超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

きのこ帝国「花束を持ってきみに会いに行こう」@渋谷CLUB QUATTRO 14.2.18

2014-02-19 15:34:37 | ライブレポ
















きのこ帝国のワンマンライブに行って来ました。



















ライブ、というのは基本的に「盛り上がる」とか「楽しい」「感動する」というイメージだと思いますけど
こときのこ帝国に於いてはそれは当てはまらないですね 
勿論「楽しい」部分もあったんですけど
それよりも強烈な「空しさ」「寂しさ」に胸の中が支配されてしまう感じというか
でもそれが今の時代に於いてはめちゃめちゃ個性的に映って結果的には大満足してしまうんですがね
初めて佐藤さんの弾き語りを観た時に「葬式の空気に似てる」と素直に思ったんですが
この日も半分近くはそれでした
でもそれが心の中に巣食っているどうしようもない感情の数々に作用してくれて
最終的には何かが浄化されたような・・・そんな気分になってしまっていたのでした

で、「ミュージシャン」という曲では自然に涙が出ました
あれは一体なんなんでしょうね
今年表現で泣いたのはこれで2回目なんですけど、ちょっと心に穴が開くような感覚でした
聴いてて(安直な言い方ですけど)切なくなるというか、恋愛的な事ではないですよ
そうじゃなくて人生の逃れられない苦しみが歌われてるので思わず呼応してしまう
有無を言わさず「感傷的」な気分になってしまうあの感覚
これは他では得られない感覚だなあ、と
再確認出来たようなワンマンライブでした
聴いててむちゃくちゃ悲しい気分になってしまったんですけど、それ含めて鮮烈に記憶に残るような
胸が搔き毟られるような一夜でした。半年ぶりくらいに観ましたけど相変わらず凄いライブをするなあ。
















初のクアトロクラスのワンマンでしたが
見事なまでのスシ詰めでした
何度も「前に詰めてください!」と呼び掛けるスタッフの必死さを観るに
「次はもっと大きな会場になるんだろうなあ」と自動的にしみじみ思いました
というか、なってくれなくちゃ困る(笑 きのこ帝国の音楽はスシ詰めで聴くって感じでもないですからね
でもまあある意味ファンの熱気というか、そういうのを強く感じれて
その上マナーも良かったですし変な不快感もなかったですね
一曲目は新譜と同じ「ロンググッドバイ」から。
小気味良い始まりに心が躍ります。

次は「畦道で」だったんですけど、
この曲は穏やかで優しい曲調で憎しみに近い感情を吐き出している曲なんで
必然的に聴いてて胸がざわついてしまいました 色々と思いだしてしまうというか・・・。
小気味良くワクワクする始まりからいきなりディープゾーンに入ったなあ、なんて感じつつ
押し広げるように「退屈しのぎ」
この曲はやっぱり言葉ではなく音で倦怠感のモヤモヤを表現しているような所もあってそれがまた良かったです
勿論サビの頷けるようなフレーズにも相応に感情移入しつつ「ユーリカ」と惜しみもなく人気曲を連続投入

「ユーリカ」は数少ない盛り上がりを演出するようなナンバーになっていて
アクセントとしてはこれ以上ないくらい作用してくれるなあ、と実感
その上最後の「明日へ」の部分が捻り出してるくらいの切羽詰ったボーカルに変化していて
それにもまたグッと来ました この曲のアンサンブルは本当にオリジナリティがあって良いなあと思う
和洋折衷的な感じ

ゆるく踊れる雰囲気で「夜鷹」、
実際はスシ詰めなんでそんな余裕もないんだけど(笑
でも気持ち的にはゆるく踊ってるような感覚になれてカタルシス満点でした
そしてこの日一番の葬式ムードを叩き出した「FLOWER GIRL」はなんかもう・・・異常でした
一般的なライブの空気とは違い過ぎていて、それがある意味楽しくもあったんですけど
ここまでどん底みたいな雰囲気をナチュラルに出せるのもそれはそれで凄いな、と
しかも歌詞に関してはそこまで陰鬱なわけじゃないですからね
勿論暗いと言えば暗いですが
歌詞云々よりも雰囲気がどうしようもなく深淵で終末観を醸し出していて
その圧倒的な負のオーラが逆にキャッチーに感じられるレベルでこれまた凄く良かったですね
個人的に新譜の曲ならばこの曲がこの日一番心に残ったかなあ、と思う これはぜひ生で聴いて欲しい。

