超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

LEO今井「Laser Rain」

2009-05-06 19:21:20 | 音楽(全曲レビュー)
今日はLEO今井のニュー・アルバム「Laser Rain」を全曲レビューしてみます。

このアルバムは初めて聴いた時に「なんじゃこりゃ!?」と思うほどビックリしたアルバムで
端的に言うとかなり未体験なアルバムでした。
それなりに音楽は聴いてきたつもりですが
ロックでもあるし、シティポップでもあるし、テクノでもあるし、ニューウェイブでもあるし、
打ち込みでもあるし、ソウルでもあるし、J-POPらしい部分もあるし、
 でも「何なの?」と言われたらどこにも当てはまらない。
APOGEEとかと同じく、やってる本人自体がジャンルであるかのような、独自性の塊のような音楽でした。
いい意味でハッキリしてないというか。

ただAPOGEEもそうですが、こういう音楽ってなかなかセールスに結びつかないのが辛い。
新しすぎて逆に食いつきが悪いというか。
Amazonのレビュー数の少ないこと少ないこと。最新作に至っては自分しかレビュー書いてない。

まあとはいいつつ、内容に関してはヘビロテしまくり、本当に素晴らしいアルバムなので
一人でも多くの人に手にとって聴いてもらえれば・・・という気持ちです。
では以下↓



1.Synchronize
非常に不思議な、聴いた事のないような曲。
変なたとえですが軟体動物というか、クラゲを彷彿とさせる曲(なんじゃそりゃ・・・)。
ゆらゆらしていて、骨格がないかのような独特のバンドサウンドに奇妙な気持ちよさを覚えます。
とはいえリズムやコード進行などはきちっとしているんですけどね。
 この曲で顕著なのはキーボードによる浮遊感のあるフレーズと加工されたLEO今井の揺れ動いてるボーカル。
頭にこびり付いて離れない、しかし滑らかでもあるので割とスッと聴けるという何ともいえない個性的な曲に仕上がっています。
ちなみに先行シングル。


2.Connector
個人的に思い入れの強い曲。1曲目と同じく人と人との繋がり、コミニュケーションについて歌われた曲なんですが
その歌い方がいつも以上にひきつってて、強引なのでやたら心に残るというか。
歌詞の一つ一つがいちいちメッセージ性が高く、確信を突いた言葉ばかりなのも堪らない。
 特に印象に残ったのがこのフレーズ。

「接続を探していませんか」

歌詞自体好きなんだけど、LEO今井の声で歌われると更に特別な、情念がこもっているように聴こえる。
歌詞全体、歌全体を通して「孤独感」みたいなものがあからさまに表現されているような気がして。
たまらない曲である。

ちなみにサウンドもニューウェイブに特化したバキッとしたロックで非常に格好よい。
「Coming out of your brain now」ってシャウトも超セクシーで凄いビリビリ来る。名曲。


3.Fit Of Love
これも非常・・・に変わった曲。
まず加工されたヘリウムのような声が聴こえたと思ったらいきなりLEO今井のラップに入り、
そのまま歌モノ化するという珍しい手法で作られている。
 にも関わらず違和感が全くなく、むしろ小気味のいいポップ・ソングに聴こえるというのが凄い。LEO今井ならではの曲。
 サビのメロディも郷愁感たっぷりで気持ちいい。
近年の歌モノ系ヒップホップにうんざりしてる人に「こーいうのもあるんだよ」と聴かせてみたい曲。


4.Time Traffic
打ち込み主体の曲なのに、巷の打ち込みバンドサウンドと全然違って聴こえるのはなぜ?と思いきや
音の配置が独特なんだなあ、と思った。一つ一つがはっきりしてるというか。ギターリフとか。
プログラミングに頼り過ぎない感じというか。あくまで生音主体というか。
 この曲はRie Fuをゲストに迎えた曲で、呟くように歌う地味なAメロから
神秘的で美しいサビに一気に変わる大胆な曲。
Rie Fuとの声の絡みも面白くて何度も聴きたくなる曲。


