ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

蟲師 漆原友紀

2015-05-22 11:58:00 | 

理由が欲しい。

人生は決して公平ではないし、平等でもない。不幸の陥穽は至る所にあり、幸せなんて忘れてしまいそうになる。

なぜ、こんなに貧乏に苦しむのか。

なぜ、こんなに病苦に苦しむのか。

なぜ、自分はこれほどまでに孤独なのか。

飢え、地震、豪雨、津波、火災、噴火と天災が襲ってくることもある。ある日、突然敵軍に襲われて、家族を失い、家財を喪い、郷里を喪うこともある。

どうして、何故、どうしたら・・・

古来より人々は、答えの得られぬ悩みに対して、神の裁き、悪魔の仕業、妖怪の悪戯と理由を作ってきた。その理由が真実であるかどうかよりも、自分が納得てきる理由が必要だった。

その理由故に、宗教が創られ、悪魔を恐れ、妖怪を鎮魂してきた。

表題の漫画で描かれる世界では、蟲が原因であり、理由である。虫ではなく、蟲とされるのは、それが物理的な存在ではなく霊的な存在だからだろう。

不思議で、ちょっと怖くて、でもどこかでホッと出来る。主人公はその蟲を扱う専門家であり、体質的に蟲を惹きつけてしまうために、一か所に定住することが出来ずに、世界各地を旅して周っている。

ちょっと現実社会の冷たい風に吹かれることに疲れたら、読んでみるといいでしょう。不思議な世界に引きづりこまれると思いますよ。

コメント
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