ワンマンだと聴ける確率が高い「Girl Meets NUMBER GIRL」、
以前よりも雰囲気が洗練されていて賑やかさよりも焦燥感の方が印象に残るのがこれまた最高でした
この日唯一?和やかに盛り上がった気がする「風化する教室」をしみじみと聴きながら
再び新譜から「パラノイドパレード」、
この曲も音源以上に仕上がりが良好で情景がまっすぐに浮かんでちょっと切なくなる塩梅が素敵でしたね
新譜のリリース記念だっただけに新譜の曲が際立って聴こえるのは良いことだなあ、と


「ミュージシャン」・・・
照明も動きも一定のまま淡々と奏でられ抑揚を多少付けてじっくりと歌われる歌
だからこそシンプルに「素」の想いが伝わって来て自然に涙が出て来て、参りました
というか過去の色々な事を単純に思い出してしまってそれもあって涙が・・・。
こういう辛い気持ちを呼び起こしてくれるような曲が大好きみたいですね
理屈じゃない涙だったような気がします
うん、なんかこう、そのまんまの意味で「堪らなかった」ですね
しかし佐藤さんの声は本当にきれいで透き通ってて、おまけに上手いです。
ロストインタイムの海北さんもナカノヨウスケさんもそうですが
こういうきれい且つ上手い声で悲しい思い出を歌うからこそズシンと胸に響くものがあるんでしょうね
ちなみにきのこ帝国のライブで涙を流したのはこの日が初めてですね。

「夜が明けたら」はラストのサビを「決して僕を許さないよ」に変えてて
それがまた良いなあ、と思いました 理屈じゃなく感覚的にしっくり来る感じ
その後に「海と花束」って構成も良かったし、
演奏の儚いようなキラキラ感にも胸を締め付けられました
「WHITEPOOL」のアンサンブルの高まりに気持ち良さを感じつつ
決定打的な名曲「明日にはすべてが終わるとして」をこの日も聴けて嬉しかった
いつもそうなんですがラスト付近の「僕たちは」の部分で無性に感動してしまう自分がいます
凄く許されるような、或いは気持ちが浄化されるような感覚になれるので最早コンスタントに聴きたいと思う
最後に胸がすくわれるような福音に身を委ねる事が出来てとても幸せでした
この日もまた凄まじいクオリティのライブをありがとうございました。















セットリスト
1.ロンググッドバイ
2.畦道で
3.退屈しのぎ
4.ユーリカ
5.夜鷹
6.FLOWER GIRL
7.Girl Meets NUMBER GIRL
8.風化する教室
9.パラノイドパレード
10.ミュージシャン
11.夜が明けたら
12.海と花束
13.WHITEPOOL
14.明日にはすべてが終わるとして

アンコール
15.東京(新曲)
16.国道スロープ












アンコールでは「東京」って新曲演ってたんですが
これがまたストレートに突き刺さって来る名曲然とした楽曲ですこぶる良かったです
フレーズもバッチリ決まってて新たな「東京」という名曲群の仲間入りが出来そうだな、と
歌メロが際立ってたのも変化と言えば変化かもしれません
歌詞も切実で個人的に頷きながら聴いてました

最後の「国道スロープ」は途中でアンプのボリュームを上げて弾きたおす佐藤さんが格好良かったですね
抜群の疾走感と最大限の痛みという相反する要素を撒き散らしながら終わる、という選択が
いかにもきのこ帝国らしくて素敵でした
ちなみにこの日唯一疾走感のある楽曲でした(!)。
16曲中疾走感を味わえる曲がたった1曲というのも実にきのこ帝国らしいですね
その分解放感も凄まじくその意味でもラストに持って来たのはある種正解だったかなと思いました。


それにしても感傷的とかグッと来る、以前に
清廉としたメロディの美しさ自体単純に自分大好きなんだなー
なんて思ったりもした公演でもありました
凄く揺さぶられて、感情移入も出来て、情景も感じられて、なんだか深い楔を打たれたような感覚でした
またもや貴重な経験が増えて個人的には幸せだった今回のワンマンでした。また観たいです。







最新の画像もっと見る

コメントを投稿