超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

Strange Utopia Crazy Kitchen/MO’SOME TONEBENDER

2012-08-02 21:44:08 | 音楽






MO'SOME TONEBENDERのニュー・アルバム「Strange Utopia Crazy Kitchen」を聴いた。






リード曲「Shining」を聴いた時点で、ああもうこれは紛れもなくモーサムの音だな・・・と
自分が好きなモーサムのテイストだな、と確信を持つ事が出来ました。それくらい求心力の高い曲で
ここ最近ずっとエンドレスリピートの楽曲でもあったりするんですけど
そんな突き抜けたポップセンスと
得体の知れないロック感が合わさって爆発したような
このアルバムの楽曲群はどれもそんな印象の曲ばかりが並んでいて
不思議と「やりたい放題」っていうよりは「総力戦」的な、得意分野ばかりを詰め込んだ勝負作という感じで
前述のようにどの曲もテイストは違えど共通してポップ感、分かりやすさだけは保てているので
メディアが伝える印象とは別に地に足の着いたアルバムって感覚もあるんですよね。
ノーコンセプトらしいですけど
個人的にはモーサムから見たモーサム、というか
モーサムらしさにとことんこだわってるアルバムというか
ここ数作の試行錯誤を一気にまとめて聴かせてくれるアルバムというか
聴き手としてはむしろノーコンセプトどころかはっきりとした目的や統一性を感じる作品で
それを一纏めにして伝えるならば前述の言葉をもじってポップに突き抜けた、って事になるのかな、と。
今回はハードな曲もアグレッシヴな曲も刺々しさの強調はあんまり感じられなくて
そういう曲ですら分かりやすく食べやすく調理されている感覚
それが統一感にも繋がってる、という
インタビュー等の発言の割には志の高いロック・アルバムに仕上がってるなあ、というのが正直な感想ですね。

それと同時に、このアルバムは以前出した「SING!」を爆発させたアルバムだとも思っていて
結構このアルバムで聴けるポップ感というのはあの作品の感触に近い
要するに「SING!」の正統進化系といいますか
試みとしては面白かったけどやや歌により過ぎた感覚も指摘されてはいたので
その弱点を今作で見事克服、磨き上げて出した感覚が個人的にはあって
ポップさ・分かりやすさを保ちつつ
でも必要以上に歌には寄らない、きちんと暴走させる部分は用意しつつも
最終的にはポップに爆発って印象でまとめあげる、その手腕は正にバンドの進化そのもの
前述のようにモーサムらしさにこだわって作り上げられたアルバムという感触は強く残ってますけど
でも一方で過去作のリベンジ要素だったり、ポップなテイストでもきちんと勝負出来るタフさの会得だったり
無難な作品にも守りの作品にも仕上がってない、その止まらない姿勢もまた格好良い作品に
格好良いと思える作品になっているんですよね。だから素直に絶賛出来る。
磨き上げだけのアルバムでもなく
エレクトロチューンやポストロックチューンも挿入と正にこれまでの引き出しもバンバン使ってきていて
その意味でも視野が広く最後まで飽きずに聴ける、初心者は素直に圧倒されて
往年のファンはその手さばきにニヤリと出来る
「STRUGGLE」とはまた違ったベクトルで劣らない傑作アルバムになってるかな、と自分的には思えました。


「Synchronicity」を「Shining」に置き換えると分かりやすいかもしれないです。
過去作で培ったテイストをバリバリ使って聴かせつつも
一度は賛否両論になってしまったポップ感をふんだんに注入して聴かせる目論見にも成功
下手すれば去年のベスト以上に本質的な意味でこっちのがベストにも思えるかも
得意ポイントだけで作られたような、
でもそれがしっちゃかめっちゃかではなくしっかりと統一されて聴こえる
何気にハイクオリティな現時点での到達点、金字塔的な感覚も含めて楽しめるオールマイティなロックアルバム
きっとここまで追いかけてきたモーサムファンであれば高確率で気に入れる作品だと思います。
勿論、未体験の方にはここまで自由なロックバンドがいるんだよ、って驚いて貰いたい。
とにかくここまで地に足の着いた作品だとは思ってなかったので
その意味でも予想外で楽しかったです。是非、爆音で聴きましょう!!







それにしても「Shining」は本当にモーサムらしい、って形容しか出来ないほどに
モーサムの記名性に溢れた会心の名曲ですね。
この一曲だけで夏の暑さを乗り切れそうなくらいにカッコいい、これが聴きたかったんだ!って素直に思えた楽曲
相当な爆裂感と意味不明感に満ちてる音像なのに何故かアンセムにも感じられるのが非常にニクいッス!





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