ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「コーマ (昏睡)」 ロビン・クック

2007-01-06 17:10:52 | 
私が恐れていることが二つある。

一つは目が見えなくなること。本が読めない!

もう一つは寝たきりになること。相田みつをが「感動って言葉は、感じて動くことだ」と書いていたが、私は動いて感じるタイプだから、寝たきりでは困る。本当に困るんだよ。

20年前、病院のベッドで寝たきりの生活を送ったことがある。大半は足から心臓へ長いカテーテルを挿入されているが故の寝たきりだったが、最初の2週間ほどは衰弱しての寝たきりだった。寝返り一つ自分では出来ず、一日数回看護婦さんたちが6人ほどやってきて、床ずれを防ぐために動かしてくれた。

そんな情けないある日、見舞いに来た人に泣かれてしまった。大丈夫だよ、と頭を軽くなでてあげたかった。もうすぐ元気になるよと、肩を叩いてあげたかった。

でも、出来なかった。自分では半身になることさえ出来ず、手を伸ばしても届かない。第一、泣き顔を見てしまったら、自分も泣き出しそうだった。泣くのは嫌いだ、人前で泣くのはもっと嫌いだ。だから、じっと天井を睨み、歯を食い縛って耐えた。口から出た言葉といえば、「もっと仕事がしたかった・・・」だった。馬鹿か、俺は。

寝たきりは嫌だ。どうしても嫌だ。

だから、表題の本は凄く怖かった。医療サスペンスの草分け的なロビン・クックだが、この最初の作品が一番怖かった。神様ほとけ様おたぬき様、お願いだから、私を寝たきりにはさせないで下さいな。

え?おたぬき様って誰かって。そば屋の軒先でとっくり掲げた小粋な商売人の神様ですよ。
コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする