『日本人のものの見方 〈やまと言葉〉から考える』〈山本 伸裕著〉のつづきです。
やまと言葉は、幼児語のように実態に即しているという。いぜん「名前のなぞなぞ」で紹介しましたが、この本に紹介され言葉を転載してみます。
「鼠」を例にとれば、訓読みでは「ねずみ」、…語源説としては、複数存在します。それらのうちでも有力と思われるものを紹介しますと、一つは、生息場所に関わるものです。すなわち。
「根」、あるいは「穴」に棲む動物であることから、「根棲み」とか「穴棲み」などと呼ばれていたのが、「ねずみ」になったという説です。それから、二つめの有力な説としては、人びとの生活上の利害に直接に関わるもので、寝ている間に食べ物を盗み、食い散らすことから「寝盗み」と呼ばれたとか、夜中に食べ物が食い荒らされないよう寝ずに見張っていなくてはならないことから「寝ず見」と呼ばれた、といったものが挙げられます。
「ゴキブリ」の語源に関して紹介しておきましょう。この語は案外新しいもので、明治期以前には、「ゴキカブリ」と呼ばれていたそうです。「ゴキカブリ」は、漢字で書けば「御器囓り」です。「御器」というのは、蓋の付いた上等なお椀のことですが、お椀に付着した残飯に群がる様子が、「御器」まで食べ尽さんほどの勢いであることから、そのように呼ばれていたのです。(以上)
*「囓り」は、「かじりつく」という文字で、かじる歯を立てて削ぎとったり砕いたりすることです。
やまと言葉は、幼児語のように実態に即しているという。いぜん「名前のなぞなぞ」で紹介しましたが、この本に紹介され言葉を転載してみます。
「鼠」を例にとれば、訓読みでは「ねずみ」、…語源説としては、複数存在します。それらのうちでも有力と思われるものを紹介しますと、一つは、生息場所に関わるものです。すなわち。
「根」、あるいは「穴」に棲む動物であることから、「根棲み」とか「穴棲み」などと呼ばれていたのが、「ねずみ」になったという説です。それから、二つめの有力な説としては、人びとの生活上の利害に直接に関わるもので、寝ている間に食べ物を盗み、食い散らすことから「寝盗み」と呼ばれたとか、夜中に食べ物が食い荒らされないよう寝ずに見張っていなくてはならないことから「寝ず見」と呼ばれた、といったものが挙げられます。
「ゴキブリ」の語源に関して紹介しておきましょう。この語は案外新しいもので、明治期以前には、「ゴキカブリ」と呼ばれていたそうです。「ゴキカブリ」は、漢字で書けば「御器囓り」です。「御器」というのは、蓋の付いた上等なお椀のことですが、お椀に付着した残飯に群がる様子が、「御器」まで食べ尽さんほどの勢いであることから、そのように呼ばれていたのです。(以上)
*「囓り」は、「かじりつく」という文字で、かじる歯を立てて削ぎとったり砕いたりすることです。