のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『国立ロシア美術館展』1

2008-01-03 | 展覧会
えっ
初夢でございますか?

巨大な地下型の遊戯施設がありましてね、来場者は遊びながら螺旋状の建物をどんどん下りて行くんでございます。
ところが「注文の多い料理店」のように、みんな最後には恐ろしい怪物に食べられてしまう運命にあるのですよ。
のろはそのことに途中で気付いて必死で逃げ出し、何とか地上までたどりつくんでございますが
何も知らない子供たちがまた送迎バスで施設にやって来て、みんな楽しそうに施設に入って行くのを
途方に暮れて見ていることしかできない

といういとも陰惨な夢でございましたよ。
あっはっは。

それともうひとつ、のろ宅のお隣さんが玄関口へやって来て

隣人「歌とか歌うのやめてくれませんか?けっこううるさいんで...」
のろ「すみません。すみません。もう歌いませんので」汗汗

といういともリアルな夢でございましたよ。
うーむ。こ これは笑えません。

それはさておき
国立ロシア美術館展 ロシア絵画の神髄へ行ってまいりました。

実を申せば、チラシやポスターにあまり魅力を感じませんでしたので、行こうか行くまいか迷っていたのでございますが
いや、行ってようございました。
しかも展示品中でのろの心に最も深い印象を残しましたのは
まさにチラシやポスターにフィーチャーされていた『アイヤ岬の嵐』という作品だったのでございました。



印刷物だけを見て作品を見た気になっちゃいけないよなァ、とつくづく痛感いたしました。
実際に作品の前に立ってみますと、2.15×3.25メートルという大画面から
ごうごうという海鳴りと身を切る強風が、こちらに襲い来るような迫力でございました。
まずもって、深く冷たい海水の色と、細かい粒の集積となって光り輝く波頭の表現がまあ~、ものすごうございます。
印刷物ではとうてい再現できない深みと輝きでございました。
画面手前、小舟の上の人々は、岸壁にぶつからぬよう祈りながら、そびえ立つ岩肌をうちまもっております。
その小舟に向って挟み撃ちをかけるかのように、白い飛沫を頂いた高波が今しも襲いかかろうとしております。
ああ、次の瞬間には、このあまりにもちっぽけなボートは木っ端みじんになっているのでございましょうか。
いや、いや。
画面の奥は暗雲が垂れ込めておりますが、小舟の向う手前には、陽が刺しているではございませんか。
乱雲が途切れ、空から光が射しているではございませんか。
天候の回復を予兆するかのように、海鳥も飛んでおります。
何より、人々はまだ諦めてはおりません。必死でオールを取り、水に落ちた仲間を助け上げ、
今しも沈没せんとする本船でもなお、安全にボートを下ろそうと奮闘しているのでございす。

荒々しい自然美のなかで翻弄されながらもたくましく立ち向かう人間の営み...何て申しますと
あまりにもベタな感じがいたしまして
はいはいロマン主義ですなあと片付けたくなりますけれども
画家の圧倒的な描写力と繊細な色彩感覚は、本作を「典型的◯◯」とひとくくりに片付けることを固く拒んでおります。




次回に続きます。