5.Laser Rain
声加工しまくり&完全なデジタルサウンドというアルバムの中でも変り種。
しかもなんというか、全く聴いた事のないような曲である。
メロディだけとればそこまでではないんだけど、アレンジが超奇抜というか・・・。
 しかもこんな未知数なサウンドにサックスとか付けちゃってる訳だから尚更よくわからない。デジタル・シティポップスか?
でもその「よくわからない」という部分が楽曲の魅力として成立しちゃってるような、ある意味ミラクルな曲。
タイトルにするのも納得。


6.You Me Electricity
まずタイトルが意味不明。サウンドも・・・これまた良く分からない。が、やたら鋭さを感じる。
セクシーさも。結構なまめかしい曲だと思う。歌詞もどことなく官能的なような。
でも聴いてて気持ち良さは抜群だ。
ちなみにいしわたり淳が作詞で参加している。


7.Taxi
これはこのアルバムの中でも印象が強い名曲だと感じる。
というか去年の7月にシングルで切られている曲で
間違いなく去年の夏に一番聴いてたのはこの曲だった。
 言葉にするのはちょっと難しいが、ギターリフにしろリズムセクションにしろコード進行にしろ間の奇妙なラップにしろ
「どういう展開なら気持ちいいのか」っていうのを計算して作られている曲という感じがする。
この1曲でキャッチーな面をオールカバーできるような。

ちなみに1回聴いただけではそこまでキャッチーと感じれるかどうかは未知数なので
何度も繰り返し聴く事をお勧めする。
個人的にはシングルのミックスの方が好きかなあ?
しかしシャーベットのようなギターリフはいつ聴いても快感!涼やか。


8.High Speed Window
なんとここへきてローファイなサウンドによる歌謡ポップスという配置。
普通シングルのカップリングに入れるような曲を
こういったアルバムに入れてくるとは思い切ったな、と。
曲自体はそこそこ、といったところだが
このアルバムに入ってると目立つ、というか普通過ぎて逆に印象に残る。
これも戦略の内なのだろうか?
もちろんアルバムの中では唯一といっていいくらい一般向けのナンバー。


9.Lemon Moon
この曲は1stっぽい。つまりはロック寄りのシティポップスというような。
どっちかというと新規よりも以前のリスナーに向けた感じの曲。
タイトルが素敵。安心して聴ける佳曲。


10.Word
これは決定的な名曲でしょう!
とにかくサウンドの迫力が凄い。圧倒される。
メロディーだけでも聴いたことないような泣きメロが炸裂してるのに
その上でこの壮大で巧みなアレンジとは。素晴らしい。
ライブとかでは照明と映像をふんだんに使って派手に演奏して欲しい曲。


11.Synchronize{Synchronized Dubbing}
1曲目のリアレンジ・バージョン。
「Word」で終わっても良かった気もしないでもないが、
この曲を入れることによってアルバムの中和を計った感じもする。
シンクロで始まりシンクロで終わるという、コンセプトアルバムとしてのまとまりも増しているような。
 ちなみにコーラスでRie Fu参加。1曲目と比べると音数も多い。



もう何度も聴くたびに新発見があるような新機軸のアルバムで
ビックリ箱の様でいて、実は飽きにくいというような面白いアルバムです。
個人的には傑作。


あとLEO今井のメロディーセンスの高さには脱帽。
「Time Traffic」や「Word」とかメロが新鮮でかなり高揚感が。



という訳で2回目の全曲レビューはLEO今井の「Laser Rain」でした。
お気軽にコメントもどうぞ。






コミティア88参戦日記

2009-05-06 02:14:51 | コミケ・同人関係
本日の戦利品。クリックにて拡大。



という訳で本日(5月5日)の通常更新。
コミティア88に行って来ました。

コミティアというのは全てオリジナルのみの同人誌即売会で、
有名な作家もそこまで参加しないことから
並ばなくて済む・楽に回れるというのが常套だったのですが
なんか最近はやたら人が多くなっていてビビリます。

今日なんて開始前の待機列が外まで続いてて、COMIC1以上の盛況っぷりでした。
同人に興味のある層が増えてきてるのか・・・?


