のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『大絵巻展』

2006-05-06 | 展覧会
『大絵巻展』へ行って参りました。(京都国立博物館 ~6/4、途中展示替えあり)

Kyoto National Museum

特別展覧会 大絵巻展 -国宝「源氏物語絵巻」「鳥獣戯画」など一堂公開-【京都国立博物館・東山七条】

いやもう、これは凄うございますよ。
日本のお宝をこれだけまとめて見られる機会など、そうはございません。
今回はとりあえず、まだ行っていらっしゃらない方向けに、鑑賞のココロエを講じさせていただきます。

1:行くことを決心しましょう。
ハイ、とにかく足をお運びくださいまし。行かねば損でございます。
「人が多いのは嫌だなあ」とお思いになるそのお気持ちは、よっ く解ります。
しかし重ねて申し上げますが、これだけの作品が一堂に会することなど、そうあるものではございません。
そして幸いなことに絵巻というものは、全体を見渡す必要は無いものでございますから
いかに混雑していようとも、自分の手もとにある部分さえ見えていれば、充分楽しめるのでございます。
もちろん、混雑していればうるさい御人もおります。また、少々すいている時には
作品に目もくれずに展示室をバタバタ馳せ回る修学旅行生なども、いないではございませんが
そうした方々にまみえぬためとてこの機会を逸するのは、あまりにも勿体のうございます。
日本史や古典文学についてウンチクを垂れるご年配の方々の声に耳を傾けるのも、また一興でございます。
のろが行った時には、お互いに対してウンチクを披露しながらも、互いに相手の言うことは全然聞いていないペア が
2組ほどいらっして、それはそれで面白うございました。
GWも終わりを迎え、少しは混雑も緩和されたのではと。上に貼付けました博物館のHPでは、混雑状況の確認もできます。
経験から申しますと、展覧会が最も混む時間帯は13:00~15:00ごろ、最も空いているのは平日・悪天候の午前中でございます。
貴方の休日の天気予報が雨や雪や嵐なら「しめた!」と思ってください。そんな日は、展覧会に行きどきでございます。

2:前の晩は早めに寝ましょう。
たった50数点、と あなどってはなりません。
なにせ絵巻でございますから、1点といっても、複数の場面が描かれております。作品のハイレベルさとも相まって、
鑑賞にはおそらく貴方の予想以上のエネルギーを要します。
途中でへたばらぬよう、前日から英気を養っておきましょう。

3:お目当ての作品の所在をチェックしましょう。
HPでも確認できますし、展覧会場の入り口には、作品リストが置いてございます。
上で申しました理由から、全ての作品に対して同じだけのエネルギーを注いで鑑賞することは少々難しいかと存じます。
「これだけは見ておきたい」という作品と、万全の体制で対峙するために
ポイントを押さえて鑑賞なさるのがよろしいかと。

4:1枚、多めに着て行きましょう。
天井が高いせいか作品保護のためか、会場はけっこう涼しくなっております。
じっくり鑑賞なさる方は、やや暖かめの格好で行かれることをお勧めいたします。

5:カバンは小さめのものを。あるいは、入り口で預けましょう。
貴方がよほど長身、かつものすごく目のいい方なら別ですが
今回の展示では、展示ウインドウから一歩下がって鑑賞する、ということは不可能です。
みなウインドウの前に行儀よくギュウ詰めになり、進行方向へじりじりと横移動、という鑑賞方法をとらざるをえません。
かさばる荷物は、混雑車両のごとく、自分にとっても他人にとっても邪魔になります。

最後に。
じっと立ち止まって見ていると、隣の人がやんわり押して来ることもございますが、そんなものは無視いたしましょう。
鑑賞者は、自らの時間の許すかぎり、見たい作品の前に留まることを許されるべきです。
他人の鑑賞スピードに合わせる必要など全くございません。
もちろん、作品の正面から一時的に退いて、また正面に戻る機会を伺いつつ待つ、というのも粋なマナーでございますが
隣の人に小突かれたからといって渋々先へ進むなんて、これほどつまらないことはございません。
そもそも、展覧会で鑑賞者に「早く先へ進め」と催促するなど、もってのほかだと思いますよ、のろは。

さあっ
気をしっかりお持ちになって、行ってらっしゃいまし。
かの絵巻たちは、他でもない 貴 方 と 出会うために、
800年もああして待っていてくれたのですから。