曽我部恵一BANDの「曽我部恵一BAND」を聴く。
これは・・・名盤ですね。ソカバンはソカバンってコンセプトやらしさに縛られすぎてた感覚も
なかったとは決して言い切れない、けどあれはあれで好きだったし絶賛もしたしライブにも行ったんですけど
やっぱりこっちのが自然体でいいな、って思ってしまったのもまた事実で
それ以前に音楽としての純度が異様に高くて、
もうこれはソカバン云々置いといて、純粋に曽我部恵一って音楽家の作品として最高って
そこまで言いたくなってしまうくらいに救われた作品でした。
音の緊張感も凄いし、
熱量とクールさのバランスも冴えてるし
グッと来ない曲が一曲もないって個人的感覚もまた嬉しかったし
全ての楽曲に存在する意味が込められてるような・・・私にとってはそういう作品ですね。
純粋に音楽を楽しめる、言葉を楽しめる、メロディを楽しめる、そういう純度が100%なんじゃないかって
それくらいに音楽に夢中になれる作品なんじゃないか、って。なんか、これ聴けて良かったです。
前半は割と派手目の曲が多い。
キラキラした「ロックンロール」だったり(ソロの「トーキョー・ストーリー」っぽいね)、
ドラマチックなメロディが胸を打つ「クリムゾン」だったり
爽やかなメロディが印象的な「恋をするなら」、情熱的なサビが好みな「兵士の歌」
素朴で野心も溢れてる「月夜のメロディ」の美しさ
一曲目から心の琴線に思いっきり触れるような「ソング・フォー・シェルター」の熱量、
そして・・・どうにもならない現実を底抜けに明るく歌った「街の冬」という名曲。
この曲は、正直な話聴いてる最中に鳥肌すら立ちました。
それくらいに良かった。
グッと来た。
この曲に触れられて良かったな、と個人的に思えた。きっとキャリアの中でも屈指の名曲だと思うけれど。
何度も執拗に繰り返されるフレーズの切なさに胸が苦しくなるような、そんな名曲。
悲しいけど、やるせないけど、でも不思議と温かくもあって・・・。
後半からは心象風景に寄り添ったような曲が多い。
モーサムトーンベンダーみたいな爆音でノイズまみれになって歌う「胸いっぱいの愛」、
颯爽と駆け抜けるような「サマー・フェスティバル」に
アコギを掻き鳴らしながら必死に歌う「夜の行進」、アナログな雰囲気が懐かしい「たんぽぽ」、
クールさも前面に押し出された平熱のロック「ポエジー」
ゆったりと、でも心地良い余韻を残して終わる「満員電車は走る」に加えて
なんとサニーデイのエッセンスも含まれてると感じられる「サーカス」なんかもあったりして
正にソカバンの賑やかさ、ソロの孤独の表現、サニーデイの温かさが三位一体になって
曽我部恵一のキャリア総括ベストみたいな・・・
そんな作品になってると思うんですよね。
それくらいに持ち味の全部を使ってる印象の作品で
だからこそサニーデイ時代からソロ音源、そしてソカバンまでずっと追って来てる
そんな私のような人間にはグッと来ないはずがないよ!って思えるような大傑作になっていて。
全15曲、一時間のアルバムなのに一切ダレずに充足感だけが残って
不思議とまた一曲目から聴きたくなるような、
音楽愛だけが詰まった至高のアルバム。
ファン視点のみで書いたレビューですけど、少しでも音楽好きな人にはこの音楽の素晴らしさや
真摯さが絶対に伝わるはずだと個人的には信じてるし、信じてみたい。
そう思わせるくらいには鉄板で意義も色濃く感じる
3年ぶりに出すには相応しい傑作に仕上がってるなあ、と如実に感じれたのが嬉しかった。覚悟も強い作品ですね。
「おお坊や、そっちはどうだい? おお坊や、どんな感じだい?
おお坊や、泣いているかい? おお坊や、聞こえてるかい?」 (ソング・フォー・シェルター)
一人の音楽ファンとして、聴いていてどうにも胸が熱くなってしまうような・・・
そんな作品でした。嬉しかった。これが聴けて。
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