超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

POLYSICS@日本武道館 10.3.14

2010-03-15 01:39:46 | ライブレポ
今日はほっこり暖かくて、空は快晴。正に武道館日和って感じじゃないでしょうか。



つー訳で、行って来ました「BUDOKAN OR DIE」。
POLYSICS初の武道館公演でございます。
ポリを座席付きで観る日がこようとは。しかも武道館。
 私がポリを知ったのってデビューシングルの「XCT」だったから、自分自身もリスナー歴約10年だった訳で、
そりゃ色々思い入れありますよ。
1stシングルと2ndシングルのジャケットがほぼ同じで、レコード店で「紛らわしいなあ」って思ったこととか
「ケロロ軍曹」のOPに使われた「You-You-You」が思いの他作品にあっていて、
それでいてバンド自身ともシンクロする歌詞だったから奇跡のタイアップだ!って思ったこととか。
 ちなみに個人的にPOLYSICSで一番好きなのは「National P」ですかね。
ぶっちゃけ全然メジャー感のないPOLYSICSが海外で大受けしたのをきっかけとして本家日本でも人気が出てきて
まさか武道館即日完売というレベルにまで行ってしまうとは正直全く予想してませんでした。
で、この日もPOLYSICSはあくまでPOLYSICS、
マイナー志向な表現やイッちゃってる部分を堂々と武器にして、
長いようで短い3時間というライブを文字通り「全速力」で駆け抜けたような、そんなライブだと感じました。
なんか、花火みたいなライブだった。
 今は、聴き手としても非常にすがすがしい感じです。
聴き手でここまでさっぱりとした感触なんだから、本人たちはもっとやりきった!って感じなんだろうな。
ってことで以下レポートです。




まず初武道館ということで初期のナンバー中心にライブはスタート。
どの曲も当時ならではの前衛的な部分が出ていていていい感じ、
なのと同時に武道館という大規模な会場でも音の厚さが変わらないことに驚き。
すごいアホな例えしますけど、まるで海外タレントのライブを観てるような、そういう感覚でした。自分的には。
音の感じが。

この日、カヨが初めてメインボーカルで歌った「each life each end」。
私はこの曲を中学生の時にリアルタイムで聴いていて
その時の印象だとかなりアングラだなあ~って印象だったんですが
今聴くとかなりファニーで可愛らしいポップ・チューンに聴こえるのが不思議。
これもある種のオリジネイターとして表現をじっくり広めてきた彼らの功績の一つでしょうか。
 ついでにカヨがピコピコハンマーで音を出してる姿がとても可愛かった(笑)。
と、同時にちょっと泣きそうになってしまった。 なんでだろ?

そして、その前のデビューシングル「XCT」も披露。
そうそう、この曲でPOLYを知ったのよ、という思いが先行して
他の曲よりも前のめりに聴いていたんですが、10年経っても何ら変わらない「XCT」にある意味感動、
一つの表現を貫き通す潔さを感じました。
 ついでに、この「潔い」という部分はここだけでなく、様々な部分で感じる事が出来ました。

私が一番好きなアルバム「National P」から「ワチュワナドゥー」「ウィーダー」の流れはグッと来たんですが
まさかあの「ウィーダー」がここまでフロアを揺らす事になるとは夢にも思わず。
なんかもう、一種の幻想空間みたいになってましたねえ。
それでいてストレートな気持ちよさもありつつ。

初披露の「White Snake」の前にMC。
ハヤシ「(2階席を指して)あそこにいるのは本当に人間なんですよね?」
フミ「あれ全部CGだから。幻なんだよ」
みたいなやりとりに笑いつつも、
ハヤシ「まっ、それでもいっか!ありがTOISU!」と叫ぶハヤシの底なしのテンションが凄いなあと思い。
最初のほうで「ドヒャー!!」と思いっきり叫んだり
「あの日本国旗をフーッて口で吹いて、揺らせるくらい首を長くして待ってたんだYO-!!」とか、
とにかくもうずっと興奮しっぱなしで、途中まで冷静なMC一つもなかったです(笑)。



