読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『サラバ』

2016年04月12日 | 作家ナ行
西加奈子『サラバ』(小学館、2014年)

圷歩(あくつあゆむ)の誕生から、精神的危機を迎えた30数才までを自伝風に描いた小説。テヘランで生まれ、まだ物心つかないうちに日本の大阪に戻り、小学校1年生のときにエジプトのカイロに引っ越しをして、そこで4年生まで過ごし、また大阪に戻り、高校まで過ごしたあと、東京の大学に入学する。卒業するが、コミュニティ紙のようなところに音楽その他のレビューを書くような仕事をして過ごす。髪の毛が抜け始めたのをきっかけに精神的危機を迎える。

夫にせよ、息子にせよ、または訪問客にせよ、人が喜ぶことに一生懸命になる母親、かつての婚約者を歩の母親とともに裏切ったことで心に傷を一生背負いながら生きてきたが、最終的に出家をした父親、生まれた時から「私を見て」と怒りに生きて、やっと30才になってであったアイザックのおかげで精神的安定を見出した姉。

語り口も面白いし、物語展開も波乱万丈だし、言うことないのだが、物語世界に入っていけない。別に作品の問題ではなくて、読者である私の問題なのだろう。義務感だけで最後まで読んだ。

だから、ここにも何を書こうかを考えあぐねるも、書きたいことが浮かんでこない。私のほうこそ精神的危機を迎えているのかもしれない。なんちゃって。

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