読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

近所の桜並木

2011年04月06日 | 日々の雑感
近所の桜並木

ここ数日の好天で近所の桜並木が満開になったので、上さんと花見をしてきた。ここは池の周りが改修されて遊歩道になり、毎朝たくさんの人々がウォーキングやジョギングをしているところで、本当に公園としては利用価値の高いところ。市民の愛好家たちが植林をした桜が池のぐるりにあり、今はちょうど見頃になった。平日だったが、たくさんの花見客が来ていた。私たちも急遽、サンドイッチを買って、出かけた。別に何をするというわけでもないが、こういうところで、ちょっとのんびりするのもいい。

ここはかつて長女がお腹にいた頃に大きなお腹をした上さんと始めて来た桜並木だ。とはいっても、土手の改修のために一度壊して作り直した土手になるから、昔と同じではない。始めて来た頃には、コンクリートもなにも使ってない、まさに昔ながらの土手で、土手下の水路には蛍も飛んだという話だったから、よほど風情があったのだが、いまはコンクリートで固められ、桜もまだ若いので、たしかに写真のように、壮観ではあるが、なんとか百選にでも選ばれるようなレベルにはまだ達していない。

こういうのを見るたびに、日本人というのは、古いものを保存するのが下手だと、つくづく思う。かつての桜並木の土手は、それはもう、私のような懐古趣味などないような人間でも、いいところやなと思わず、見惚れてしまうような土手だった。もちろん千年近く前から、この池が灌漑用に作られ、何度も改修をした結果の土手だったわけなので、歴史的遺構などを発掘して、調査をすることも、それなりの意義があったと思うのだが、それ以前に、この素晴らしい土手を残すことを前提に池周辺の改修をすることはできなかったのかなと残念だ。

いつも言うが、日本のワビサビは滅び行く途上の美なので、イギリスやフランスの古い物のように、古さをそのまま保存して、新しいものと調和させるということが不可能なのかもしれない。滅び行く過程はつねに変化する。数十年立てば、いまワビサビと言われているものはどうしようもないほど風塵にきしているかもしれないない。だからといって、ニスでもって固めてしまうこともできない。なんとも難しい話だ。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 律儀と下司のあいだ | トップ | 『室内楽の歴史』 »
最新の画像もっと見る

日々の雑感」カテゴリの最新記事