中盤では子供番組にも使えそうなポップ・チューン「人生の灰」から
マニアック過ぎる「Eye Contact」まで幅広い選曲、
つーか後者は明らかに武道館では違和感ありすぎでした。
でも、ポリにはやっぱりその「はみ出し」感が似合ってるのかもしれない。
続く「催眠術でGO!」を聴いてもそう思った。
「Fire Baison」では最早恒例?風船を客席に飛ばすパフォーマンスも披露、
曲の最中に必死に風船を膨らますハヤシ、
どこに必死になってんだ!(笑)、と思いつつも
そういうバカバカしい事を全力でやる、ってのもPOLYSICSの面白さの一つですよね。

で、それが爆発したのが「POLYSICS OR DIE!!!!」。
途中でドラムスのヤノが仕切ってコール&レスポンスをやる場面があったんですけど
これがまたいちいち長いのね(笑)。
いい加減やめろよ、って思ったくらい長かったんですけど
その最中に武道館に寝転がってダラーッとしたり
一息つくように普通にステージ上に座ってたりと、正に暴君状態!
でもそこから一気に抜けた時の気持ちよさは相応のものがありました。
というかライブでここまでヤノが弾けてるのも珍しいのでは?
終わった後、
ヤノ「一通りの夢が叶いました」
ハヤシ「一通りの夢が叶ったらしいです(笑)。」

「I My Me Mine」では、たて笛が武道館を揺らす!
武道館5回目だけど、もちろんたて笛の音とか聴いた事ないよ!
で、それがすっごく痛快で気持ち良かったんだな。逆にオツというかね。

個人的には後半に行く前の「Code4」もちょっとヤバくて、
この曲だけ、いや、だけじゃないけど武道館の雰囲気、卒業ライブとしての雰囲気にも合ってるような気がして。
後にこの感覚をもう一度味わうことになるんですけど。
Aメロからしておセンチな感情を煽られてしまった感じ。



ここからちょっとしたMC挟んで後半に突入、「P!」で思いっきりスタートを切ると
フミがメインボーカルを務める「E.L.T.C.C.T」や
チャイナっぽい雰囲気漂うポップな「United」、
音源以上に攻撃的な「Rocket」、
流れるようなロックンロール「Young OH!OH!」、
王道のポリを体現した「Pretty Good」、
加速していく様を映した映像もナイスだった「Speed Up」、
そして本編最後に「Boys&Girls」を演って終わったんですけど
 個人的に特にツボだったのは「URGE ON!!」。この曲はめちゃくちゃタイトに、アグレッシヴに響いていて
その迫力は本遍でも屈指のものだったんじゃないかと思う。
ただ、それですら白熱をひたすら続けたようなアンコールには適わないかな、と今となっては思うんですが。

そう、この公演は今思うとアンコールになってからが、より本番といった感じでした。
普通、アンサンブルのキレなんかはどうしても本遍の方が勝ってしまうもので
この日のポリはここだけで30曲以上演ってたことを考えると尚更なんですが
信じられない事に、自分の感じた限りではこのアンコールの部分が一番ポテンシャル高かったように感じられたんですよね。
勢いとか、そういうの抜きにして。
 元々POLYSICSは尻上がりに更に調子を高めてくるイメージがありましたが
それにしたってこの日のアンコールの凄まじさは尋常じゃなかったですね。
セトリ的にもヒットチューン連発!って感じだし。

ハヤシとカヨのWキーボード(ギターみたいな形状のやつ)で弾けた「AT-AT」の楽しさ、
特効を使って大いに盛り上げた「ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ」、
この人数でシンガロングしてると何かの団体にも見えてしまう「カジャカジャグー」の異様さ、
「シーラカンス イズ アンドロイド」でのパンキッシュなプレイから、それを更に加速させるように、
まるでパンクバンドのライブかと思うようなテンションで奏でられた「Shout Aloud!」。
 これ自分だけかもしれませんが、この曲の最後でヤノが「スコーン」と音の隙間を這うように叩かれた一音、
それが、あまりに格好良すぎて思わずヤノの方をガン見してしまいました(笑)。
あの一音はこの日のヤノのベストプレイだったと思う。

