僧侶派遣②

僧侶派遣の続きです。こうしたネットによる僧侶派遣をどう考えるのか。利点もあれば欠点もあるように思われます。

利点としては、こうした隙間産業的な役割は必要性があって需要があるということです。もし手軽のネットで依頼できる僧侶派遣がなかったならば、僧侶をたのむことなく法事が進められていたかもしれません。手軽に頼めるという中で、法事や葬儀に僧侶を招くという文化が継承されているということです。

このことは内藤恵理子さんも「日本の中世において、庶民層は葬儀や法要、納骨をいわゆる高野聖などに委託していた時代があった。つまり江戸幕府による檀家制度に縛られる以前は、すでに代価とひきかえに読経サービスを受けるシステムがあった…今日、その檀家制度が機能しなくなりつつある日本において“復活”しただけであるといえるかもしれない。安価に読経サービスを行うことは不謹慎ではなく“需要に応える慈悲”であると解釈することも可能だ」と指摘しています。

マイナスとしては、仏教がサービス業化することがあげられます。僧侶派遣が流行る背景に、日本人の宗教行動の事態、つまり信仰心による仏教との関わりよりも、初詣や墓参といった社会制度としての関わりの方が多く、その延長線上に僧侶派遣の需要があります。
そしてますます、仏教が無自覚的宗教行動化（儀式の形骸化）が強まっていきます。

また安易に金銭を手に入ることによる僧侶の質の低下、また、寺院僧侶と寺院なし僧侶の二極化などがあげられる。

内藤さんも指摘くださっているように、今、こうした現状の中で僧侶に何ができるか、何が必要なのかを考え実践することです。