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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

『しあわせの高齢者学2』③

2024年06月19日 | 日記
『しあわせの高齢者学2』(2023/4/8・樋口範雄編集)、・「加齢とお金の管理」駒村康平(慶應義塾大学 経済学部教授)からの転載です。

「エイジングパラドックス」と「サバイバーズ仮説」
 次は「幸せ」についての調査に関するデータです。
 「あなたは現在の生活にどの程度満足していますか?0を不満、10を満足としたときに「0から10の中から数字を一つ選んでください」
 世界価値観調査と呼ばれる、非常に大きな研究が世界中で行われています。先進国だけではなく、多様な国・地域が参加する世界規模の調査です。
 5回目の調査のときに58力国のデータが集まりました。この調査で、世界中の16歳から90歳までの方々に、生活の満足感について共通の質問をしたのです。
 すごい量のデータですが、この結果を調べると、年齢と生活満足感との関連は年齢に応じて、U字型の分布になるようです。
 この調査だけではありません。質問を若干変えて、「人生への満足」とか、「今、幸せかどうか」というように、ハピネスやウェルビーイングに関する主観的なデータを取ると、若い人は比較的高いのに、20代に向けてぐっと下がり、40代、50代が底になるのです。 そして60代からまた高くなっていくという、全体的に見るとUの字のようになるのです。
 高齢になっていくと、満足度が高い人もいれば低い人もいて、ちょっとしたブレが出てくるのですが、高齢期になればなるほど、満足感や幸福感が高い人が多いのです。
これは老年学、特に老年心理学や老年社会学といわれる分野では、エイジングパラドックスと呼ばれている現象です。
 なぜパラドックスなのかというと、高齢期というのは、研究をしている若い人の囗から見ると、「健康や年金などの心配もあるだろうし、孤独という問題もあるだろうし、生活をする上ではそれほど豊かには見えない」と思っているのに、高齢者本人に聞くと「私は幸せです」と答えるのです。
 「これはおかしいのではないか? 矛盾しているのではないか?」
 と若い研究者が思うところから「パラドックス」(逆説)とよばれてきたわけです。
皆さんはどう思いますか? U字型になることに納得しますか?
 30代、40代、50代は、いろいろなしがらみがあり、やらなければならないことがたくさんあります。中年期はサンドイッチ世代などといわれますが、子どもを育てなければならないし、一生懸命に仕事をやらなくてはならない。また、親の面倒も見なくてはいけない。そんなつらい時期が終わって、「ようやく私の人生が始まるのが60代から!」などという方がいらっしゃいます。このように感じることで、60歳以降、幸せは上り坂になるというのです。年をとるほど、お金のことや、健康のことなど、不安になることがたくさんありそうなのに、高い幸せを感じているのです。(以上)
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