読書な日々

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『結婚小説』

2019年10月15日 | 作家ナ行
中島たい子『結婚小説』(集英社、2009年)

結婚小説というタイトルながら、最後は「君と、結婚しなくてよかった」「あなたを私のものにしなくてよかった」と言って終わる小説って、出来すぎでしょ。

以前読んだ『漢方小説』は自虐ネタ満載の面白い小説だったが、これは結婚したいのに、結婚しなきゃいけないのかって悩むアラフォー女性の心の中をあざとく描いた小説。

『漢方小説』についてはこちら

友人から勧められて蕎麦打ち合コンに参加したアラフォー小説家の貴世(きよ)は、そこで知り合った映画監督の福原茂夫と付き合うようになる。彼も映画の参考に参加したのだが、貴世が蕎麦アレルギーを起こしたので、彼がタクシーで病院に運んだこともあり、しばらくして連絡をしてきたことがきっかけになった。

彼のドキュメンタリー映画を見て、付き合おうと思った貴世だったが、互いの両親との顔合わせもやり、彼が前の彼女と縁を切って、貴世のマンションに最初は荷物を預かってくれと言ってやってきて、だんだんと同棲するようになってからも、結婚を切り出すことができない。

とうとう手狭になった貴世のマンションから広いマンション探しがきっかけとなって結婚することになったが、いざ結婚披露宴の場で、結婚するつもりがないと宣言する。

この小説では独身時代にキムというフランス人女性を教師にしてデュラスの『ラマン』(愛人)という小説を原作で読むという勉強会をしている話が登場し、このフランス人女性がフランス人とパクス(PACS、市民連帯法などと訳される)でパートナーとなっているという話が出てくる。

もちろん実際にそうゆう女性が知り合いにいるという感じではない。ネットか本から得た知識だけで書いているというのが丸わかりの書き方になっているのも含めて、主人公貴世が冒頭で書きかけていた『結婚小説』そのもののように、作り物って感じが否めない。

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