ダブルアンコールは、
「充電活動を終えて20周年になった時にも歌いにきてくれよ!」とハヤシがカヨに向けて言ってから
「NEW WAVE JACKET」で始まり。
ぶっちゃけその一言でいきなり涙腺刺激されました(笑)。
みんなで飛び跳ねて、怒涛の一体感を味わえた「Baby BIAS」、その景色には相当感慨深いものを受けたし
続く「Electric Surfin' Go Go」での終わりに向かっていく感覚も、とても心地よいものだった。
 と、同時にまだカヨが挨拶してない!っていうのもあって、不思議とトリプルアンコあるんじゃないか、って確信が。

そしたら本当にトリプルアンコール来た!滅多に無いことなのでよろこびもひとしお、
最後にカヨの挨拶もあって。ロボット声で、


「今までありがとう I LOVE POLYSICS」。


これが最後の言葉でした。こちらこそ、長年どうもありがとうございました。


その流れに乗るように「BLACK OUT FALL OUT」。うお~なんかこの曲不思議と卒業に似合ってる・・・!
この時期にもなんだかフィットしてる。
でもこれでラストだったら、キレイにまとまりすぎかも?
って思ってたら最後はやっぱり「BUGGIE TECHNICA」で賑やかにお別れ!
照明も一気に明るくなって、メンバーそれぞれが思いっきりハジけてライブは終了。

三箇所でお辞儀をして、
カヨには花束が贈呈されて、ファンの「カヨー!!」という声援に支えられるように本当に退場。
最後に残ったハヤシは
「みんな本当にありがとー!!」と大きく叫んで
みんなに投げキッスをしてステージを後にしました。
合計40曲以上、3時間、代表曲ほぼ網羅という正しく「今出来ること」をきっちりとやり切ったような、
総てをひっくるめて「潔い」、それに尽きるライブになったと思います。
個人的にはダブルアンコの流れが一番凄まじかったと思います。



結構ね、卒業ライブって言う体もあって、若干そういう場面もあるのかな、って思ってた部分もあったんですが
それは大きく的外れな考えであったことを痛感するようなライブでした。
要は、湿っぽさが徹底的にゼロ。
本人がどこかで言っていたように卒業ライブ~みたいな雰囲気、感傷的な雰囲気にはせずに
発表当初の祝福感のみで終わったライブで、
そういった意味じゃ有言実行的なライブだったのかな、って思います。

しかし何よりも今回のライブでバンドを脱退、もとい卒業するカヨの立ち振る舞いが印象的なライブでもありました。
最後だから肉声で話すかなと思いきや、そんなこともなく至って普通どおり。
でも、個人的にはそれはそれで良かったんだと思う。
一人の女性的な部分は一切見せずに、最後の最後まであのロボットみたいな動きをして人間らしさを感じさせない、
そういったPOLYSICSの一員としてのカヨのままステージを後にしてたのは、
それもまた「やりきった感」があったのかと。
色々な意味でね。
これで彼女のいるPOLYSICSは見納めになってしまいますが、
ハヤシの言った通り何年か経った後、再びステージの上で彼女を見られる機会もあるかもしれません。
それこそ本当に20周年のタイミングで、とかね。
 その為にはPOLYSICSという母体を継続させて行く事が何より重要、
今回のピンチを無事乗り切って、本当にそこまで辿り着けたら凄いと思いますよ。
という訳で充電後もこのバンドは追っていくので、その時までひとまずお疲れ様って感じですかね。
非常に清清しいステージでした。
ありがTOISU!


