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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

自尊心とは

2021年05月02日 | 日記

借りてきた『進化と感情から解き明かす 社会心理学』 (有斐閣アルマ・2012/4/7・北村英哉・大坪庸介著)に、「自尊心」について書いてありましたので、その部分だけ転載します。

 

社会心理学の多くの研究は,人々が自尊心を高く保つように動機づけられていることを示しています。また,自尊心を高く保つことが人々の心身の健康にとって重要であることも多くの研究で示されています。では,私たちは家に閉じこもって自分のよいところに目を向けていれば,自尊心が高くなり心身の健康を手に入れることができるのでしょうか。これでは,あまりにも自尊心それ自体の役割をもち上げすぎたと感じられることでしょう。リアリーとバウマイスターは,自尊心はそれ自体が大事なのではなく,自分が社会的に受容されていることのバロメータなので重要なのだとするソシオメータ理論(sociometer theory)を提唱しています(2000)。この考え方によれば,私たちの自尊心は他者から受容されているという手がかりがあると高くなりますし,他者から受容されていないという手がかりがあると低くなります。そして,自尊心と心身の健康との関係は,実際に他者から受容されているかどうかという適応に直結する問題を介して生じていることになります。

 ここでソシオメータ理論の主張を,本書の趣旨に即して整理したいと思います。私たちにとって自尊心はとても重要ですが。自尊心が重要なのは究極要因として社会集団への適応という問題と関わっているからです。そのため,自尊心は他者からの受容・排斥の状態を反映して上下します。さらに自尊心の低下は,至近要囚として自尊心を回復するような行動(つまり他者からの受容を引き出すような行動)に私たちを駆り立てます。

 

 

リアリーとバウマイスターは,自尊心を単なる自己評価ではなく,感情的内容を含む自己評価であると定義し,ソシオメータ理論が想定している自尊心の役割が感情的な動機づけのシステムであることを強調しています。

 

 リアリーとバウマイスターは,ソシオメータ理論の妥当性を示す研究結果として,自尊心は社会的受容・排斥を伴う事象に反応して変化すること,他者に見られていない出来事よりも他者に見られている出来事の方が自尊心により強く影響することなどを挙げています。例えば,リアリーらの実験研究では,5人の参加者が同時に実験に参加し,お互いに性格検査の結果や自己紹介の作文を交換して,相互に評定(例えば,一緒に作業をしたいのは誰か)を行いました。その後,別の実験と称して集団意思決定の実験が開始されました。こ参加している5人のうち3人は集団で話し合いをし残りの2人は個人で同じ意思決定課題を行うと告げられました。これにより3人は集団に受容されたことになり,残りの2人は排斥されたことになります。このとき,半分の参加者には「ランダムに3人と2人に分けた」と説明し(ランダム条件),残り半分の参加者には「先はどの評定に基づき分けた」と説明しました(集団選択条件)最後に参加者の自尊心を測定したところ,集団選択で排斥されたと思っていた参加者ほど自尊心が低くなっていました。ランダムに分けられたと思っていた参加者では,集団での話し合いに加わることができても/できなくても自尊心はほとんど変わりませんでした。これは,他者からの受容と排斥が自尊心に影響するというソシオメータ理論の予測を支持する結果です。(以上)

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