ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ぶんぶん 峰岸とおる

2012-03-13 12:08:00 | 

忘れ去られるには、ちと惜しい。

表題の漫画は、おそらく江夏をモデルにしたと思える野球漫画です。ただし、江夏をモデルにしたとは思えないほど、二枚目のピッチャー。しかも言動の破天荒さは本人以上。そして江夏が出来なかったことを漫画で実現している。だからこそ面白い野球漫画でした。

ただエッチなシーンを含めて、いささか品がない。だからだと思うが、名作野球漫画として取り上げられることは、ほとんどない幻の怪作だ。

記憶はいささか怪しいが、たしか連載されていた当時は、まだ野茂が大リーグに挑戦する前だったと思う。まだ日本人がアメリカのメジャーリーグに挑戦するなんて夢物語だと考えられていた時代だった。それだけに、日本人がアメリカで活躍する場面には、胸が躍った。

だが、それ以上にその漫画で描かれるメジャーリーガーの姿に感銘を受けた。特に世界最高のリーグでトッププロとしてマウンドに立つことへの拘りに注目した。

今でこそ地方リーグも開催されるようになった日本だが、以前はプロリーグは1軍中心で、2軍は試合の宣伝さえろくにない。後は社会人リーグと大学リーグがあるだけ。裾野は広いが、深みが無い。

それに比べると、アメリカの野球リーグは、層の厚さが違う。マイナーリーグも一つではなく、2部3部4部と深く広い。激烈な競争社会であることが伺われる。だからこそ、その頂点であるメジャーでプレーすることに、強烈なプライドを持つ。

主人公はメキシカン・リーグでリハビリを兼ねて修行して、いきなりメジャーに昇格して王者チームと対戦する。味方も敵も個性的な奴等ばかり。

私もいつか本物のメジャーリーグの試合を観てみたい。そんな気持ちにさせられた漫画でした。後に野茂が挑戦して、日本でも放送されるようになりましたが、あの頃は想像の世界でしかありませんでした。

全三巻と短いので、もし機会があったら目を通して欲しいです。古本屋でも滅多にお目にかからず、揃えのいい漫画喫茶を丁寧に探すしかないのが残念でなりません。


コメント
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