読書な日々

読書をはじめとする日々の雑感

『妻が椎茸だったころ』

2019年07月10日 | 作家ナ行
中島京子『妻が椎茸だったころ』(講談社、2013年)

不思議なタイトルに惹かれて読んでみたが、小川洋子ほどではないにしても、ちょっとキモい内容とかオチがある作品だった。

冒頭の「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」では最後にこのおばあさんの家がかつてあった場所から発見された白骨遺体というのは、おばあさんが結婚して別れた5人の夫たちだったと思わせる。

「ラフレシア」では、食虫植物のネペンテスを育てている立花一郎が東南アジアに旅行に行って人間大のラフレシアに完全に虜にされて「結婚」するというブラックな作品になっている。

「妻が椎茸だったころ」は、唯一しっとしとした人生の悲哀というか喜びのようなものを感じさせる作品だが、タイトルの妻が椎茸だったころというのが、ぎょっとさせる。内容はそんなこともないのだけど。

「蔵篠狼宿パラサイト」でも珍しい鍾乳洞に入った由香が何かに憑依されたようになって終わる作品。

短編なので急展開を入れないと終わらないだろうし、最後にオチでも持ってこないと終った感を出せないからなのかどうか知らないが、無理やり取って付けた感のあるオチで、どうもね。文章はすごく上手なんだけど。



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