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仏教ライフを考える西原祐治のブログです

リモート会議システムの問題点

2022年03月20日 | 日記

『ロボットと人間―人とは何か』(石黒浩著)に「リモート会議システムの問題点」があった。転載しておきます。

 

 コロナ禍においては、非常に多くの人がリモート会議システムを使っているが、この三〇年前からの技術は、決して理想的なものではない。解決すべき、いくつもの根本的な問題点を持つ。

 リモート会議システムは、報告や情報交換を目的とした会議では、特に支障なく使える。しかし、議論を通して新しいアイディアを発見しようとすると、非常に使い勝子が悪い。自由に議論し、自由に発想することが、どうもうまくできないように思える。また相手を説得する場合も、リモート会議システムではうまくいかないことが多い。

 対話とは、単に言葉をやりとりすることではなく、視線を交わしたり、表現を通して意思疎通したり、態度で隠れた意図を表したりするような、多様なコミュニケーション手段を含む。リモート会議システムでは、そうした多様なコミュニケーション手段が再現できていないのである。

 リモート会議システムを複数人で使っていると、それぞれの視線はばらばらな方向を向いており、同じ空間で議諭している感じはしないし、自分の意見にどれほど同意してもらっているのか、視線から読み取ることも難しい。

 また表情も、対面している状況よりも不明確になる。衣情は顔の向きや動きによって意味が多少変わってくるのだが、リモート会議システムを通して観察される相手の顔の向きや動きは、同じ空間で対面する場合とはかなり異なる。

 電話とは異なり、リモート会議システムでは本人の映像が映し出されるので、本人がそこに居ることは感じられるのであるが、感じられる存在感は、実際の対面での対話から感じるものとは大きく異なるのである。

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