セットリスト
1.サニーマスター
2.BUGGIE TECHNICA
3.PLUS CHICKER
4.FOR YOUNG ELECTRIC POP
5.each life each end
6.Degital Coffee
7.Beat Flash
8.XCT
9.ワチュワナドゥー
10.ウィーダー
11.Shizuka is a machine doctor
12.Modern
13.White Snake
14.人生の灰
15.Nice
16.Eye Contact
17.催眠術でGO!!
18.Fire Baison
19.POLYSICS OR DIE!!!!
20.I My Me Mine
21.COLON
22.Code4
23.P!
24.Tei!Tei!Tei!
25.E.L.T.C.C.T
26.United
27.URGE ON!!
28.Rocket
29.Young OH!OH!
30.Pretty Good
31.Speed Up
32.Boys&Girls
encore
33.AT-AT
34.ピーチパイ・オン・ザ・ビーチ
35.カジャカジャグー
36.シーラカンス イズ アンドロイド
37.Shout Aloud!
encore2
38.NEW WAVE JACKET
39.Baby BIAS
40.Electric Surfin' Go Go
encore3
41.BLACK OUT FALL OUT
42.BUGGIE TECHNICA



この3日間の記事全部武道館関連ですね。
やっぱり武道館ってのは特別な場所なんだなあ、って観る側からしても思います。
あの中で渦巻いてる空気は、あの中でしか味わえない感じはしますよね。
だからこそ、あの空気感の中でアナウンサーのお姉さんが「ありがTOISU!」って言ったのは笑ってしまったんだけども。
 そういえばツナギを着てる人が駅に着いた時点からいっぱい歩いてて、
2階席から観てるとそれがかなりの人数いることが丸分かりで、
面白いなあって思ったのと同時に愛されてるんだな、とも直に思いました。一種のコスプレ感覚でもあるのかも。
一般の人からみたら「何?」って感じだったろうけど(笑)。
でも、素敵な景色だったと思う。





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2 コメント

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ありがTOISU!! (にゃがと)
2010-03-15 03:13:05
良いレポートだった...。
ほんとうにありがとう!!
湿っぽい雰囲気が無かったっていうのは、
なんとなく彼等らしいなって思った。
カヨちゃん卒業はほんとうに悲しいけれど、
POLYSICSにはこれからも末永く活動を続けていただきたいな...。
しかし、あったかいね。
POLYSICSのメンバーもファンの方たちも...。
西京くんのレポを読んで、そう思った。
それにしても、かなりたくさんの曲を演奏したのだね!!
アンコールのセトリが最高すぎる。
返信する
6000字読んでくれてありがとう(笑)。 (西京BOY)
2010-03-15 23:25:44
曲数が多かったのと語るべきポイントも多すぎて長すぎ!って感じになっちゃったよ。
それでも読んでくれてどうもありがとう!

>湿っぽい雰囲気が無かったっていうのは
「You-You-You」を演らなかったのもそういう理由があるんじゃないかと。
バンド自身とシンクロする歌詞だけど、あれ歌ったら絶対そういう雰囲気になってたと思うからね。
大好きな曲だけど、そういう意味じゃ演らなくて逆に良かったかな。

>POLYSICSのメンバーもファンの方たちも...。
ツナギ着て踊ってる人たちみると本当にそう思うよ。
もちろん、そうじゃなくてもだけど。
自分の横にいた人なんか必死に踊り狂ってたもんね。
そういう景色が、なんかいいなあと。
傍目から観れば異様だろうけど(笑)。でも、その異様さがポリには合ってるんだな、
ってつくづく思ったよ。
メンバーもサービス精神旺盛だったし、ホントいいライブだったと思う。
今は「BESTOISU!」聴いてフラッシュバックさせてる最中だよ(笑)。

>アンコールのセトリ
ほぼヒットメドレー状態だからね~。(笑)
ポリには大きなヒット曲はないけれど、手持ちのキラーチューンの数は多いんだな、って痛感した。
デビュー曲の「XCT」演ってくれたのも嬉しかったよ。
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