に "工作員"を潜入させる事が可能な、断然 "有人島"です。

しきりに尖閣諸島を狙っているポーズですが、中国は "孫氏の兵法"の国です、実は "フェイント"でしかない、、、まともな軍人は、そう考えるでhそう。
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Unknown (ヌマンタ)
2023-04-03 09:38:10
大俗物さん、こんにちは。多分あの手の輩は現実をみないから、現実逃避に走るだけな気がします。ちなみにあの海域にはレアメタル等の海底資源があるので、将来を見据えて確保しておくべきだと思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2023-04-03 09:43:19
Unknownさん、こんにちは。たしかに無人島であり、規模も小さな尖閣諸島に価値は低いですね。狙うなら港湾及び空港がある石垣島か西表島でしょうか。

まァいずれにせよ沖縄本島に米軍基地がある限り、そうそう手を出してくることはないでしょう。でも既成事実を作るため、シナ船舶は海域侵犯を繰り返しますから、追い出すポーズは必要だと思います。
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Unknown (hanakonoantena20220612)
2023-04-04 12:59:21
いろいろ考えちゃいますね。

日本の中央から見れば沖縄は辺境の島だからこそ、先の大戦では本土防衛の捨て石として用いられ、県民の4分1が戦死したのでしょう。

そして戦後は今に至るまで一貫して、米国にとっての対中国(共産主義)の最前線の砦として用いられている。

地政学的には仕方がないと言うか、どうしようもないことですが、今また軽々しく捨て石扱いするような議論がなされることは、
そこに住む人々に対して失礼だと思う。

国境の最前線と言う意味では北海道にも当てはまることだし…側で聞いていても、決して気持ちの良いものではありませんね。

素人目に今の世界情勢を見ると、世代交代して記憶が薄れた頃に、人類は同じ過ちを繰り返すのかなあ…

覇権国家にとって、「戦争」は最大のビジネスチャンスだし、領土や権勢拡大の手段ですよね。

以前、異文化交流サークルで知り合った米国人のお宅に伺ったことがありますが、そこは都心に立つタワマンで、それはそれは豪勢な暮らしぶりでした。設備はあの六本木ヒルズ・レジデンスより豪華でした。

なんでもご主人が自衛隊とも取り引きのある英国の軍事会社のマネージャーらしく、日本を拠点にアジア各国を飛び回っているとのことでした。ご本人も毎月のようにアジア各国を旅行していましたね。軍需産業って、私達が想像もつかないほどの巨大な富をもたらすのでしょう。

エネルギー資源もなく国土も広くない島国が、英国のような狡猾さや悪知恵や豪胆さが無ければ、大国間のせめぎ合いに翻弄されるしかないのだなと、今の日本を見て思います。国を動かす立場にある人間のレベルが違い過ぎるのでしょう。
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Unknown (Unknown)
2023-04-04 17:10:23
↓、そのような "事実"はありません;

> 先の大戦では本土防衛の捨て石として用いられ、県民の4分1が戦死したのでしょう。

↓、連合艦隊旗艦 "戦艦大和"の出撃を含め、1945年春、日本は既に力尽き掛かっていましたが、それで出来る限りの戦力を、精鋭を沖縄戦に投入しました(* 勝ち目の無い無謀な戦争を始めた事の是非は、また別の話)

> Daily IWJ News('22. 5/15)
https://ameblo.jp/battroidvalkyrie/entry-12743011448.html
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Unknown (ヌマンタ)
2023-04-05 09:43:06
はなこさん、こんにちは。沖縄が決戦の戦場となったのは、アメリカ軍の戦略というかスケジュール上の問題であって、日本が選択した訳ではありません。むしろ重要拠点なので、6万人を超す本土からの兵隊を現地に駐在させているほどです。この6万人はほとんどが戦死していますから、沖縄を捨て石になんかしていないと思います。

戦後に日本は意識的に戦争ビジネスから遠ざかっています。それが正しい選択なのかは若干疑問がありますが、故障が少なく頼れる日本の民間用トラックなどは、世界各国の軍事予算の少ない国で軍用トラックとして活躍している現実もあります。

ただハードウェアはともかくソフト面では、日本は軍事的な発展はほとんどないと思います。未だに兵站は下手くそですしね。
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Unknown (ヌマンタ)
2023-04-05 09:46:53
Unknownさん、こんにちは。本当に問題視しなければならないのは、勝ち目のない無謀な戦争に至った経緯であり、そこにこそ真に反省すべき点があると思います。ところが戦後の日本ときたら、軍部が悪い、天皇が悪いと誤魔化し続けてきた。謝りゃいいだろうと開き直ることが平和につながると思い込んで、真に考えるべきことから逃げてきた。

私は未だ日本は太平洋戦争の敗戦の反省をしていないと考えています。まァご存じでしょうけど。
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