とはいえ自分は元々の所持金が少ない状態で行ったので
お決まりのサークルを巡っただけで終わってしまいましたが。
もっと新規開拓したかった。

そういえば、こうの史代の「夕凪の街 桜の国」もコミティアが発端の作品なんですよね。
そう考えると侮れないイベントです。

今回もダラダラと。


まず起きたのが7時くらいで、30分でサークルチェックして急いで家を出ました。
八幡宿から新木場、臨海線で国際展示場まで。1時間半で到着。

で、前述の通りやたら多い人。
それでも普通に歩けるくらいだったのが良かったのですが
これ以上参加者が増えたらきついイベントになりそうです。
それはそれである意味嬉しいことではあるけれども。

待機列が外まで続いており、初めてそこまで並んだのですが
ちょっと小雨が降っていて焦る。傘持ってきてないし・・。
ヒヤヒヤしました。

そこから会場入り。
せっかくなんで画像に映ってる順から紹介。

まず上段の端っこ、赤い本。
これは商業誌の作家、高崎ゆうきによる百合系の本。
商業誌では割と変態男とロリータという組み合わせが多い高崎ゆうきですが
こういう本では女の子同士の友情的なのしか出さない。
唯一の例外はヤングアニマルあいらんどか・・・意外に哲学的な面もあって面白い。

その次、モノクロの本。これも商業作家、袴田めらの本。
商業作品の番外編的な内容で、これも女性同士の友情・・・というか恋愛ものか。
ページ数が少ない割りに、さわやかで中々。

次も商業作家・・・というか同人作品が好評でそのまま商業に引っ張られたすごい人。
水月とーこ、という方。「色素薄子さん」で検索すれば出てくる筈。
 今回はその色素薄子さん~から一旦離れて新たなシリーズものだった。
「夕刻の国のムゥ-」というファンタジー系の作品。
清涼感のある話で柔らかい絵柄も読んでて癒される。
 尚、comicREXで「がんばれ!消えるな!!色素薄子さん」連載中。ユニークな作品でぜひお勧め。単行本出たら取り上げる予定。

次は完全なアマチュア、サークル夏桜による「彼女のいるオタクさん11、12、SP2!!」。
美人な彼女がいるくせにギャルゲーに夢中などうしようもない男の話。
かなり不憫だが、その分笑える。


で、下段行きます。
同じ絵柄の本が3つ続いてますが
これらはしろ、という作家が全て関わっているもの。
しろ本人のサークル、whitepaperから出てるものもあれば合同誌まで様々。
 この人の本はなんと言うか、非常に考えさせてくれる話が多い。
可愛い絵柄とは対照に、人間の心理的なところまで切り込んでくるような。
圧倒されてしまう話もしばしば。 今回もなかなかに深かった。
 後、「旅」を勧める同人誌や、全国の温泉についてリサーチした合同誌など
一風変わった題材で読ませてくるのも面白いところ。 後者に関してはガイドにも使えるし。単純に絵を見てても可愛いしで一石二鳥である。

しかしこの人、本出すスピード早い(笑)
毎回行ってるつもりなのに置かれてた4冊中3冊持ってなかったよ・・・。創作意欲高いんだな。

最後はファンシーな絵柄が特徴のメメチダイヤモンドの「ウィズアリス」。
基本的にファンなサークルなのに何故か買い逃してた本。委託にてGET。
このカナサカナという人の絵は超絶可愛い(HPにもファンシーイラストが満載)。話もポップで読みやすい。
 個人的な予想だがこの人将来商業デビューすると思う、多分。面白いし。サービスシーンも中々。

そういえば大川マキナ/MIXピザの「アリスのお茶会」という商業連載の小ネタ本も買いました。映ってないけど。


まあこんな感じ。
興味があれば是非。袴田めらのを除いてきっと次回以降も置かれると思うので。


あと自分と同じくコミティアに参加された皆さんお疲れ様でした。
すぐにお金が尽きて会場出たのが11時45分頃でした。

でもなんだかんだ言って楽しかった。空気感が落ち着くね・・・。