最近少なくなっている全曲レビュー・・・といっても一曲単位のもやってるから少なくなってはいないのか。
とはいえ一気にまとめてやるのも好きなので、ここいらでタイミングを読んで増やしていきます。
今日は昨年11月に出た「kimonos」を全曲レビューします。
全体のレビューはこっちhttp://blog.goo.ne.jp/nijigen-complex/e/5ab189bb950d616836ebdf160ad51074
これも去年の11月に書いたものです。
ほぼリアルタイム感想だったけど、印象はさして変わってない。つまりは半年経った今でも最先端だな、
って思うことに変わりはないって訳ですが、
今はDOPING PANDAの「YELLOW FUNK」があるので合わせて最先端っぷりを楽しんでます。
やはり先に先に進もうとしてる音楽はいい刺激になりますね。
過去に戻るのではなく、先へ進むという選択の素晴らしさ。
それでいて、温か味もあるのがまた聴いてて飽きないポイントで。
1.No Modern Animal
洗練されたトラックで、伸びやかなメロディがいつ聴いても心地良く刺激的。だが、
歌詞を読むと、和訳を読むと実に向井秀徳的なヘンテコな歌詞で
その点では見かけはLEO今井、中身は向井秀徳って感じの
そういうバランス感覚が面白い一曲。
だから楽曲自体も非常に新しい感覚で聴ける。ざん新な一曲です。
2.Haiya
楽曲自体はミニマムでポップな音になっているんですが
それでいて詞の世界観は実に寂しげ。
届かせようとしても
届かない想い。
その寂しさ、侘しさを本当にポツリ、と呟くように歌う曲。周りと比べて自分は一人
って事を否応が無く実感させられる曲でもあります。
3.Soundtrack To Murder
向井秀徳らしい「ぶった斬り」等のキーワードと
外国映画の主題歌にも似合いそうな張り詰めた空気感が見事に融合しています。
コンセプト的に和洋折衷ってのはあったと思うけど
それが特に成功している曲だと思う。
ストレートに格好良い。
4.Mogura
これぞkimonosならではの世界観!無機質でシンプルな、最低限の音数のトラックに
LEO今井のひきつったボーカル、不気味なボーカルに
サビで繰り出される「もぐら」のフレーズ。
LEOの良い意味で引っかかりのある部分と、向井秀徳の言葉選びのセンスの合致。が非常に面白く
そのクールさに何度もリピートしたくなる曲です。
「Like a もぐら」って語呂も良い。
5.Miss
「聖歌隊がうるさい」
メランコリックで沁みいるようなミドルバラッド、とはいいつつ音のノリは良いと思う。
言葉の使い方や語感のみずみずしさは流石といっていいレベルなのだが
上記の歌詞が中でも印象に残るというか
正論しか言わない人間に対してのアンチ精神そのもののようで聴いてて安心する。
だれが咎めようが、正論しか言わなかろうが
誰かを何かを好きになるのに理由も納得も入らず
そしてその切実さも同様に伝わってくる、これまた出来のいい楽曲だなと。誰が何を言おうと
君だけはそれを好きでいて。
その気持ちは大切にするべき。どうでもいい野次に負けるな、と。個人的な解釈ですが。
6.Sports Men
カバー曲。ですが、この曲で面白いのは向井秀徳がどうどうと英語で歌ってる事ですね。
10年以上の向井ファンとしては、日本語のジャリジャリとした響きでロック感を煽ってきた彼が
堂々と英詩を歌うって事が面白かったというか・・・。
でもナンバガ時代にもピクシーズのカバーやってるけどね(笑)。
にしても英語だと英語で妙なカタルシスがあるというか。LEOとの絡みも違和感なくてグッド。
7.Yureru
これぞ向井ならでは、という楽曲。それをkimonosらしいメランコリーに合わせて歌ってる。
ZAZENでいうと「asobi」「sabaku」に通じる楽曲ですが
それらよりも更に抽象的なので
余計にリアルというか、寂しさや不安定な気持ちが直に感じられて。それに触れるだけでも楽しい。
人間が変な行動や発言をするのも総ては人に構って欲しい、気づいて欲しいからかもしれない。
でも一方で誰にも理解されたくないって天邪鬼な部分も持ってるから人は難しいです。
「穴だらけのメモリー」
ってのは良く分かります。余談ですが。
8.Almost Human
PVも作られてますが、非常に上質の、映画のサントラにも使えそうなトラックに
メッセージ性の高い詞が乗って尋常じゃないクオリティを発揮しております。
この曲もまたサウンドやアレンジ面で和と洋の融合みたいな部分を感じさせてくれて
邦と洋の垣根を取っ払ってくれているようです。
それは次の曲でも如実に感じられますが。
自分の事を卑下するのはあまりにも容易い。その逆の方が難しい。ではどういう行動を取ります?っていう
一種の投げかけのような曲でもあります。
奥深いと思う。
9.A Girl In The Kimono Dress
実に日本的な、古風な歌詞とアレンジが光っている楽曲ですが
タイトルとサビが英語なのがミソで、これによってより日本っぽくなっているのが不思議と言うか面白い。
きちんとワビサビが効いた歌詞もまた素敵です。センチメンタリズムっていうのかな。
詞がよく読むと切ないのよ。
加えて音も物悲しい。
10.Tokyo Lights
元々はLEO今井の楽曲ですが、セルフカバー。の上にデュエット。そしてこれがまた素晴らしい。
都会に住む人間の孤独感が大いに表現されてるのと同時に
これは誰にでも通じるような感情でもあって。
群れから外れてしまう悲しみ。
「僕には関係ないんです」
観念的なようでいて、実は切ないフレーズ。こういうことを言いたくなる心境をよく考えれば更に。
ついでに向井秀徳が「僕」って一人称を使うのも随分レアですよね。
そこもまたお気に入りポイント。
生で聴いた時は涙が出そうなくらい感動した。
「最新の音楽~」って形容は多分文字通り最近出た音楽、って意味で
そこに進化感ってのは含まれてないんだろうけど
このkimonosの音楽はそうじゃなく、最新で洗練されていて、それでいて大胆で
文字通りの「最先端」を味わう事が出来る
最新のトラックを堪能出来る音楽になっていると思います。
何よりこのアルバム全体に流れているアンニュイなテイスト、物悲しさは中々にクセになると思う。
もちろんそうじゃなくてもバキバキのトラック聴いてるだけでも格好良くて。
アルバムとしては間違いなく傑作の部類に入ると思われる。傑作。
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