やっぱり昨年の景気はひどかった。
確定申告を終えて、つくづく実感した。予想通りとはいえ低調な申告内容が多かったのが、今年の確定申告だった。
とりわけ目立ったのが、飲食店の不振だ。震災による直接被害はなくても、その後の計画停電、余震による客足の鈍り、自粛推奨による外食の大幅減少が原因だと思う。
次に目立ったのが、賃貸用不動産の空室の増加だ。予想はしていたが、昨年春以降に退去するケースが多い。問題はその後も空室のままであることだ。
関連して、不動産売買がきわめて低調であった。毎年、数件売買の申告をしているが、今年ほど少ない年は初めてだ。売りにだしてはいるが、買い手がつかず、売買が成立していないケースも散見する。
これでは景気が悪いのも当然だと思う。
景気の悪いのを政府のせいにするのは、あまり好まないのだが、それにしたって政府の無為無策が目に付くのはいたし方あるまい。
やはり民主党政権が、党内もしくは長年の支持者の顔ばかり伺っていて、国民の声を聞いていないことが大きいと思う。とりわけ菅・前内閣がひどかったが、困ったことに野田・現内閣にもその傾向は引き継がれている。
特に問題なのは、予算が通らないため、お金が市中に廻らず、大きな景気停滞を引き起こしていることだ。おまけに予算以外の法案も頻繁に変更があるため、予測がつかない。
政府の方針がある程度、しっかりと決まっていれば、民間はその方向に向けて設備投資などを始める。金を集め、設備を揃え、人材を配布する。
しかし、民主党政権は予算の裏づけの無い希望的観測ばかりで法案を提出してきたため、国会を通過できない。これは官庁を使いこなすことに不慣れであることも確かだが、実務経験に不足している市民運動家や労働組合出身者が多いことも、足を引き摺る要因だろう。
おまけに民主党政権を裏で支えているのは、勝事務次官率いる財務省だ。仕方ないことだが、この役所の作る法案は、すべて日本政府の財政を健全化させる考えが基盤となっている。
不況の時には、ケインズ的政策(政府による需要喚起)が有効なのだが、財務省はこれを嫌がる傾向が強い。インフレ恐怖症の日銀が、これに輪をかけて縮こまっているため、公共投資は減る一方だ。
これでは景気が悪くなるのは当然で、その最中に政府が議論をするのは消費税増税なのだから、民間はますます財布の紐をしめる。
そう、財布の紐を締めている。財布(預貯金)は未だ十分潤っている。これは昨今、相続税増税案が提起されたことに伴い、私の事務所でも相続税対策の相談が増えていることからも分る。
今回の確定申告でも、資産家などの富裕層は預貯金を減らすよりも増やしている傾向が強いことが分った。金を遣わないので、収入が減っても支出も減らしているの。だから課税所得はそれほど減っていないことからも分る。
逆に中間層及び貧困層では、生活のために預貯金を取り崩している。だから収入も減っているが、支出も減らし、更に蓄えも減らしている。これはたまらない。
つまり国民は不安なのだ。不安だからこそ、金を遣わず、結果として消費は低迷する。これこそが、民主党政権の経済政策が失敗していることの最大の証左だと思います。