『読売新聞』記事の転載です。
女性の自殺者、過去2番目の伸び率…コロナ禍の生活苦など影響か
2021/03/16 11:40
厚生労働省と警察庁は16日、2020年の自殺者数が確定値で前年より4・5%(912人)増の2万1081人だったと発表した。女性は同15・4%(935人)増え、1978年の統計開始以降、雇用環境が悪化した98年の23・5%増に次いで2番目に高い伸び率だった。厚労省は新型コロナウイルスの流行で生活困窮や家庭内などの悩みが深刻化したと分析している。
1月に公表した速報値と比べて162人増えた。
自殺者数が前年を上回るのはリーマン・ショック直後の2009年以来、11年ぶり。男性は前年比0・2%(23人)減の1万4055人で11年連続で減少した。一方、女性は2年ぶりに増加に転じて7026人だった。
女性の自殺者を職業別でみると、高校生が140人と前年比で75%増加したほか、勤め人や主婦、年金生活者など幅広い世代で増えた。動機別では、うつ病などの健康問題、親子や夫婦関係の不和などの家庭問題がそれぞれ同1割増だった。
一方、男女合わせた全体では、20歳代が前年比19%増の2521人に上った。動機別では、多重債務や生活苦などの経済・生活問題が同2割増えた。
厚労省の担当者は「緊急事態宣言や在宅勤務の普及で家族と過ごす時間が長くなり、不和やストレスを抱える人が増えた。雇用環境の悪化も長期化し、若年層の生活困窮による自殺者増が目立った」と分析する。