仏教を楽しむ

仏教ライフを考える西原祐治のブログです

思考停止という病理①

2023年06月15日 | 現代の病理
『思考停止という病理: もはや「お任せ」の姿勢は通用しない』 (2023/5/17・榎本博明著)を借りてきました。なぜ飛行停止が生まれていますのか。その教育課程の部分だけ転載します。



アメリカに生まれれば、アノリカ人らしく説得力を磨き、堂々と自己主張し、何でもはっきり口にするようになり、また人を警戒し、自己責任におうて自分の身を守る姿勢を身につけていく。
 社会化の主な担い手は親であるが、そう担い手は親ばかりではない。学校教育においても、その社会の求める人物が示され、その社会を生きるために必要な性質を身につけるように促す社会化が行われる。
では、学校教育において、どのような人物像を理想として社会化が行われているのか。
それを端的に示しているのが教科書である。教科書に描かれている人物像、それは必ずしも人間として描かれるわけではなく、年少児対象の場合は動物であったりもするが、それを検討することで、その社会がどのような人物像を理想としているかを知ることができる。
 元官僚の今井康夫は、豊かな海外生活の体験を元とに日米の文化差に関心をもち、日本とアメリカの小学校1年生から6年生までの国語の教科書の内容を比餃検討してしる。
 その結果、アタリカの教科書には「自己主張」「自立心・独立心」「強い意志」など、「強い個人」をテーマとする内容が非常に多いのに対して、日本の教科書ではそういったテーマの内容はきわめて少ないことがわかった。
 アメリカの教科書の209篇、日本の教科書の211扁を分析の対象としているが、「強い個人」というテーマはアメリカでは53扁もあるのに対して、日本ではわずか7扁にすぎなかった。細かく見ていくと、「自己主張」というテーマはアノリカの7篇に対して日木では皆無、「自立心・独立心」というテーマもアメリカの7篇に対して日本では皆無、「強い意志」というテーマはアメリカの15篇に対して日本ではわずか1扁であった。
 アメリカの教科書で多く取りあげられている「自己主張」というテーマが、日本の教科書ではまったく取り上げれられていない。このようなに、自己主張をよしとするアメリカ文化と自己主張は慎むべしとする日本文化の対照性が端的にあらわれいる。
 また、人間関係の描かれ方が非常に対照的であった。アメリカでは「暖かい人間関係」と「緊張感のある人間関係」が均等に描かれてしるのに対して、日本ではすべて「暖かい人間関係」になっている。「緊張感のある人間関係」というテーマは、アノリカでは21扁あるのに対して、日本では皆無だった。「暖かい人間関係」というテーマは、アフリカの23扁に対して日本では54篇と非常に多くなっていた。
 このように、日木の教科書では、良奸な人間会系ばかりが描かれ、対立的な人間関係がまったく描かれてしいないことがわかる。
 人と人が対立するのは当然とみなすアメリカ文化と、人との対立を極力避けようとする日本文化、その対照性が、ここにも如実にあらわれている。
 「やさしさ、相手の気持ちになって」といったテーマも、アメリカの2篇に対して日本では16篇と非常に差が大きく、このような性質が日本独自の特徴であることを示している。(つづく)
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