先月のことだが、栃木県那須連山にあるスキー場で訓練中に雪崩に巻き込まれ、8人が亡くなった。
忙しい時期だったので、もっぱらラジオで聴いていたのだが、引率の学校責任者と思われる方の発言にビックリした。曰く「絶対に安全な場所だと考えていた」と。
この人、山の素人?
自然に絶対なんて、ない! 絶対安全を求めるなら、山でも海でも自然のなかには行かないことだ。そんなことも知らないのか。まァ、多分、公務員根性で、組織防衛の意識からの発言でしょうけどね。
また、報道もおかしい。なにが春山だ。いくら3月末でも、あれだけ積雪があれば、どうみても冬山である。記者の脳内が春なだけだろう。
3月や4月の山は、案外と怖い。特に時期遅れの降雪があった時は、危なくて仕方ない。なぜかというと、1月2月に降り積もった雪が、その重みで堅くなっている。そこに新雪が降り積もれば、底の堅い雪と、柔らかい新雪とでは摩擦係数が違うがゆえに、ちょっとしたことで雪崩が起きる。
そんなこと、山をやっていれば常識に近いと思うのだが、今回の雪上訓練の企画運営者は、それを知らなかったというのか。ちなみに、寒いのが嫌いな私は、本格的な雪山登山はしていない。
せいぜい、初冬の山と、残雪の山くらいしか登っていない。でも、雪崩に巻かれた経験はあるし、一晩に数十センチ積もる降雪の怖さも知っている。別に経験したくもなかったし、知りたくもなかったけれど、自然はそんな人間の我儘なんて歯牙にもかけない。
残酷な言い方かもしれませんが、今回の事故は人災だと思います。