ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

メタンガスは?

2008-07-25 12:12:38 | 社会・政治・一般
現地駐在の友人の車で、ヨーロッパの美術館を回ったことがある。

道路交通網が発達しており、わずか数日でオランダ、ドイツ、フランスをまわることが出来た。国境を通り過ぎたことを失念するほど、簡単に移動出来たのに驚いた。

もう一つ、私が驚いたことがある。道路の両側はほとんどが牧草地帯で、牛や羊が呆れるほど沢山いたことだ。日本とは食文化が違うのも当然だと思った。

先日、良くも悪くも何事もなく終わった洞爺湖サミット。例によって、実効性に乏しい宣言がされ、各国首脳たちの親睦会で終わったようだ。期待された環境問題も、とりわけ成果がなく、国際的な取り組みの難しさを再認識しただけだ。

私とて、地球の温暖化には気をかけているし、政治的な働きかけが必要だと考えている。ただ、以前から欧米主導の環境会議などには、大いに疑問を持っていた。

二酸化炭素(CO2)の温室ガス効果を考えれば、その削減に取り組むのは必然だと思う。しかし、単純に温室ガス効果を考えれば、二酸化炭素の25倍の温室ガス効果があると言われるメタンガスを取り上げないことには、どうも納得がいかない。

火山などからもメタンガスは発生するが、なにより大きいのが生物の排泄物、つまり糞から生じるメタンガスだ。冒頭で取り上げたヨーロッパの牛や羊も、そのメタンガスの発生源なのだ。

ところが、このメタンガスが環境問題を取り扱う国際会議で、議題として取り上げられることは稀だ。素人の私が知っているぐらいだから、当然に欧米の学者にも問題意識はあるらしい。しかし、無視されている。あの環境テロリスト、グリーンピースらNGOも、何故かしらメタンガスを取り上げはしない。

嘘か本当か知らぬが、どうもNGOらに畜産業界から多額のお金が流れているらしい。日本では小さい業界だが、欧米では畜産産業は、極めて政治力の強い業界として有名だ。飼料メーカーや、農薬業界などを含めれば巨大な産業構造をなす。どうも、彼らが家畜の産み出すメタンガス問題を、環境対策会議で取り上げられることを厭うらしい。

らしいと、憶測含みの文にせざるえないのは、科学的データーの蓄積、整理が十分ではないからでもある。私も十年以上前からメタンガスの問題は知っているが、未だに十分な研究はなされていない。

例えば、アフリカの象は大量の糞を毎日排出する。この糞からは大量のメタンガスが生じるはずだが、計測が難しい。象の糞は、フンコロガシをはじめとした甲虫類の餌でもあり、サファリでは数日で食べ尽くされる。また、遊牧民が草原で大量に保有する羊などの糞は、遊牧民の燃料として活用される。いったい、どのように計測するのか、そのルール作りさえなされていない。

欧米で大量に飼育される牛だが、その反芻からゲップをすることで知られるが、そのゲップにもメタンガスは含まれている。計測モデルの作成一つとっても、未だに統一されていない。企業が研究資金を提供しているとの話も、私は耳にしていない。

ただ一つ、分っているのは畜産農家が保有する牛や羊は、その数を増やしているが、強力な温室効果ガスであるメタンガス対策は、ほとんどされていないことだけだ。欧米主導の環境対策会議への疑問は、いやますばかりだ。
コメント (5)
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